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『貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考える』書評・目次・感想・評価

96点

46文字×18行×370ページ=306,360文字
図表や改行分を計算に入れて3/4を掛けると=229,770文字
日本人の平均的読書スピードを毎分600文字として383分
平均的な読者で

読了まで6時間22分程度

 
 
 国際援助の中で貧困をどう取り扱うのかという問題を丁寧に掘り下げた一冊。
 片方には援助は先進国による傲慢で基本的には不要であるという考えがあり、もう片方には一気に大きな援助を与え。環境を整えれば貧困は解決できるという考え方がある。
 しかし、この本の著者たちはどちらにも与しない。貧困の状況と環境を丁寧に観察し、ランダム化対照試行という科学的な方法で実験し、有効な援助を導き出すというある種、科学では当たり前な手法を国際援助に取り入れたのだ。
 確かに世間にはよく議論して方法を決めるのが正しいという風潮があるが、議論の正解が、問題解決の正解である保証は全くない。
 議論の参加者の多くが間違っているかもしれないし、組織内で影響力を持つ人が間違っていたら、生まれる結論も間違っている可能性が高い。さらに言えばただ声のでかい人の意見が通ることだってあるのが社会というものだ。
 著者たちのやり方はその社会的力学から解決方法を解き放った。より効率的で、科学的で、きめ細やかなやり方だ。
 その手法で、著者たちが今流行のマイクロファイナンスの有用性を評価したり、アフリカの国に外部から民主主義を打ち立てることを評価したりする。
 これは国際援助のあり方を問う本であるがそれだけではなく、我々自身の考え方をも変えることを迫る本でもある。
 物事には一手ですべてを解決する手段があり、物事が解決しないのは、それを行わないからであるという考え方がある。
 国際援助で言えば、すべてを自由市場に任せればよいとか、大きな援助をドカンと与えれば貧困は無くなるとかである。
 確かにこれらの考えはシンプルでわかりやすいし、感覚的にも受け入れやすい。しかし、そのような時こそ注意が必要なのだと、この本は警告する。
 改革には、血で血を洗うフランス革命のようなものが必要なのではなく、投票用紙の形状をかえるとか、補助金の金額を新聞で公表するなどの、実は些細に見えるが、着実な方法があると教えてくれる。
 この本で学べることは日本の貧困問題に対しても有効だろうし、もっと様々な問題にも有効な手法だろう。
 高齢化、犯罪対策、空き家問題、おそらくどんな問題でも、この手法や思考を当てはめて考えてみる試みはきっと無駄にはならないだろう。
とてもよい本を読んだ。おすすめである。

【『貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考える』目次と読書メモ】


<<用例>>
太字 もくじの写し
要約 内容の要約(ただし恣意的です)
引用 気になった部分をメモとして引用しています(最後に引用ページを記載)
名言 気になった名言をピックアップしてメモ
小話 後で人に話したくなるような内容をメモ
^_^  一読者としての意見・感想(笑顔ですが読者の感情ではありません)

はじめに
 
第1章 もう一度考え直そう、もう一度
・貧困にとらわれる?
 
紹介書籍「貧困の終焉ー2025年までに世界を変える」

 

 


紹介書籍「傲慢な援助」

 

傲慢な援助

傲慢な援助

 

 


紹介書籍「エコノミスト 南の貧困と戦う」

 

エコノミスト 南の貧困と闘う

エコノミスト 南の貧困と闘う

 

 

紹介書籍「援助じゃアフリカは発展しない」

 

援助じゃアフリカは発展しない

援助じゃアフリカは発展しない

 

 


紹介書籍「自由と経済開発」

紹介書籍「ハーフ・ザ・スカイー彼女たちが世界の希望に変わるまで」

 

ハーフ・ザ・スカイ――彼女たちが世界の希望に変わるまで

ハーフ・ザ・スカイ――彼女たちが世界の希望に変わるまで

 

 

第一部 個人の暮らし
第二章 10億人が飢えている?
・本当に10億人が飢えているのか?
・貧乏な人々は本当にしっかり十分に食べているのか?
・なぜ貧乏な人々は少ししか食べないのか?
・誰も知らない?
・食べ物より大事
・結局、栄養摂取による貧困の罠は実在するのか?
 
要約
もし栄養が足りていなくても、貧しい人々は栄養価の高い食料にお金を使わない。祭りや娯楽などにお金を費やしてしまうことが多い。したがって、援助が旧来のような米などの食糧援助では状況は改善しない。
 
第三章 お手軽に(世界の)健康を増進?
・健康の罠
・なぜこれらの技術はもっと利用されないのか?
・十分に活用されない奇跡
・健康改善願望
・お金をドブに捨てる
・みんな政府が悪いのか?
・健康追求行動を理解する
・無料は無価値の証?
・信仰?
・弱い信念と希望の必要性
・新年の誓い
・あと押しか説得か?
・ソファからの眺め
 
紹介書籍「実践 行動経済学ー健康、富、幸福への聡明な選択」

 

実践 行動経済学

実践 行動経済学

 

 

^_^ なぜ、貧しい人々は適切な判断ができないのかと、思いながら読み進めてきたが、当然のことながら、我々自身も到底、適切な判断ができているわけではない。歯医者になかなか行かなかったり、健康診断の受診率も決して高くはない、そうかと言えば有り得ない健康食品を高いお金を出して買う人も多い。タバコだってやめられない人はたくさんいる。適切でない行動を取ってしまう人が多いのは豊かでも貧しくても同じように人間のサガなのだ。ではそのさがをどう乗り越えるのかというのが問題なのだろう。
 
第4章 クラスで一番
・需要供給戦争
・需要ワラーの言い分
・条件付き補助金の風変わりな歴史
トップダウン型の教育政策は機能するか?
・私立学校
・プラサム対私立学校
・期待の呪い
・幻のS字曲線
・エリート主義的な学校制度
・なぜ学校を失敗するのか
・教育の再設計
 
^_^ 落第をもっと頻繁にさせて、落第=恥という発想をやめて、できなければ繰り返し学ぶというシステムに移行すべきかも知れない。これを各科目ごとにして、数学は8年生だが、国語は6年生とかでも、いいのではないだろうか?コンピュータ教育も進めれば個人の進捗に合わせた学習ができると思うのだが。
 
第5章 スダルノさんの大家族
・大家族の何が問題か?
・貧乏人は子作りの意思決定をコントロールするのか?
・セックス、制服、金持ちおじさん
・誰の選択?
・金融資産としての子供
・家族
 
紹介書籍「地球全体を幸福にする経済学」
^_^ 少子化の原因は結局、女性が産む産まないを決めるようになったからではないだろうか?男の俺が考えても出産は怖くて嫌だから。女性がNOと言えるようになった結果だから、だから少子化でよいのでは?
 
^_^ テレビドラマの影響で出生率が下がったのは笑った。日本でも昔のテレビドラマが人気だった頃に、キャリアウーマンじゃなくて、子沢山のお母さんにみんなが憧れるように誘導してたらもっと出生率上がってたかもね。
 
第2部 制度
第6章 はだしのファンドマネージャ
・貧乏のもたらす危険
・ヘッジをかける
・助け合い
・貧乏人向け保険会社はないの?
・なぜ貧乏人は保険を買いたがらないの?
 
第7章 カブールから来た男とインドの宦官たち
・貧乏人に貸す
・貧乏人融資の優しい(わけでは無い)経済学
・マクロ計画のためのマイクロ洞察
・マイクロ融資はうまくいくのか?
・マイクロ融資の限界
・少し大きめの企業はどうやって資金調達を?
 
要約
マイクロファイナンスは実施者たちが宣伝するほどの大成果を挙げているわけではないが、貧困に対する一つの対策としては一定の成果をあげている。
マイクロファイナンスは顧客をグループにしグループ内での恥や同調性の概念を利用して貸し倒れを防ぎつつ、効率的な運営も実現している。
マイクロファイナンスには大きすぎ、銀行が相手にするには小さすぎる企業には借りられる資金源がないので、今後の課題になっている。
 
^_^ マイクロファイナンスを卒業した小企業に関してはもはや貧困は脱した話だから、別問題なのでは?貸し倒れをある程度認めろというのも、アメリカ的。どの発展途上国アメリカのようになりたいわけではない。
 
第8章 レンガ1つずつ貯蓄
・なぜ貧乏な人はもっと貯蓄しないのか
・貯蓄の心理
・貯蓄と自制心
・貧困と自制心の論理
・罠から抜け出す
 
紹介書籍「貧乏人とそのお金」

紹介書籍「最底辺のポートフォリオ

 

最底辺のポートフォリオ

最底辺のポートフォリオ

  • 作者: ジョナサン・モーダック,スチュアート・ラザフォード,ダリル・コリンズ,オーランダ・ラトフェン,野上裕生,大川修二
  • 出版社/メーカー: みすず書房
  • 発売日: 2011/12/23
  • メディア: 単行本
  • 購入: 2人 クリック: 18回
  • この商品を含むブログ (9件) を見る
 

 

貧しい人が貧困から抜け出すのに必要なのは、目標を達成できると本人が思えるようにサポートすること。できそうだと思えば人は頑張る。
 
^_^ 貧乏人の一人である自分にも身につまされる話。こつこつ貯めて悪いことないよなぁ。
 
第9章 起業家たちは乗り気薄
・資本なき資本家たち
・貧乏な人のビジネス
・とても小さく儲からないビジネス
・限界と平均
・起業は難しすぎる
・職を買う
・よい仕事
 
紹介書籍「何十億人もの起業家」
 
要約
貧しい人々の多くが個人事業を営んでいる。したがって貧しい人々は実は起業家精神に富んでいてチャンスさえ与えれば事業家として成功できると言う楽観的な考えがあるが、それはあまりに楽観的すぎる見通しである。確かにごくまれに大成功する人物がいるが、多くは事業を拡大しようと言う意識もなければそのスキルも持ち合わせてはいない。貧しい人々の思いは子供たちが公務員や兵士など安定した職に就けることである。また、工場勤務など安定した職に就くことによって貧困から脱出できた例は非常に多い。
 
^_^ 夢も希望もないなぁ。まぁ、僕自身も貧しいと同時に個人事業主だけどね。
 
第10章 政策と政治
・政治経済
・周縁部での変化
・分権化と民主主義の実態
・権力を人々に
・民族分断をごまかす
・政治経済に抗して  
 
紹介書籍「なぜ国は失敗するのか」
 
紹介書籍「最底辺の10億人」

 

最底辺の10億人

最底辺の10億人

 

 


紹介書籍「民主主義がアフリカ経済を殺す」

 

民主主義がアフリカ経済を殺す

民主主義がアフリカ経済を殺す

 

 

豆知識
スイスでは、外国人がシャレー(山小屋風の宿泊施設)を持つことができません
ページ317
 
豆知識
スウェーデンでは、人々は他人の敷地を含めどこ歩いても構いません ページ317
 
要約
世の中を良くするには、大きな制度改革が必要と言う考え方と、外部からの制度改革はむしろ有害と言う考え方の両方があるがどちらも極端で正しいとは言えない。科学的実験結果に基づいた小さな改革を一つ一つ積み重ねることで静かな革命を起こすことができる。
 
^_^ 諦めることも間違いだし、革命的な大改革を突然持ち込むのも間違い。科学的調査に基づいた小さな政策を一つ一つこなしていくことが大事なんだと。
 
網羅的な結論に変えて
 
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