『15歳のコーヒー屋さん』書評・目次・感想・評価

【『15歳のコーヒー屋さん』目次と読書メモ】

はじめに
 
名言
できないことがたくさんあっても、できることだってある。できることを生かせば、自分の生きる道はある(岩野響 15歳のコーヒー屋さん)
 
チャプター1 幼少期のぼく
 
発達障害」を知らなかった私たちー母・岩野久美子
 
人間が人間を育てるなんて、おこがましい。生命を契約しようなんて思う事が間違っていてサポートでいいのよ。響さんは、響さんで完成されてすばらしいわけだから。ページ48
 
男親として考えたことー父・岩野開人
 
^_^ お父さんは対社会として、響くんの将来を心配していた。それはやはり社会人として生活費を稼いでくると言う役割を担っていたから、社会の厳しさを知っていたからなのだろう。僕は母子家庭で育ったが、両親2人の意見をぶつけ合っての子育てと言うものの難しさとその価値を感じる。障害と診断されるまでもなく、それでも現代社会で生きにくいと感じている人は多いだろう、だからこのような本が支持されるのだろう。
 
 
チャプター2 大きな壁にぶつかった中学時代
 
^_^ この本は響くんと、お父さんとお母さん3人の視点で描かれているから同じ状況でも違った視点を知ることができるのでとても興味深く読むことができました。
 
中学校は波乱の幕開けー母・岩野久美子
 
教育支援機関の先生は、教職を定年退職した御年配の方が多かった、
 
^_^ 全く役に立たなかった教育支援機関。ここにいる先生方が40年近く教職を務めあげてきた人間だと考えると、その長い期間、響くんのような子供をどれだけ苦しめてきたのかと空恐ろしくなる。しかも自分は教育のプロ、ベテラン、親は自分の意見を聞くべきと思っているのだから。
 
^_^ お父さんお母さんは一生懸命やっているがなかなか辛かったようだ僕のような適当な人間ならすぐ学校なんか行かなくていいよと言ってしまいそうだが、この学校というものを神聖視する日本の風潮は簡単には揺るがないのだろうな。その先には就職する、毎日通勤する。少しずつ緩んできている気がするがまだまだこの毎日学校に通い、卒業したら毎日会社に通うと言う生活が常識という考え方は大きく存在している。僕のような人間が平日の昼間にちょっと歩いているとちょっと自然を感じるもんな。
 
不器用なのが響きのよさー 父・岩野開人
 
 ぼく自身は、中学を出たら高校へ行って、少しでも良い大学、いい会社に就職したいと思うような、いわゆる一般的なルートを選んできたタイプです。ページ93
 
^_^ そのようなルートを選んできて現在染色家をやっているわけだからお父さんは一般的なルートを最終的には選ばなかった、選んでも他の道に進んだ人間だった。だからこそお母さんにはできなかった響くんに学校休ませると言う決断をできたのだと思う。
 
チャプター3 働くことで新しい世界が広がる
 
 この頃に出会った大人の人たちには、いわゆる一般的な会社勤めをしなくても、もっと自由に稼ぐ方法はあるということを教えてもらいました。ページ109
 
^_^ 会社勤めをしていない大人としては自分に触れた子供に会社勤めをしなくても人生は楽しく生きていけると思ってもらえるような素敵な生き様を見せられる大人になりたいと常々思っている。しかしこれがなかなか。
 
できることと、できないことを理解する大切さー母・岩野久美子
 
根本にあるのは、「1個できなかったら、1個できることを見つければ0になる」言う思いです。ページ117
 
響きを知ることで、ぼく自身が成長できるー父・岩野開人
 
 ぼくは、とにかく家族と一緒にいられる時間を作りたかった。そのために、仕事を作り出したようなところもあります。ページ126
 
^_^ このお父さんの決断はとても難しくとても重いものだったと思います。何より自分がサラリーマンを辞めて自営になってもやっていけると、思えたのだからすごいお父さんです。一度乗った線路から飛び降りるのは本当に勇気の要るものです。
 
チャプター4 僕の仕事はコーヒー焙煎士です
 
 やり始めると面白くて、僕自身はずっとやっていたい位ですが、「もう、今日は終りにしたら」と声をかけられるので、「じゃ、やめよう」と言う感じです。ページ138
 
^_^ どんな仕事でもこれほど集中し楽しくできるなら天職だろう。健常者でも毎日の仕事をこれほど楽しくやっている人は少ないわけだから響くんは幸せ者だ。
 
 焙煎家の知り合いからも、1日にできて3〜4時間が限度だと聞いていました。でも僕は9時間、10時間やっても平気なのです。ページ139
 
^_^ ある意味、響くんのアスペルガーが良い方向に向かって作用しているとも、言えるのかもしれない。もちろん周りの人が止めてあげなければ体を壊してしまうかもしれないのでサポートする人間は必ず必要だけれども。
 
 いま毎日生活できているのは、両親のおかげでもありますが、30歳を過ぎてまで一緒に入るのは申し訳ないと考えています。ページ159
 
^_^ うわぁ、厳しいお言葉。世の中にこの言葉にそう思っている人はかなりの数いるのではないだろうか。それでも彼にはサポートする人間は必要なので、サポートしあえるお嫁さんをもらうのが良いのではないだろうか?超余計なお世話でした。
 
響は、そのままでいい 母・岩野久美子
 
 これじゃなきゃいけないと思うとしんどくなります。これだと決めた瞬間に、安心もあるけれど縛られることになってしまうから。(岩野久美子 岩野響の母)
 
小さな焙煎器から始まった、大きな世界 父・岩野開人
 
 響のことを理解することで、こんな考え方しかできないと言う自分の限界が見えることがあります。それまでの自分に足りなかったものが見えてくるのです。結局は物の考え方や見方1つで、人生は変わります。ページ167
 
^_^ 自分の狭い考え方を、自分の限界と考える在り方はとても好きです。ある人を嫌いになった時、あーここが自分の今の限界なんだなと思うのです。
 
解説 数々の選択が、良い結果につながっている 星野仁彦(心療内科医・医学博士)
 
100回のカウンセリングより1回の診断ページ172
 
小話
アメリカでは子供が2週間以上学校休んだ場合、児童精神科医に連れて行かなければ親と校長が児童虐待として罰せられます。ページ181