『女は人生で三度、生まれ変わる―脳の変化でみる女の一生』書評・目次・感想・評価

【『女は人生で三度、生まれ変わる―脳の変化でみる女の一生』目次と読書メモ】

はじめに
 
1 女性の脳の誕生
 
 生物学的事実は、私たちの個性や行動傾向の基本である。
 自由意志の名のもとにーまた「政治的公正」にこだわってー生物学的事実が脳に及ぼす影響を否定しようとすれば、自分自身の自然を敵にまわすことになる。
 
^_^ 事実よりも、綺麗事を優先する声の大きい輩がどこの世界にもいて、害悪撒き散らしている。事実を事実として受け止めて対応を考えることが何より重要であるのに。
 
(女性には)、人とのつながりやコミニュケーションを切実に求める価値観がありこの価値観は実はホルモンが女性の脳に影響を及ぼして作られる。ページ28
 
1 女性の脳の誕生
表情読み取る
音声を聞き取る
同調し、共感する
母親のストレスを取り込む
争わない
男の子とは遊ばない
生まれも育ちも
ジョージの横暴さ
 
男性は一人当たり翌7千語を使うが、女性は2万語である。ページ36
 
^_^ この差は大きいなぁ。男の俺は1話したら3は聞かなければならないわけか。
 
 女児は生後2年間の母親の情動を取り込み、その影響は数世代にわたって続くこともある。男児においてはそこまで母親の神経システムを取り込む事は無いようだ。
 
^_^ 女児と言うのは母親に大きな影響を受けやすいらしい。にわかには信じられないが。
 
 男児と比べて女児は平和的で友好的な存在であるとされがちだが、実は男児とは異なった形での攻撃性を持っている。
 仲間外れにされるの嫌い、絆を維持しつつ、そのコミュニティーを支配しようとする。
 女児は男児よりはるかに複雑で社会性に富んだ攻撃性を持ち合わせているのだ。
 
^_^ なるほど。単純なステレオタイプに陥らないようにしつつ、読み進めていけばなかなか面白い内容だ。自分が過去に男児であったが人の顔色ばかり伺っていた気がする。まぁ大雑把な傾向と考えれば納得いく部分は多い。
 
2 十代の女の子の脳
日によって違うストレス
人とのつながりが快楽
男の子は話さない
孤立することを恐れる
睡眠サイクルと気分の変化
10代の脳は波瀾万丈
脳が衝動をコントロールできない
うつのリスクは男の子の2倍
女の子同士の闘い
 
 ヒヒは社会的なつながりが最も濃いメスは生き残っている子供が1番多く遺伝子を伝えることに成功していると言う。
 
^_^ 出産と何より子育てをしなければいけない女性は社会的つながりを重視せざるをえないし、社会的つながりを維持した個体が子孫を残してきたと言うことか。
 
原始的な脳は言う。「つながりをしなったら、お前も子供もおしまいだ」ページ81
 
 10代の女の子の脳はトラフィックを処理できないモデムのようなもので度々、暴発する。彼らの問題を解決するには教育よりホルモン剤が有効な場合がある彼女らの暴走に対しては親が代わりに正しい判断をしてやる必要がある。
 
 ロミオとジュリエットももう少し大人になってホルモンバランスが安定すれば、情熱も冷めると周りが理解していればあの様な事にはならなかっただろう。女性の方が先に成熟するのでジュリエットの方が先に冷めるだろう
 
^_^ 十代の自由恋愛というものがいかにリスキーなものであるか思い知らされる内容ではある。思春期の暴走した脳でパートナーを、時には生涯のパートナーを決めてしまうわけだから。
昔のお見合いや、トルコなどで行われている取り決め婚などの方がはるかに合理的ではあるようだ。何しろ、経験豊かでホルモン的にも安定している年長者が話し合ってパートナーを決めるわけだから。他の本にも、お見合いや取り決め婚の方が当初は恋愛結婚に劣るとは言え、5年後、10年後の幸福度は恋愛結婚に勝ると言うデータもある。
ある程度、大人になってから結婚すると言うのは合理的ではあるようだ、結婚が遅くなりすぎると妊娠出産に問題が生じるということもあるが。
何事もほどほどがよろしいようで。
 
^_^ 避妊薬の一部が女性の性的衝動を減らすと言う皮肉なものだ。
 
3 愛と信頼を求めて
理想的なパートナーの条件
男性が求めるもの
彼は信用できるか?
恋する脳
ロマンティックな絆
ストレスが及ぼす影響
一夫一婦遺伝子
失恋に苦しむ脳
 
 女性が配偶者候補に対して重視するのは、社会的地位や経済力である。それは残念ながら女性が自立した経済力を持っていても変わりは無い。金持ちの女もそうでない女と同様に、やはり金持ちの男を選ぶ傾向は変わらないのだ。
 それはやはり原始時代からの傾向が、ここ数十年女性が自立するようになったからといって急に変わらないからである。
 
 恋愛中の脳の回路は、強迫観念、躁状態、中毒、渇き、飢えなどと共通した状態になっている。
 
^_^ マジでヤバイ状態ですよねこれ。
 
 オキシトシンは人に対する信頼を促進する効果が認められている。
 
^_^ 詐欺集団が、加湿器にオキシトシンを混ぜてセミナーを開けばとんでもないことになりそうですね。
 
 抱擁に関する実験から、オキシトシンは普通1人の相手と22回の抱擁の後に脳内に放出される。
 
^_^ 22回ってやたらリアルな数字ですね。とりあえずお金払ったり、土下座して22回抱擁して貰えば、、、。
 
小話
一夫一婦制の哺乳類は哺乳類全体の5%に過ぎない。
 
 男性の浮気性であるか否かの沢、少なくとも17種類あるバソプレシン受容体の遺伝子次第と言う部分がある。
 
^_^ 自分が遺伝子的にどうなっているのか知ってみたい気もするが、結果が悪ければ相方には知られてはいけない。手軽に薬局で調べられるような時代が来るのも恐ろしい気がする。
 
小話
 失恋して自殺する確率は、女性より男性の方が3倍から4倍も高い。
 
4 へその下の脳
女性にはムードが必要
オーガズムの真の目的
女性の浮気の生物学
愛の燃料はテストステロン
セックスに関する男女格差
 
 女性は扁桃が非活性化して安心感に包まれなければオーガズムには達しない。その点でも女性のオーガズムに達する過程は男性より複雑で条件は厳しい。
 
^_^ つまりはアダルトビデオのレイプもので女性がイキまくるなんてのはファンタジーに過ぎないということか、、、知らんかった。恥ずかしい。
 
 女性がバイブレーターを好むのは余計な不安を排除できるからである。相手にどう見えるかとか、はやくイキすぎてはいけないとか、余計なことを考えないで済む。
 
 多くのセックス・セラピストが、女性にとってはペニス挿入に先立つ24時間の出来事すべて前戯だ、と言う。ページ141
 
^_^ つまりは男性は1日かけてムードを作り女性をその気にさせろ、ということか、、、
 
 男性はハンサムであるほど(左右対称であるほど)女性はオーガズムに達しやすい。オーガズムに達しやすいと妊娠しやすい。そして、ハンサムほどデートに金と時間を掛けず背信行為を行う傾向が高い。つまり、ハンサムは女性をイカせやすく、妊娠させやすく、浮気しやすい。
 
^_^ なんとなくわかっていたこととはいえ、ハンサムでない男のコとしては非常にシビアか結果だ。やはり非ハンサムは誠意で勝負するしかないのだろう。それで女性が誠意を返してくれるかはわからないが、、、。
 
 決まったパートナーがいる女性は妊娠しやすい時期になるともっと支配的な男性を好む。つまり浮気のスイッチが入るのだ。これはシングルの女性には見られなかった。つまり、女性は安定的なパートナーが存在すると、より遺伝的に有利な遺伝子を求めるスイッチが入るのである。
 
^_^ うぎゃあ、闇深い。人類は男性も女性も完全には一夫一婦制に本能的に合致しているわけではないんだね。
 
 女性もテストステロンが多い傾向の人ほど性衝動が強い。
 テストステロンは男性ホルモンと呼ばれるが男女ともに持っている。しかし、男性の方が10倍から100倍多い。
 
 男性の脳はセックスに関与するスペースと処理能力は女性の二倍もある。
 女性は感情の処理用として片側八車線のスーパーハイウェー思っているのに、男性のそれは細い田舎道のだが、セックスに関する思考の処理については、男性にはオヘア空港級のハブ空港があって、女性には小さな自家用の離着陸する近隣空港しかない。ページ153
 
20歳から30歳までの男性の85%は52秒ごとにセックスのことを考えるのに、女性は1日に1度 ページ154
 
^_^ こう書かれると男って本当にしょーもないなぁ。否定できないし。
 
5.ママの脳
脳の中の赤ん坊
ママの脳の誕生
パパの脳で起こること
赤ん坊が快楽回路をハイジャック
授乳とぼんやり脳
良いママの脳は連鎖する
子育てと仕事のバランス
ママの脳にとって理想的な環境
母親業にはサポートが不可欠
 
 妊娠中に女性の脳は縮む。これはママの脳に変化するために準備しているものと思われる。
 
 少なくとも一度仔を産んだことのあるメスのラットは、脳の不安中枢の活動が低下していて、記憶力が向上して迷路テストの成績が良くなり、獲物をとらえる能力は5倍も高くなる。ページ169
 
^_^ ラットでも母は強しか。
 
 未来のパパがツワリに似た症状に陥ることがあるこれは、クヴァード症候群という症状でこれは65%の割合で起こる。これは配偶者のフェロモンが影響していると思われる。
 
^_^ 知らなかった。パパも子供の影響を生物学的に受けるんだね。
 
 残念ながら育児に関心の低い母親に育てられた女の子は同じように育児に関心の低い母親になる可能性が高い。これは動物でも人間でもその傾向は強い。遺伝ではなく、脳の成長時にどの様な影響を受けたかで変わる。
 
^_^ 厳しい言い方をすれば男がパートナーを選ぶときは母親の愛情を受けて育った女性を選ぶべきということか、、、辛い育ちをした女の子は大人になってもそれが自分の中に残るのか、、、それを乗り越える手法がもっとしっかり確立すれば良いのだが、、、。
 
 野生の霊長類は滅多にフルタイムの母親にはならない。多くの間が子育てと不可欠の「仕事」である最終や摂食行動、休息をバランスさせている。ページ183
 
 人間でも母親業は必ずしもひとりでしなければならないものではないし、都会的な環境で実母がするとは限られているわけでもない。子供の方からすれば、誰であろうと愛してくれて安心感を抱かせてくれる育児者がいればいい。ページ184
 
^_^ 育児と仕事のバランスというのはもっと保育園をという声が多いが実はもっと仕事を減らせというのが正しいのではないかと個人的には思っている。女性にも働いてもらえばGDPが上がるので政府はその方向で動いているが、それが親や子供にとって幸せな選択なのかは疑問だ。育児だけに専念させられるのは間違いだと思うが、仕事と育児をもっと仕事を減らす方向でバランスすべきではないかと思う。それでは収入が足りないと言う人も多いと思うが、消費社会がお金を使うようにせきたてている幻想に過ぎないのではないか?まわりにもっと低収入でもあなたより幸せそうにしている人は居ませんか?
 
 アカゲザルの母親に1「餌が毎日豊富に与えられる」2「餌が少ないが毎日与えられる」3「餌が不定期に与えられる」と言う3つの条件で子育てをさせたところ、1.2.の条件ではほぼ適切な子育てが行われたが、3.の条件では母猿からの虐待や子供への攻撃すらあった。
 
^_^ これを読むと子育てに必要な条件は裕福ではなく安定であることがわかる。貧しくても安定的に食べていけると感じることがどれだけ育児に大事なことがわかる。
 
^_^ 母親業にはサポートが必須なのだから、核家族化はマイナスには違いない。その点でも母と娘の仲良し化はその傾向に対する女性の本能的に抵抗なのかも知れない。核家族化はから二世帯住宅やURの親のそばに住むサポートなどの中家族化が必要なのかもしれない。その方がお互いサポートできるのだから。距離の取り方は難しいと思うが。
 
6.感情を汲み取る
体感的直感の秘密
男性の脳を理解する
彼が無神経に見えるわけ
感情的な出来事の記憶
怒りを避けようとする回路
女性は不安になりやすい
脳の性差が誤解を生む
 
 男性も女性も幸せな人のそばにいると心地良いが、悲しんでいる人のそばにいても落ち着いていられるのは女性だけだ。ページ202
 
^_^ そう考えるとセラピーは女性だけの天職だと思える。男性にできるのか?
 
 男性は自分が辛い思いをしているときに渡したとの接触を避けようとする。彼らはトラブルを1人で処理しようとするので、女性も同じだろうと思う。
 
女性は男性の四倍も不安になりやすい。ページ212
 
7,熟年女性の脳
動乱の始まり
性的関心の急低下
私の妻はどこへ?
誰が夕食を作るのか?
自分の仕事で満たされる
夫婦のルールを書き換える
閉経後の脳を守る
おばあちゃんの重要な役割
人生をより良いものに
 
 すべてを投げ捨ててやり直したくなると言う物語は閉経後の女性にはごくありふれた通過儀礼なのだ。
 
 原始時代の人類が生き延びる人口増やすことができた鍵の1つだおばあちゃんなのではないかと言う。ホークスは、石器時代閉経後の元気な女性たちが余分の植物を集めたおかげで孫たちの生存率が上がったと主張する。おばあちゃんたちが食物を提供して助けをしたから若い女性は短期間に大勢の子供を産むことができ、人類は多産になり繁殖に成功した。典型的な狩猟採集社会の寿命は40歳未満だったとしても、成人女性の3分の1はこの寿命より長生きで、多くが60代70代まで生産的な人生を送っただろう。ページ245
 
^_^ 人類繁栄の鍵がおばあちゃんというのはなんとも言えない温かい気持ちになれる学説ではある。
 
人生をより良いものに
 
エピローグ 女性の脳の未来
 
 性差に基づく差別への不安は根強く、女性が男性との平等を主張できなくなるかもしれないと言う恐れから、性差に関する推定を科学的に検証できない状態が長年続いてきた。しかし女性と男性を同じだとするのは、男性にとっても女性にとっても有害で、結局は女性を傷つける。ページ251
 
^_^ 確かに平等とは違いを無視することだという誤った考えが未だに蔓延っている。同時に社会は配慮を求めることは甘えだという考えも同時にあり多くの人々を追い詰めている。我々はまだ奪い合いをしなければならないほど貧しいのだろうか?
 
付録1 女性の脳とホルモン療法
 
付録2 女性の脳と産後うつ
 
訳者あとがき