4章 住宅編04 ベーシックインカム的生活者は集まって住む

"一人(ひとり)口(ぐち)は食(く)えぬが二人口(ふたりぐち)は食(く)える"という言葉があります。

 

 これは昔からある言葉ですが現代でも通用します。

 

 一人暮らしと二人暮らしを比較したときにいろいろな意味で生活費がお得です。

 

 一人暮らし用のワンルームに比べて2Kの部屋の家賃が倍するわけではないですし、水道光熱費も、バラバラに住むのに比べてグッとお得になります。

 

 家に引くインターネットの回線の費用も折半にできますし、町会費なども世帯毎なので折半にできます。

 

 さらに自炊はベーシックインカム的生活では重要な要素ですが、食費も一人分よりも二人分の方が割安ですし、二人いれば当番制にするなど料理も交代できるので、家事の負担が少ないのです。

 

 料理する人ならわかると思いますが、料理は一人分作るのも数人分作るのも手間はさほど変わりません。

 

 毎日3食献立を考えるのは大変なことですが当番制にすれば半分はその負担から解放されるのです。

 

 同居の相手は、恋人でも、友達でも、親でも、兄弟でもいいのですが、一人で住むよりは何人かで住む方が、ずっと一人当たり6万5000円での生活はしやすくなります。

 

 もちろん一人でも国民年金額6万5000円での生活はできますが、何より風邪をひいたりしたときは、同居人のありがたさがよくわかります。

 

4章 住宅編03 ベーシックインカム的生活者が家を買うなら

 ベーシックインカム的生活者が住まいを買うのであれば平屋はお勧めです。平屋であれば屋根以外は足場を組まなくても自分である程度のメンテナンスもできます。

 

 地震の多い昨今は、2階建てよりも、平屋建てなら倒壊の恐怖がありません。

 

 ちなみに屋根は重い瓦よりもスレートなどの軽いものの家を選んだ方が安心だと思います。

 

 しっかりした地盤や高台にあるというのも大事です。平屋建てだと雨が浸水しても2階には逃げられません。

 

 駅からの距離や広さなどで大きく妥協する分、安全性を重視できます。さいわいなことに安全性は駅からの距離や広さほど価格に反映されません。安全な立地の駅から遠い物件より、危険な立地の駅近物件の方がずっと価格が高いものです。

 

 買う地域は新駅ができるなどのこれから発展する地域に自転車で行ける距離がお勧めです。

 

 これから日本全体としては衰退するとしても、場所によってはこれから伸びてくる場所があります。鉄道の新路線が伸びて新駅ができた地域です。

 

 もちろん、その周辺は不動産価格も高くなりがちですが、その影響が価格に及ばない程度の距離、自転車で20分程度ならば新駅を通勤に使いにくいため、不動産価格的に安い物件が買えます。

 

 新駅周辺には住宅が開発され、若い家族が家を買って住み始めます。すると新しい店ができ、大型スーパー、もしかしたらショッピングセンターができるかも知れません。

 

 そこに健康維持を兼ねて自転車で買い物に行くのです。新しい街が発展していくのを見ながら暮らすのはとても楽しいものです。

 

 

4章 住宅編02 ベーシックインカムで生活をするには持ち家か?賃貸か?

 持ち家にするか?賃貸にするか?は通常の給料で生活するサラリーマンなどにとっても長年の論争のテーマです。

 

 賃貸でも勝手にベーシックインカム生活はできると思います。ただ家賃は月額生活費6万5000円には大きな負担です。できるだけ抑える必要があります。

 

 ぼくは8年ほど前に280万円で買った庭付き平屋の一戸建てを自分の手で修理して住んでいます。今では築40年ほどになるでしょうか。私は最終的には持ち家をお勧めします。

 

 貯金があるならば、私のように格安物件を買うという手もありますし、実家に家賃無しで住まわせてもらえるなら実家に住んで月に2万円前後家賃を払うつもりで貯金するのもいいでしょう。

 

 何千万も貯める必要はありません。数百万でいいのです。今、日本は空き家だらけです。駅から遠い物件ならば格安で買うことができます。

 

 国民年金(額)で生活している人は毎日通勤しないので、駅から遠くていいのです。あまり物を買わないので家は狭くていいのです。

 

 賃貸で国民年金額での生活が自分にとって幸福か試してみるのもいいと思います。家を買ってしまうと後戻りが難しいですからね。

 

 社会的にみても、年金の支払い、健康保険の支払い、40歳からは介護保険の支払い。これらは老人たちを支えるための支出です。

 

 この上、大家さんもお年寄りなら(多くの場合、お年寄りです)、若い人は稼いだお金の一体何割をお年寄りに捧げれば良いのでしょう。

 

 若い人はお年寄りを支えるために生きているのではないのに。

 

 私はそんなことを考えてしまうのです。

4章 住宅編01 勝手にベーシックインカム生活者の住まい

 勝手にベーシックインカム生活者にとって住居費は大きな壁です。

 

 実家に住めるならば月額6万5000円で生活するハードルはグッと下がりますが、家を出ても生活はできます。

 

 勝手にベーシックインカム生活をする人は住居費を安くできる3つのポイントがあります。

 

1.毎日通勤しなくていいので、駅近にこだわる必要がありません。
2.あまり物を買わないので広い部屋に住む必要かありません。
3.見栄を張りませんから見た目のいい家に住む必要がありません。

 

 以上の理由から住居費を安く抑えることができます。

 

 もちろん食品の買い出しなどの日常の生活はありますから、自転車で行ける距離に買い物が便利なスーパーなどがあった方がいいです。

 コンビニでの買い物はどうしても価格が高く生活費を押し上げます。

 

 自転車で15分程度ならばいい運動にもなりますし、健康面を考えれば、むしろ一石二鳥です。

3章 お仕事編02 ベーシックインカムな働き方

 勝手にベーシックインカム生活者も残念ながら国民年金給付年齢に到達するか、日本がベーシックインカムを導入してくれなければ、月間6万5000円は稼がなくてはいけません。

 

 では、どう稼ぐか。

 できるだけ単純に考えてみましょう。



 例えば時給1000円のバイトを65時間で6万5000円です。
 年間78万円なので所得税は掛かりません。



 国民年金も健康保険料も役所で相談すれば減免・猶予・免除されます。

 

 さて一日にして労働時間は2時間10分程度。毎日通勤するのは時間の無駄が多いので、一カ月4週として二日だけ働いても週16.25時間、一日8時間程度で到達します。

 

 土日や夜勤なら、時給の上乗せがあるかも知れませんから、もっと短くて済むかも知れません。

 

 これであなたは週休5日です。サービス業なら土日働くのはお勧めです。時給が高いことが多いうえに、ウィークデイに休みが取れるので人の少ない平日の町を堪能できます。

 

 あなたは多くの一般的な働き方をする人たちよりも、貴重な時間をたくさん手に入れました。これであなたはたくさんの時間を取り戻しました。

 やりたい事をとことんやるべきです。

 

 絵を描く人はとことん絵を書き、写真を撮る人は写真を撮りまくり、楽器をやる人はとことん楽器をやるべきです。

 

 そして、その自分が大好きなことで月6万5000円を稼げるようになったら、時給をもらう仕事からも解放されます。

 あなたはもう好きなことだけやって暮らせるようになります。絵を書く人は子供の絵画教室を開けるかも知れません、楽器を教える先生になるのもありです。写真をネットで売るのはどうでしょうか?

 

 もう生活のためにやりたくないことはやらなくてもいいのです。毎日、やりたい事だけやって暮らせるのです。月6万5000円稼げればいいのですから、教室に来る嫌な生徒さんは断ってもいいですし、高く売れるからと取りたくない写真は撮らなくてもいいのです。

 

 万一、月6万5000円を稼げなくなってもまた土日だけ働いてあとはやりたい事をやる生活に戻るだけです。

 

 やりたい事をやって月6万5000円を超えて稼げたなら、それはそれで幸福です。喜んで税金を払いましょう。やりたい事をやっていたら貰えたお金です、人生を切り売りして稼いだお金ではありません。

 

 税金を払った残りは、どう使うのも自由です。しかし、一点だけ注意。

 生活水準を上げるのはお勧めしません。その生活水準を維持したい。収入を減らしたくない。お金のためにやりたくないことをやるしかないという、負の連鎖に陥る可能性があります。

 

 それは日本中の、いや世界中の多くの人々が陥っている罠です。

 

 

3章 お仕事編01 仕事は楽しいですか?

 今の仕事はもしも報酬が無くても続けたいですか?続けたいという人は素晴らしいです。きっと天職に就かれているのですね。うらやましい限りです。その仕事を続けるべきです。

 

 しかし「いやいや、生活の為に嫌々やってるんだ。仕事ってそういうもんだろ?」実際はそういう方の方がずっと多いのではないでしょうか?

 

 毎日、8時間以上、やりたくないことをやらされている。何か悪いことをやって罰を受けているわけでもないのに。

 

 さらに残業、ましてやサービス残業までして、もっと働いている人も多い。

 

 ある意味、刑務所よりも劣悪な環境です。

 

 刑務所は完全週休2日、残業なしだそうです。通勤地獄も含めると多くの人が人生の半分近くを地獄で過ごしているというわけです。

 

 そんな生活が人生の残りの部分にも悪い影響を与えないわけがありません。

 

 明日の仕事のことを考えると眠れない。プライベートの時間も、家族に、ましてや子供につらくあたったり。

 

 仕事のイライラが無ければもっと人にやさしくできるのにと思ったことはありませんか?

 

 さあ、悪魔のささやきです。国民年金(額)の6万5000円で暮らせれば、そんな仕事をやめることができます。

 

2章 考え方編11 痛みをやわらげてくれるお金無しで放り出される

 就職なら、業界にはなんの興味もないが、とにかく給料が高いからという理由で、経済系の学部に行き、金融業界に就職するとか。

 

 ビジネスなら、社会的に意義もなく、時には社会にとって害悪にすらなるビジネスで心が痛むが、法の規制が緩く、大儲けできそうだからという理由で参入するとか。

 

 結婚なら、この人のことは愛しているとは言えないが、この人と結婚すれば、とりあえず経済的に困ることはなさそうだから結婚するとか。

 

 自分の本当の気持ちに背いて「お金」と言う理由で、人生の進路を選ぶ人がいます。

 

 その人生では「本当にやりたかったこと」とか、「本当は社会を良くする存在でありたかった心」とか、「本当は愛していたが結婚しなかったあの人」などが、折々「楽しくはない仕事」や「ときどき痛む良心」や「愛せないパートナー」などとなって、心に痛みもたらします。

 

 そこで痛み止めとなるのが、お金です。お金を使うこと、お金に恵まれていると思うことは、心の痛みをやわらげてくれます。

 

 しかし、痛みそのものを消してくれることはありません。痛みはそこにあり続けます。そして、悲しいことにお金の効用も、薬の痛み止め同様、効果が薄れてゆきます。

 

 明日の痛みをやわらげるには今日よりたくさんのお金が必要になるでしょう。そして、お金に完全に依存するようになるのです。

 

 そして悲劇が起こります。何らかの理由で収入や資産が減ったりすれば「お金のために選んだ生きたくもない人生」に「痛みをやわらげてくれるお金なし」で放り出されるのです。

 

 人生にお金は必要です。それは私も認めます。しかしあまりに多くの人がお金に依存し、お金を基準に人生を生きていると思うのです。

 

 お金なんかはちょっとでいい。それに気づければ私たちはもっと、夢に、愛に、自分が正しいと思えることに、生きられるのではないだろうかと、思うのです。