『山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた』書評・目次・感想・評価

【『山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた』目次と読書メモ】

はじめに
第一部「iPS細胞ができるまで」と「iPS細胞にできること」
 
走り方が変わった
医師を志す
勝敗より大切なこと
神戸大学医学部へ
ジャマナカ
名医でも直せない患者さん
初めての実験
「先生、大変なことが起こりました」
研究の虜へ
手当たり次第に応募
サンフランシスコへ
VWとプレゼン力
オスマウスが妊娠?
初めて発見した遺伝子
後ろ髪を引かれながら帰国
トムとカーニー
道具から研究対象へ
アメリカ後うつ病「PAD」
二つの嬉しい出来事
新入生争奪戦
ぼくのビジョン
京都の作り方
細胞の設計図
設計図のしおり 転写因子
理論的に可能なことが実現する
長期目標と短期目標の二本立て戦略
データベースで候補を絞る
二十四個へ
京大へ
「ほんまはこいつ賢いんちゃうか」
論文捏造スキャンダルの陰で
信じてもらえない!
完璧な「マウスiPS細胞」
「ヒトiPS細胞」開発競争
再生医療の可能性
病気の原因解明と創薬
iPS細胞ストックとは
 
紹介書籍「宇宙英雄ペリー・ローダン

紹介書籍「地球の科学 大陸は移動する」

地球の科学―大陸は移動する (NHKブックス 6)

地球の科学―大陸は移動する (NHKブックス 6)

 

 

「研究者として成功する秘訣はVWだ。VWさえ実行すれば、君たちは必ず成功する。研究者にとってだけでなく人生にとっても大切なのはVWだ。VWは魔法の言葉だ」
VWのVは、Vision(ビジョン)のVです。ビジョンとは長期的目標と言い換えてもいいかもしれません。VWのWはWork hard のW。つまりハードワーク、一生懸命働くということです。研究者として、また人間として成功するにはビジョンとハードワークが必要で、どちらが欠けてもダメだと言うのです。
 日本人はハードワークが得意です。夜遅くまで働く人、土日も働く人が日本には大勢います。しかし、いつの間にか目的を見失い、何のために働いているのかわからない状態に陥ってしまう。僕自身にもそういう自覚があったので、メーリー先生のVWの教えが心に響きました。ページ51
 
^_^ なるほど確かに何のために働いてるのかわからなくなって大切な家族を失ったり、生きている意味がわからなくなってしまった途方にくれる人っているよね。自分のモノサシをしっかり持つ、その上でしっかり頑張るということだね。むやみに働くことは搾取され続けるってことだよね。
 
 説明をするためには、普段から、今取り組んでいる実験と次にやろうとしている実験の関係を明確に意識しておかなければなりません。そういう意味で、プレゼンテーションのゼミはプレゼン技術を身に付けるだけでなく、研究手法や施工方法を見直す上でも非常に役に立ちました。そのおかげで、プレゼンの仕方はもちろん、論文の書き方も変わりましたし、大げさに言えば人生も変わりました。ページ54
 
^_^ 常に自分のやっていることを人に伝えられる状態にしておくというのは自分の状態をはっきりと整理しておくことにもなるので翻って自分のためにもなるんだね。無駄な仕事にも気付きやすい。何だか知らないけどやるからやるんだ、今までやってきたからやるんだみたいなことでは自分の仕事を人に説明できないので仕事の見直しにもいいよね。日本人ってそういうの苦手だから意識してやってかなきゃいけないのかも。
 
豆知識
タンパク(蛋白)とは卵白のことで、卵の白身に多く含まれていたことからこの名がついた。ページ55欄外
 
 グラッドストーンで僕は他の研究者の3倍が働いたと思います。ある実験の待ち時間を利用して別の実験をするなど、スケジュールをうまく調整していました。
 
^_^ やはり優秀な人は時間効率を考えて動くんだなぁと思った。でも山中先生、できないことをできると言って採用されるパターン多すぎwでも最終的にはできるようになっているから凄いんだけど。それぐらいの図々しさがないと研究職なんて続けられないんだろうなぁ。
 
豆知識
クローン羊で話題となったドリー。6歳のメスの羊の乳腺細胞からクローンされた。飼育係の発案で、巨乳で有名な女優ドリー・パートンにちなんでドリーと名付けられた。
 
^_^ 日本でクローン羊が生まれていたら、1996年当時だから、細川ふみえとか、麻生早苗とかにちなんで、ふみえとか、早苗とか、名付けられていたんだろうなぁ。惜しいことをした(なにが?)
 
理論的に可能なことがわかっていることなら、いずれできる。多くの人が「こんなん絶対無理」と思うようなことも必ずできるようになる。ページ100
 
^_^ 山中先生のこの信念が研究への情熱の土台を支えているんだろうなぁ。
 
豆知識
iPS細胞のiが小文字なのは、山中教授が当時はやっていたiPodにあやかったから。
 
^_^ この豆知識だけでもこの本読んだ価値あるわ。
 
^_^ 山中先生はとにかく新しい治療法は安全性を確かめてからというが、逆にそれが間に合わない人もいるだろう。藁にもすがる気持ちで実験台になってでも治療に挑戦したい人もいるだろうから、そういう人たちが、危険を承知で治療に挑戦できる枠組みを作るのもありなのではないだろうか?いや、やはり倫理的には許されないのか、悩ましい。
 
第二部 インタビュー
飛ぶためにかがむ
トップジャーナルのハードル
紙一重でできたiPS細胞
初期化の有無を調べる
「しおり」と「黒いシール」
iPS細胞とES細胞はソックリすぎる
受精卵で働くGlis1遺伝子
iPS細胞の安全性
オープンラボへのこだわり
1日の過ごし方
研究者だけでは研究できない
医師である誇り
 
紹介書籍「仕事は楽しいかね?」
仕事は楽しいかね? (きこ書房)

仕事は楽しいかね? (きこ書房)

 

 

^_^ 山中先生も追い込まれたときに自己啓発本を読むようなことがあったんだと知ると、なんだか身近に感じる。
 
エピジェネディクス
DNAの配列はそのままに遺伝子を発現させたりさせなかったりする遺伝子調整機能。三毛猫などの発生にも関係があると言われている。DNAを読めなくする黒いシールのようなもの?
 
ES細胞はピストル、iPS細胞は包丁のようなもので一定の施設と知識があれば作れてしまう。
 
倫理的な問題もあるが今、苦しんでいる患者さんがいることも忘れてはいけない。
 
^_^ 患者さんのことを言えば倫理的問題を棚上げできるという発想はちょっと怖いなぁ。
 
iPS細胞から、精子卵子を作って受精卵にすることも可能。文部科学省から禁止されてはいる。
 
^_^ そうなると、数十年後、iPS細胞から作った受精卵から生まれてきた子供のカミングアウトとかありそうだ。
人間はやれるなら、必ずやる奴が出てくる。推しの男性アイドルの細胞を手に入れて、iPS細胞から精子を作り、自分の卵子と人工授精して出産とか。論文捏造などで学会から排除された学者が裏でそんなビジネスを始めていたりして。こりゃ小説になるな。