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読書は孤独です。同じ本を読んだ人はコメントくれると嬉しいです。

あえて今読む、16年前のドラッカー『ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる』書評・目次・感想・評価

【Q1】どんな人にオススメ?

 2002年のドラッカーの予測がどれほど当たっているか知りたいあなた。
 2002年当時の状況と現代の状況で何がよくなり、何が悪化し、何が解決し、何が積み残されているかを知り、その直線の先にある未来を知りたいと思うあなた。

【Q2】この本の弱みは?

 つくづく、現代のこの世をドラッカーに見てもらい、語って欲しかったと思う。2005年にドラッカー氏がなくなったのが惜しまれる。最大の弱みは新刊が出ないということに尽きる。

【Q3】この本の強みは?

 過去を知り、2002年当時を深く洞察していたドラッカーと現代の世界を知る読者との共同作業でこの先の未来を考えることができるという点。2002年から積み残した課題はこれからより大きく手を付けられないものになるだろう。その課題をはっきり認識できることは大きな意味がある。

 

ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる 個人的イメージ

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【著者 P・F・ドラッカーの気になる著書リスト】

 

マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

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ドラッカーの講義(1991-2003) ~マネジメント・経済・未来について話そう~

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【『ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる』極個人的読書メモ】

!あえて今読む、2002年(今から16年前)に発行されたドラッカー
 
第I部 迫り来るネクスト・ソサイエティ
 
かつて農業生産人口が減ったように、製造業の生産性が上がると共に労働者人口は減り続ける。
成熟産業への補助金は無駄に過ぎない。それは長年注ぎ込まれた農業補助金に見て取れる。同じことを製造業で繰り返してはならない。
日本は未だ製造業偏重である。
ネクストソサイエティは知識労働者の時代である。彼らは自らの職種に対して敬意を払われることを望む。そして彼らにとっての仕事は金だけではなく生き甲斐なのである。
知識は相続できないし、人から人に移動するのに時間がかかるので、平等とも言える。
 
!日本は未だに製造業が大きな力がを持っている。その結果がこの低い経済成長なのかもしれない。ネット企業や新しい金融を虚業と貶める風潮は続き、東芝などの古い製造業の不祥事は見過ごされる。日本に必要なのは製造業にある程度見切りをつけることではないだろうか?アップルのようにサービスと製品開発は残しても。ソニーなどは今、大きな利益を上げているがソニーは金融にかなりの力を注いでいるし、ゲームソフトは製造業ではない。この本を書かれたのは15年以上前なのにいまだに指摘された問題を日本は解決できずにウロウロしている。やや絶望的な気持ちになってくる。また、この本が書かれたのが約15年前、この時代はまだAIの登場については考察されていない。この本で主役に躍り出るとされる知識労働者の地位がまさにAIによって脅かされているのだから、時間の流れの速さを痛感する。!
 
第2部 IT社会のゆくえ
第1章 IT革命の先に何があるか?
 
テクノロジストをお金ではなく(お金ももちろん大事だか)社会的に高く遇さねばらならい。
そうしないと、イギリスの様に没落する。
 
!この本のわかりやすいところは、IT革命が起こっている現在と過去の革命、グーテンベルク活版印刷の発明や、産業革命と対比して思考、予測していることだと思う!
 
第2章 爆発するインターネットの社会
 
グローバル化に対するデモがあるが、的を得ていない。グローバル化によって減る雇用は微々たるものだ。
産業構造そのものが変化しているのだ。
 
第3章 爆発するインターネットの世界
 
コンピュータを使えないトップは価値がない。コンピュータは子供でも使えるものになっている。
 
!今の時代。少なくとも大企業のトップでコンピュータを扱えない人はおそらくいない。だが中小企業にはまだいそうだ。この辺は確かに15年前の話だなぁ。古い!
 
第4章 eコマースは企業活動をどう変えるか?
 
これからは販売する側が強くなる
 
!おっしゃる通りアマゾンはとても強くなりました!
 
第5章 ニューエコノミー、いまだ到来せず
 
一時的変化と本物の変化との差は、人の口に登るのは一時的変化、人が行動するのが本物の変化だ。
 
ビットコインはどうだろう。みんながビットコインで買い物をし始めたら本物の変化というところかな!
 
第6章 明日のトップがはたすべき5つの課題
 
株主である年金基金を説得し、危機に際しては命令し、それでも外部に学び、パートナーとして外部組織を上手に使わなければならない。
 
!たいへんだなこりゃ!
 
第三部 ビジネス・チャンス 
第1章 起業家とイノベーション
 
ベンチャー企業が、陥りやすい罠には成功の拒否がある。自分が想定しなかったところから求められると断ってしまうという罠だ。多くの発明は当初の予定と違う用途で成功している。例えばジッパーだ。
世界中で政府が信用されていない。リーダーシップを求める声が上がっている。しかし、それは間違っている。問題はシステムだ。そもそも国民国家のシステムが400年前のものだ。
 
第2章 人こそビジネスの源泉
 
労務管理の外注や人材派遣が伸びている。労務管理にかかる書類などの手間やコストは減るどころか増え続けていて、2万ドルちょっとの給料なのに労務管理の手間に5000ドル掛かっているのだから外注化してコストをさげるのは仕方ないかもしれない。しかし、それで浮いた時間はしっかりとマネジメントに費やさなければならない。
 
政府というのは何でも法律を作ることには躍起だが法律を減らすことなど、全く考えていない。書類は増えるばかりだ。この書類一枚の提出に国としてどれだけコストがかかるかなど考えもしないのだろうな!
 
第3章 金融サービス業の危機とチャンス
 
ロンドンのシティが再興した。それは国際金融に注力したからだ。アメリカの銀行でさえ、基本的には国内のことに注力しグローバルにビジネスを見ていない
自己勘定取引はギャンブルに過ぎない。多くの証券会社がそれに手を出している。うまくいっている間はトップは目をつぶり、発覚してからトップは想定外の違反があったという。その結果、山一証券やベアリングズ社は潰れた。
今金融は随分とイノベーションが起きていない。手数料の値下げ競争になっている。
今、儲かりそうなのは中流を狙ったビジネスだろう。
 
!この後、マイクロ融資やらキックスターターやらのある意味、仮想通貨やら金融のイノベーションが起きたわけか!
 
第4章 資本主義を越えて
 
日本は官僚に支配された19世紀の資本主義国家である。従って門戸を開放するたびに外国資本に産業を支配される。
NPOは収益以外の評価基準が必要である。
21世紀最大の不安定化要因は人口構造の変化、とりわけ少子化である。
 
!日本も言われ放題だな。まぁ、事実だから仕方ないけど。外国資本に持って行かれても日本に自治権がある限り、一方的な搾取はできないのだから、構わないのかもしれないな。トップで株主が外人というだけで。日産もまぁ、うまくいってるみたいだし!
 
第1章 社会の一体性をいかにして回復するか?
 
過去、世界は多元世界だった。やがて国民国家が生まれ、すべては国家の支配下に置かれた。
しかし、行きすぎた国家支配を、試みたスターリンの手法はあらゆる組織を機能不全に陥らせ、失敗に終わった。
現在の再び世界は多元世界になろうとしている。企業は国家を飛び越える。今日の我々の課題はそれぞれの組織の機能を絞り込み維持しつつ社会全体の為に協働することである。
 
様々な組織はいつの間にかその組織のために活動するようになる。国民国家の核となる中央政府の官僚機構も変わりはしない。それは世界に蔓延する。病院は患者のためよりも病院のためを優先し、学校も生徒のためでなく学校のために問題児を校外に放り出す。!
 
第2章 対峙するグローバル経済と国家
 
国民国家の財政を縛るのは今や実需より遥かに巨大化した為替相場である。為替相場はパニックにより国民国家の財政に打撃を与え、国民国家為替相場の動向を見ながら財政を運営しなくてはならない状態になっている。そしてパニックに対抗して当局は為替介入をするがことごとく敗れている。
輸出の強化には自国通貨安が優位とされているが、それはどうもあやしい。自国通貨安になると海外に工場、拠点を設置しづらくなる。一方で自国通貨が高ければ海外に拠点を起き、そこに部品を供給するなど一部を現地生産にしつつも輸出を伸ばし続けることができる。それが通貨安でも日本が輸出を伸ばし続けた要因ではないかと考える。
 
!この発想は無かった。日本のメーカーが優秀というだけでは説明できなかった投資という視点で言えば通貨高は有利に働くし、日本のホンダが米国ホンダに部品を移動するときに為替はあまり気にされないだろうし!
 
グローバル化と経済的つながりによって戦争が防がれるという考えがあるが、実際は大抵は経済的繋がりよりもナショナリズムが勝って戦争が勃発している。
 
グローバル化が戦争を抑え込むといのは甘えなのだろうか?戦争に突入するときは大抵、双方の国家、もしくは一方は錯乱状態であるからマトモな算盤勘定ができないのだろうな!
 
第3章 大事なのは社会だー日本の先送り戦略の意図
 
日本の官僚は無能だ。
農業改革でも何もせず、流通改革でも何もしなかった。そして何もしなかったが故にどちらもうまくいった。
そして余計なことをしてバブルを生じさせ、崩壊させ、手をこまねいている。そして今回も解決を先送りして問題が消え去るのを待つだろう。
経済を第一と考えるのはアメリカ特有の考え方だ。他の先進国では社会を優先する。
 
今も正に官僚の腐敗が暴露されているがそれに代わるものはない。政治家も野党が最悪なおかげで自民党が増長し、新しいリーダーも改革も行われそうにない!
 
第4章 NPOが都市コミュニティをもたらす
 
田舎にはコミュニティがあった。しかし、それは束縛的であった。人々はこぞって都市を目指し、農民から市民になった。しかし、都市にはコミュニティが無かった。都市には置いて人々は匿名の存在だ。人はコミュニティを必要とする。そこで必要なのがNPOだ。今後、NPOが爆発的に発展することを期待する。
 
!日本でもNPOのシステムが導入されたが、どうも胡散臭いという印象が先行してしまっている。なぜだろうか?企業はだって胡散臭いのはいくらでもあるのに。そもそも日本にはNPOは馴染まないのだろうか?では代わりになるものは?どうにもこの国はドッチを向いても袋小路だ!
 
95点
3時間
 
何しろ、16年以上前の本だから、過去と現状、ドラッカーの予想があたっていたのか?当時から解決したものは?当時から積み残した課題は?と時間を隔てたちょっと変わった角度で読めて面白かった。そして何よりドラッカーの慧眼には2018年の今でも驚かされる今は亡きドラッカー現代社会について聞いてみたいと思うのは世界中の読者の叶わぬ願いではないだろうか?