『デジタル・ゴールド──ビットコイン、その知られざる物語』書評・目次・感想・評価

【Q1】どんな人にオススメ?

  ビットコイン、仮想通貨について学びたいけど、小難しい説明はあまり読みたくない文系のあなた。質の良い群像劇を読むうちにビットコインの成り立ちを知ることができます。

【Q2】この本の弱みは?

  物語としてはとても面白いが、説明する図表など少ないので、仮想通貨の原理や、フィンテックなどの仕組みを学ぶには足りない。

【Q3】この本の強みは?

   まず群像劇として面白い。そしてビットコインの歴史を学べる。ビットコインの仕組みを理解しきれなくても十分に読める内容。

デジタル・ゴールド──ビットコイン、その知られざる物語

デジタル・ゴールド──ビットコイン、その知られざる物語



【『デジタル・ゴールド──ビットコイン、その知られざる物語』目次と読書メモ】

第1部
 
 ビットコインの基本を提案、構築したサトシと名乗る人物から、ビットコインで買い物ができる非合法品取引サイト「シルクロード」を作った男まで、様々な男たちが織りなす、ビットコインの始まりの物語。
 
^_^ 暗号通貨とリバタリアンは相性がいいと考えていたが、リバタリアンの理想を実現するテクノロジーとしてのビットコインという側面は大きいようだ。個人的にはリバタリアン的考えには全面的には賛成できないが、もう少し個人が力をつけて、政府との力関係が均衡した方がいいと考えているので、暗号通貨の普及は是非実現してもらいたいとは思う。それにしても第1章からビットコインをめぐる群像劇はとても面白く、一気に読んでしまった。さあ、続きだ。
 
第二部
 
 アルゼンチンのような自国通貨の信用性が低い国ではビットコインが支持されやすい。反面、安定した自国通貨を持つ国ではなぜ必要なのか理解されにくい。
 
^_^ それでも日本ではビットコインが人気になったのはやはり投機目的ということなのだろう。
 
^_^ この本に出てきた『負債ー最初の5000年が邦訳『負債論 貨幣と暴力の5000年』されていたので早速、予約。お金の概念を既成概念を変える内容らしい。楽しみ。

 

負債論 貨幣と暴力の5000年

負債論 貨幣と暴力の5000年

 

 

 ビットコインの価格は多くの資産家の参入で増加の一途だがトラブルも頻発。不法な取引サイトシルクロードは売り上げを伸ばし続ける。

 
 固いフォーク問題。ビットコインネットワーク上で台帳への書き込みに関して意見が割れてしまうこと。この時は多くのマイナーがバージョンを落とすことに合意して、ことなきを得た。サトシの埋め込んだインセンティブが働いた。
 
^_^ 様々なトラブルがビットコインに降りかかるが、根幹の部分の問題は固いフォーク問題だけか。
 
第三部
 
 ビットコインの問題。ブロックチェーンに記録できる取引の数に制限がある。10分間に400件程度、一方ビザは毎秒2,000件の処理ができる。
 これを解決するにはソフトに相当な変更が必要。
 ピットインコイン自体が一部の人間に集中していることまたマイングも1日の採掘業者に集中している。
 また取引の巻き戻しができないため誘拐や脅迫などにビットコインが使われている。
 
^_^ 民主的なはずのビットコインも結局1%の人が99%の富を持つという状態になっている。また結局、中央集権的な銀行や政府の助けや許可が無ければ立ち行かない現実。ところでビットコインに限らず仮想通貨でベーシックインカム制度というのはどうだろう。しかもそれで翌月になるとコインが消えるようにするとか。地域振興券的にも使えるのではないだろうか?