『愛しのオクトパス――海の賢者が誘う意識と生命の神秘の世界』書評・目次・感想・評価

【Q1】どんな人にオススメ?

  動物が好きなあなた。水族館が好きなあなた。スキューバダイビングが好きなあなた。動物を飼っている、もしくは飼いたいと思っているあなた。

【Q2】この本の弱みは?

  あえて言うなら、もっと写真が欲しかった。聞いたことのない海の生物がたくさん出てくるのでGoogleで調べながら読み進めた。アテナや、オクタヴィア、カーリーたちの写真をもっと見たかった。

【Q3】この本の強みは?

  タコという一般人には興味の薄い動物でここまで詩的で、ウィットに富み、興味深く感動的な本を仕上げた著者や翻訳者、関係者に感謝。ぜひ多くの人に手に取ってもらいたいベストセラーになってほしい一冊です。

愛しのオクトパス――海の賢者が誘う意識と生命の神秘の世界

愛しのオクトパス――海の賢者が誘う意識と生命の神秘の世界



【著者・サイ・モンゴメリーさんの気になる著書リスト】

 

テンプル・グランディン―自閉症と生きる

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彼女たちの類人猿―グドール、フォッシー、ガルディカス (20世紀メモリアル)
 
幸福の豚-クリストファー・ホグウッドの贈り物

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【『愛しのオクトパス――海の賢者が誘う意識と生命の神秘の世界』目次と読書メモ】

第1章 アテナ 軟体動物の心と出合う
 
 著者、水族館で水ダコのアテナと神秘的な出会いを体験する。筆者はアテナの急死を知った時、涙する。二、三度会っただけなのに、筆者にとってアテナは特別な存在になっていた。
 
100点 文章もうまいし非常に面白い。
 
第2章 オクタヴィア ありえないはずなのにー痛みを味わい、夢を見る
 
 アテナの後にやってきたオクタヴィア。野生で大きくなったのでなかなか心を開いてくれない。
そんな中で筆者は電気ウナギが夢を見て放電するのを目撃する。
 
^_^ やっぱり魚も夢を見るんだね。ブレードランナーの原作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』とかけているのかな。
 
^_^ ハエすら睡眠を妨害されると翌日、飛ぶのが下手になるとか、ほんと睡眠て大事なんだね。
 
100点 やはり面白い。タコの魅力にグイグイ引き込まれる。
 
第三章 カーリー 魚が結ぶ縁
 
 タコは変色や変形によって敵や餌を騙さなければならないので相手の様子を考えていることを理解しなければならない。だからタコは共感力が高いのかもしれない。
 
100点 カーリーと子供達の交流が美しく、愛おしい。
 
第四章 卵 始まり、終わり、変貌
 
 オクタヴィアは卵を産む。それによって彼女の寿命は半年ほど長くなる。
 しかし、卵は無精卵なので孵ることはない。
 それでも愛を持って卵の面倒を見るオクタヴィアはやさしく美しい
 見る人の心に悲しさと慈しみをもたらす。
 
100点 水族館の話なのに程よく詩的で読みやすく面白い。
 
第五章 変貌 海の中で息をする
 
 著者はオクタヴィアやカーリーの生きる水の世界を体験するため、ダイビングを始める。
 ダイビングではみんな普通に海にオシッコをする。
 ゴーグルに唾を塗る。
 レンタルだと、あれだね。
 著者は黒と耳の痛みに耐えながらダイビングライセンスを取る。
 
98点 びろうな話が多い。が不快なほどではない。
 
第六章 出口 自由、欲望、脱出
 
 タコの吸盤が海水に溶けている化学物質を識別する制度は、人間の舌の100倍の精度という研究結果もある。
 
^_^ 水の成分からその水の採取地の生態系を調べる研究があったような
 
 タコの足、1本1本に個性がある可能性すらある。
 場合によっては足同士で喧嘩する可能性すらある。
 タコの体の中には複数の意識があるのかもしれない。
 
100点 最後はショックだった。何事も完璧はない。悲しいことに。
 
第七章 カルマ選択、運命、そして愛
 
 メスに言い寄って冷たくあしらわれたショウジョウバエのオスは、思いを遂げたオスに比べて飲酒(研究室でアルコールを補った液体の餌)に走る率が20%上昇することがわかった。
 
^_^ ショウジョウバエも酒に走るんだな。
 
 筆者は他の水族館で素晴らしいタコの交接を見る。
 理解できず子供は帰ったが大人たちは感嘆し、その美しさを褒め称えた。
 
100点 タコのセックスをここまで読ませる文章にする著者に感動すら覚える。
 
第八章 意識 考え、感じ、知る
 
 オクタヴィアが死ぬ。