『ロボット--それは人類の敵か、味方か――日本復活のカギを握る、ロボティクスのすべて』書評・目次・感想・評価

[読みやすさ 8/10] 専門用語がいくつか出てくるが基本的には読みやすい。 
[学び 8/10] ロボットと人工知能を合わせて学べる価値ある一冊


【Q1】どんな人にオススメ?

 人工知能ブームの中、人工知能とロボットの融合について興味があるあなた。少子高齢化を迎える日本に悲観的なあなた。ロボットが希望の光になるかも。

【Q2】この本の弱みは?

 これはぼく個人の問題なのだが、どうしても人工知能の話は専門用語が出てくると、難しすぎてついていけない部分がある。ぼくにでも分かり易い人工知能の本ありませんかね?

【Q3】この本の強みは?

  人工知能の話題が騒がしいですが、人工知能とロボットの融合で何が起こるかを書いた本はあまりなかったので、それが書かれたこの本の価値は高いです。人工知能は時間を飛躍するが、ロボットは時間と空間に縛られるので、今までの蓄積を持ち、少子高齢化で労働者が足りなくなる日本にアドバンテージがあるという話は面白くも希望が感じられた。

 

【『ロボット--それは人類の敵か、味方か――日本復活のカギを握る、ロボティクスのすべて』目次と読書メモ】

 

1.始まりは産業用ロボット ロボティクスの夜明け
 
 ロボットと言うと一般の人は人間型のロボットを想像するが、最初のロボットは腕だけ。
 日本の終身雇用制がロボットの発展に貢献した。
 なぜならロボットが導入されても自分の雇用が守られているので熟練工も協力してその技術を惜しみなくロボット開発につぎ込んだから。
 
2.1980年、ロボット普及元年 第一次ロボットブーム(1980年代〜1990年代)
 
 原子炉内作業用ロボットの研究は極秘で進んでいたが、日本の原子炉が事故を起こす事は無いという安全神話から、常に起動し作業に入る状態にしておかなければならなかったものを、予算がつかず所蔵しておくことすらなかった。
 その結果、福島原発の事故の時、作業に入れる事は1台もなかった。
 
^_^ 安全神話の弊害がこんなところにも存在した。新基準で安全だと言う政府の言葉をどうやって信じればいいのか?
 
第3章 夢の二速歩行ロボット 第二次ロボットブームとその終焉(2000年から2010年初頭)
 
■ワード
動歩行
力の釣り合いに加えて、体の勢いや運動量など動的な効果も併せて考慮した歩行(ページ81)
 
 ヒューマノイドロボティクスプロジェクトの「HRP-2」「HRP-3」の外観デザインは、アニメ「機動警察パトレイバーメカデザイナー出渕裕氏によるもの。
 
 女性型ロボット HRP-4C を見よ!
 この時代のロボットは結局、一般の人々の期待には答えられなかった。
 そもそも期待が大きすぎた、人は人間型のロボットを見ると人間と同じようなことができると思い込んでしまうところがある。
 またメンテナンスの問題もある。
 コピー機ですが定期的なメンテが必要、ましてや複雑な動きをするロボットはメンテは必須である。
 
第4章 時代は「単機能ロボット」へ 第三次ロボットブーム(2010年代〜)
 
 東日本大震災以降、単機能そして、タフなロボットが求められるようになった。
 
^_^ 何より実用性が必要と言うことですね。
 
□小話
 世界一癒し効果のあるロボットとして2002年にギネスに登録されたアザラシ型ロボット「パロ」は犬や猫でなく、竪琴アザラシの赤ちゃんがモデルになっているのは本物と比較のしようがないから。
 
第5章 AIブームと共に世界で注目される「ロボティクス」
 
 ロボットのOSにあたるものは無料で公開されており、オープン化、モジュール化により、参入障壁は低く、ベンチャーや個人でもサービスロボット開発に参入できる。
 著者は参入するなら今だと思っている。
 
第6章 なぜ日本は、ロボティクスで世界的に有利なのか?
 
 AIは無限にシュミレートして時間を飛び越えて経験値を重ねることができるが、ロボットは実際の世界で動かして経験を重ねることしかできない。
 つまり今までの蓄積を持つ日本が有利。
 課題先進国の日本、高齢化社会でロボットの強いニーズがある。
 
□ 小話
 ロボローチ ゴキブリの神経に電極を指して、信号を流し、ゴキブリをスマートフォンでラジコンのようにコントロールするセットがゴキブリ付きで売っている。160USD程度。
□小話
 2016年、スイスで人と機械の融合をテーマにスポーツイベント「サイバスロン」が実施された。種目はパワード義手や、パワード義足、パワード車椅子など。競技者はパイロットと呼ばれる。
 
92点
読了まで3時間
 
 面白かった。日本の未来に希望を感じられる本はやっぱいいね。