『クマムシを飼うには―博物学から始めるクマムシ研究』書評・目次・感想・評価

[読みやすさ 7/10] 対談形式ですが、ちょっと読者おいてきぼりのところあり。 
[学び 8/10] 日本の大学でメインストリームでない研究者の置かれ方を学べる。 
[娯楽性 7/10] 対談形式なのでスラスラ読めるが愚痴が多いかな。

【Q1】どんな人にオススメ?

 なにより『クマムシ?!-小さな怪物』を読んだ人。

 

クマムシ?!―小さな怪物 (岩波 科学ライブラリー)

クマムシ?!―小さな怪物 (岩波 科学ライブラリー)

 

 

【Q2】この本の弱みは?

 『クマムシ?!-小さな怪物』を読んだ人、前提で書かれている点。

【Q3】この本の強みは?

  対談形式でスラスラ読めて、さらに日本の研究者の苦労を知ることができる。

【著者・鈴木忠さんの気になる著書リスト】

 

 

クマムシ?!―小さな怪物 (岩波 科学ライブラリー)

クマムシ?!―小さな怪物 (岩波 科学ライブラリー)

 

 

【『クマムシを飼うには―博物学から始めるクマムシ研究』目次と読書メモ】

Part1 観察
 
クマムシは解剖学的には分かっていることが多いが、生殖や雄が少ない理由等については分かっていないことが多い。クマムシの研究は200年ほど続いている。
餌はワムシ、見ていると飽きないらしく4時間ぐらい見ている人もいる。うんこはでかい。
 
Part2 生態
 
クマムシや、シーラカンスなどのように世間での知名度が高い割に生態が分かっていない動物と言うものがいる。
昔は生物学等は皇室がやるものだとすら思われていたが、現在はバイオテクノロジーと言う経済、産業に直結した分野になったので、資金も人手もかける研究が盛んになった。
 
Part3 研究
 
クマムシは実際わからないことが多い。何が必須栄養素なのかもわからない。腸内に共生する細菌がいるのかどうかもわからない。休眠状態の時、その細菌がどうなるのかもわからない。
クマムシは海にもいる。また苔を探せば結構簡単に見つかる。
 
Part4 教育
 
クマムシも、アメーバも、自分の精子もいつでも見られると思うと結構見ないもの。お客の自主性に任せた飲み屋があった。
 
^_^ お客の自主性に任せた本屋はできないものだろうか?
 
Part5 文献
 
ベストセラーになった「へんないきもの」は功罪がある。入り口としてはいいが、真実とは言えないことも書いてある。クマムシは100年生きるとあるが、まだよくわかっていない。
 
日本は歴史的事情もあったかもしれないが、大学などの標本などもないがしろ。教授が変わると過去の資料を捨ててしまう。ブームなのにロボットすらそう。
 
Part6 評価
日本の研究はスパンが短すぎる。下手をすると企業の研究機関よりも短い。企業はロングスパンの研究とショートスパンの研究を組み合わせて上手に回している。
 
あとがき
 
著者は「クマムシ?!」出版でクマムシの正しい姿が伝わるかと思ったがそうはいかなかった。
相変わらずネットには真偽が入り乱れている。
クマムシは何をしても死なない(正確でない
水がなくても100年以上耐えられる(正確でない
核戦争があって人類が滅んでも生き残る(正確でない
 
ある種のクマムシが乾燥した状態に限っては、びっくりするような耐久性を示すし、水をかければたちまちよみがえって動き始めると言うのは本当。
 
78点
読了まで2時間