加速度的進化の時代、社会は?人は?『遅刻してくれて、ありがとう(上) 常識が通じない時代の生き方』書評・目次・感想・評価
[読みやすさ 9/10] さすがは熟練のライター。翻訳物にも関わらず読みやすい。
[何度も読む 6/10] 何度も読むような種類の本ではない。友達に貸してあげよう。
[読後感 8/10] 最終章には希望がある。早く(下)を読みたい。
[学び 9/10] 世界がどのような方向に向かっているか考える学びがある。
[斬新さ 8/10] 突飛な意見はないがなるほどと思える切り口は多い。
【Q1】どんな人にオススメ?
自分はもちろん世界の未来について漠然とした不安を抱えているあなた。
新しい時代に求められる人材についてアメリカでどんなことが始まっているのか知りたいあなた。
何を学ぶべきかを迷っている学生さん。
【Q2】この本の弱みは?
とにかく厚くて立ち読みでは腕がしびれるから買うしかない。働くことに関してはフォーカスしているのでいろいろ学べるが人生のもう一面であるプライベートに関してはあまり記述がない。(下)に期待。
著者がリベラルな考えの持ち主なのかやや理想に過ぎるきらいがある。きっと未来には厳しい決断も必要になるだろうが、その部分は避けている気がする。
【Q3】この本の強みは?
ベテランコラムニストが、洗練された読みやすい文章で、最先端を取材し、未来を描き出して見せている。
日本でも新しい時代を告げる本が多いが、どうも煽りや、上から目線の著者が多い(個人的には彼らは大好きだが)ので、タイプライターの時代から書くことで生きてきた著者の含蓄の多い文章はすんなり心に入ってくる。
【著者 トーマス・フリードマンの気になる著書リスト】
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かつての超大国アメリカ―どこで間違えたのか どうすれば復活できるのか
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【『遅刻してくれて、ありがとう(上) 常識が通じない時代の生き方』目次と読書メモ】
PART1 熟考
Chapter 1 遅刻してくれてありがとう
相手が遅刻してくれたおかげで考える時間を得ることができた。
世界は直線ではなく係数的に変化しているので人々は居心地の悪さ を感じている。
そんな時は一時止まってみるのだ。 そうすることで人生が始まる。
!ブログが世界に発信するということが、 すべての人を方に報道に携わる可能性を授けたわけだ。もちろん、 やるかやらないかは自由だが。 そして世界の流れのビッグマシーンをどういう風に持っていくかを 考えなくてはならない!
PART2 加速
Chapter2 2007年に何が起こったのか?
2007年に世界では様々な変化が起こった。
テクノロジーの進化は指数関数的だか、 少し前までは人々はどうにか適応していたが、 それも限界を超えてしまった。
テクノロジーの進化を留める選択肢もあるが、 それは地球に起こる様々な問題を解決する妨げになる。 人類の問題の多くはテクノロジーによって解決しうるからだ。
!ここで配線をつなぎとめても、 指数関数的にテクノロジーや社会が変化するとなると、 焼け石にウォーターではないだろうか?!
Chapter3 ムーアの法則
現代はあらゆるものにセンサーが付いていて、 物理学を知らなくても、列車の車輪がいつ壊れるかわかる。
Chapter4 スーパーノバ
インターネットとテクノロジーの進化は車を一台も持たないタクシ ー会社、不動産を持たないホテルなどを生み出しだ。 アリババは在庫を持っていない。 これはある意味すべての人がメーカーになれることを示している。
トルコでは国会議員はリアルタイムに自分の評判をチェックできる 。
今のテクノロジーの爆発はあらゆる人にとてつもないチャンスと力 を与えている。
産業革命は数千万の人に影響を与えたが、 スーパーノバは20億人の人に影響を与えている。
Chapter5 市場
過去においてはストックが大切な要素であった。
インドでは最貧困層が住む地域でも社会的課題を乗り越える新しい ビジネスが生まれつつある。
世界のグローバル化が進んで人々が自分たちの立ち位置、祖国、 故郷、などが脅かされると感じると人々は壁を欲するようになる。
様々な特殊なカテゴリも世界がつながる時代では同じカテゴリに興 味を持つコミュニティを見つけることができる。
これからの時代は他の良い点を素直に吸収できる存在が飛躍する。
Chapter6 母なる自然
我々人類が生きるこの時代は完新世とよばれる。
すでに完新世は終わり人新世という新しい時代に入ったと考える人 もいる。
自然破壊はそこにある黒い象だ。 誰にも見えているのに誰も対処しようとしない破滅。
一方で自然破壊を加速しうるものとして、人口増加がある。 日本が直面している人口減少でなどはまだ対処しうる問題で今後、 アフリカでは人口が20倍、30倍と増えることになる。
それに対処するには中国の一人っ子政策のようなものではなく、 女性に産む産まないの決定権を与え、教育を与え、経済力を与え、 自立する力を与えることである。 アフリカでは未だにお祝いの言葉で7人の息子と7人の娘を授かり ますようにというのがあるほどだ。
一方の人口増加も女性に権利と力を与えるのはもちろん賛成するが 、それだけで間に合うとは思えない。 やはり中国の一人っ子政策ほどでないにしてもそれに近いこと、 子供の多い親の年金を減額するなどのインセンティブを与える必要 はあると思う。
著者のリベラルな考え方は好きだか、 大事なところで甘いのもまたリベラルなんだなぁと思う。!
PART3 イノベーティング
Chapter7 とにかく速すぎる
タイプライターは約100年3世代の間使われ続けた。 それほど物理的イノベーションはゆっくりしていたのだ。
今は次々と新しいテクノロジーが登場して世界を変えていく。
物理的イノベーションは指数関数的に加速しているそれを減速した り流れに竿さすことはできない。
それを行おうとすれば転覆する。
社会的イノベーションを倍速にして追いつくしかない。
もっと根本的な解決策を見つけてくるしかないのではないだろうか ?
例えば年金支給時期を平均寿命の伸びに連動させていちいち国会で 議論する必要をなくすような。
いやもう政治をAIにやらせないと間に合わないかもしれない。
人間はせいぜいパラメーターを振るぐらいにして。
福祉8国防6みたいな感じで。
指数関数についていくには指数関数しかないのだから。!
Chapter8 AIをIAに変える
AIを知的支援(IA)として利用しなければならない。
学生は何を学ばなければならないか、 何を足りないかをAIが教えてくれる。
ネットワークによって世界中の人が仕事を取り合うライバルになり うる。
物理的イノベーションに則って人は常に学び続けなければ働き続け られなくなる。
専門職でなくとも求人広告サイトに動画が用意してあって面接のア ドバイス、その仕事に必要な最低限のこと、 仕事の内容に関する1時間半程度の動画が用意されている。 それを見て学び面接を受けに行ってもよしやめてもよし。 求職と求人のマッチング率を高め、 新人の初期教育負担の軽減に貢献している。
大学も企業からの要望に対応する形でカリキュラムを更新し続け、 オンラインで学位が取れる大学が増え続けている。
これらのオンライン大学は一般の大学キャンパスでの教育と競合す るものではない。キャンパスは23歳、 オンラインは30台中盤の年齢の人が多い。
!ぼくも暇をつかってオンラインでいろいろ勉強してみようかな。 ワードプレスとか!
今まで就職に関しては学位を持っているか持っていないかで判断さ れてきた。はれは0.1の判断だ。
例えば大学も3年で経済的理由で卒業できなかった人は0として計 算され学んだ3年は評価されなかった。
AIはスキルと仕事の最適なマッチングを進める鍵にもなりうる。
ビルのメンテナンスもビルのあちこちにセンサーを付けて壊れるま えに対応したり、 壊れてもすぐに対応する方法をタブレットに表示されるなどAIを 知的補佐(IA) として利用して飛躍的に働く人の誇りと生産性を高めている。
先端企業のウーバーは最終的には自動運転を目指し、 人を必要としなくなる方向性だが、 一方のエアバーブは逆に1億の起業家を生み出そうとしている。 エアバーブのサイトで体験をクリックするとわかる。 泊まると3対3のバスケを楽しめますよとか、 アマチュア歴史家なので近隣の遺跡を案内しますよなど、 今までであれば埋もれていた様々な人々のスキルが掘り起こされ活 用されている。
これからは2つの選択肢が与えられていると思う。 1つは常に時代を追いかけ社会に必要とされることを学び続ける道 、もう1つは自分のやりたいことをひたすら続け、 もしかしたら社会に必要とされる可能性もあるけどそのまま楽しく 埋もれていく道。ぼくは後者かな。 もちろん学ぶこともおそらく好きだけど社会の要請に応えて高給を もらうことに興味がないから。 変遷の激しい時代だからこそ無欲に続けていくことの価値は逆に高 まるかもしれない!
96点
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