『なぜ選ぶたびに後悔するのか―「選択の自由」の落とし穴』書評・目次・感想・評価

 

なぜ選ぶたびに後悔するのか―「選択の自由」の落とし穴

なぜ選ぶたびに後悔するのか―「選択の自由」の落とし穴

 

 

98点
ページ282 43文字 18行
43文字×18行×282ページ=218,268文字
図表や改行分を計算に入れて3/4を掛けると=163,701文字
日本人の平均的読書スピードを毎分600文字として273分
平均的な読者で
読了まで4時間32分程度
 より多くの選択は人々を幸福にするどころか不幸にする。
 これがこの本のメインテーマです。
 それと同時に豊かになることが必ずしも幸福にはつながらないと言う警告の書でもあります。
 社会はもっと働いてもっと良い暮らしを、人より稼いで人より良い暮らしをと人々をせっついてきます。
 しかし、一定の富を持つ国々では、それ以上に富が増えても人々の幸福度は上がりませんでした。
 むしろうつ病がふえるなど、精神面での健康度が下がり、人々は戸惑っています。
 そして、より多くの物を得たり、より多くの選択肢から選んだりすることが、必ずしも幸福にはつながらないと言うことに気づきつつあります。
 この本の著者は最高の選択を目指すマキシマイザーではなく、一定の基準で満足するサティスファイサーになることが幸福への道だと解きます。
 人類は老子の時代から足るを知るべきだと知っていました。
 豊かになった今、それに立ち戻る時期なのかもしれません。
 そしてさらに著者は自分の置かれた立場に感謝することが幸福を感じるための道だとときます。
 毎朝、もしくは寝る前に感謝すべきことを5つメモ書きすると言う方法著者は推薦しています。
 ぜひやってみたいと思います。最後にこのような素敵な本に出会えたことに感謝しつつ、この本を皆さんに勧めたいと思います。

【『なぜ選ぶたびに後悔するのか―「選択の自由」の落とし穴』目次と読書メモ】


<<用例>>
太字 もくじの写し
要約 内容の要約(ただし恣意的です)
引用 気になった部分をメモとして引用しています(最後に引用ページを記載)
名言 気になった名言をピックアップしてメモ
小話 後で人に話したくなるような内容をメモ
^_^  一読者としての意見・感想(笑顔ですが読者の感情ではありません)

プロローグ 選択のパラドクス
 
紹介書籍「自由と経済開発」
 
引用
生活の質を向上させたいなら、
1.選択の自由を束縛するものを忌み嫌うのではなく、自らある程度の制約を取り入れる。
2.最高求めるのではなく、「まずまず」を求める(親がこういうのを聞いたことがないだろうか?「子供たちは「まずまず」成功してさえくれればそれでいい」)
3.決断の結果について期待を低くする。
4.決断は変更不能にする。
5.周囲の人がどうしているか気にしない。
ページ17
 
第1部 何もかもが選べる時代
第1章 お買い物に行こう
 
第2章 新たな選択
 
もし癌にかかったら、自分で治療法選びたいかどうかと言う問いに、回答者の65%までがそうしたいとこと答える。だが、実際に顔にかかっている患者に同じ質問をすると、そう望むのは12%に過ぎない。ページ43
 
^_^ 人々は選択肢は欲しいが、その責任の重さには耐えられない場合が多いのかも知れない。
 
第2部 選択のプロセス
第3章 決断と選択
 
一部要約
肛門に管を通す不快な検査で、検査後に検査器具を数十秒間放置した患者の方が次回、同じ検査を受ける可能性がある。つまり、最後にやや不快な状態で終わった人の方が、非常に不快な状態で終わった人よりも辛かった印象が残りにくいのだ。(とても辛い)より、(とても辛い+数十秒間やや辛い)の方が人気があったのだ。
 
^_^ 人間の判断力ってとってもいい加減。
 
第4章 最高でなければだめなときー最大化と満足
 
引用
最大化と満足の傾向は、「領域別」になっていることが多い。あらゆる意思決定でマキシマイザーになる人はいないし、おそらく、誰もがどこかで、マキシマイザーになっている。マキシマイザーかサティスファイサーを見分けるのは、決断するときにそうなる領域の範囲と数だろう。 ページ113
 
第3部 満たされないのはなぜ?
第5章 選択肢と幸せ
 
引用
人間に幸福感をもたらす要因のうち最も重要なのは、密接な社会的関係だと考えられている。ページ130
 
^_^ 日本が40年間も幸福感が足踏み状態である事はショックな内容だ。所得水準は5倍に増えたにもかかわらず。仲間を呼んで飲み会をしたりもっとすべきなのかも知れない。
 
選択肢の多さが人の幸福に貢献すると言う考え方に反するものとして宗教がある。宗教は基本的に人を束縛するものであり人を助けなければいけないなど決まりも多いがそれによって人は幸福度が増す。
 
第6章 あきらめた機会
 
研究者らはこう結論している。選択が二者択一を含み、それが対立を伴う時、どのオプションもあまり魅力的でなくなる。ページ154
 
一部要約
人は何かを選択評価する時、その理由を考えて記入することを求められると、選択に変化が生じる。特に言葉にしようとすることで本来なかった角度での評価が生じて、本当の嗜好がわからなくなってしまうことがある。
 
引用
マキシマイザーがサティスファイサーに比べて、幸福でなく、生活に満足できず、憂鬱な理由の1つは、二者択一と機械コストの痛みが大きくなりすぎて、決断から味わえるはずの満足が、あらかた失われているからに他ならない。ページ176
 
第7章 「もし……をしていれば」ー後悔の問題
 
ここ6カ月間で特に後悔する事は何かと質問すると、たいていの人が、やってみてうまくいかなかったことを挙げる。ところが、これまでの人生を振り返って、特に後悔する事は何かと質問すると、たいていの人が、やり損ねたことを挙げる。近い過去でなら間違った学校選んだことを後悔し、人生を振り返れば、進学しなかったことを後悔する。近い格好でなら、恋人と別れたことを後悔し、人生を振り返ってみれば、恋を打ち明けなかったことを後悔する。ページ180
 
^_^ 確かにうちのばあちゃんも後悔ばかりしてるもんなぁ。
 
第8章 選んだ品にがっかりするのはなぜか?ー順応の問題
 
紹介書籍「人間の喜びと経済的価値」

 

人間の喜びと経済的価値―経済学と心理学の接点を求めて (1979年)

人間の喜びと経済的価値―経済学と心理学の接点を求めて (1979年)

 

 

私たちは、何かがうまくいかなかったとき、心のダメージを修復し、曇り空の向こうに光明を見つける名人になる。ページ209
 
要約
人はあらゆるものに順応していく、順応することで不幸から立ち直ることもできるが、幸福に慣れてしまうことも同時にある。だから人は感謝の気持ち、今がどれだけ恵まれているかを振り返る感謝する気持ちを常に持ち続けることが、幸福への順応に対する対処方法になるのだ。
 
^_^ たまに贅沢をするとか、たまに高級車を借りるとか、そういうことが順応に対応し、実は幸福につながる1つの手段なのかもしれない。
 
第9章 比べるとつまらなく見えるのはなぜか?
 
素晴らしい経験は取っておきにすると言う方法がある。いくら懐に余裕があっても、極上のワインは記念日のために取っておく。いくら余裕があっても、下手が完璧でラインの優美なシルクのブラウスは、特別な日にしか着ない。節制の訓練みたいに聞こえるかもしれないが、私はそうは思わない。節制どころか、こうすれば間違いなく、いつまでも喜びを味わえる。豪勢なご馳走食べ、極上のワインを飲み、羽衣のようなブラウスを着ても、それで最高の気分になれないなら何の意味があるだろう? ページ222
 
^_^ これはまさに僕がいつも言いたかったことなのかもしれない。贅沢はたまにするから価値があるのだ。
 
紹介書籍「成長の社会的限界」

 

成長の社会的限界 (1980年)

成長の社会的限界 (1980年)

 

 

部分要約
幸福な人は他人との比較にこだわらない、不幸な人は他人との比較にこだわる。他人との比較にこだわらないから幸福なのか、幸福だから他人との比較にこだわらないのかわからない。 
 
^_^ マキシマイザーだとしても比較検討する時間を一定に定めて精一杯比較検討すれば後悔は少ないのではないだろうか?何しろ時間内で全力を尽くしたのだから。
 
第10章 選択がうつをもたらすとき
 
一部要約
行き過ぎた個人主義が、肥満や美的外見、就職先、経済状況、そしてもちろん成績などあらゆる事柄が自分自身の責任として、降りかかってくる。
つまりはそれが個人主義が進む国での自殺者の増加につながっているのではないだろうか?
 
^_^ 特にアメリカでは自尊心が全てを解決できるような教育法が蔓延しそれもまた自尊心と現実のギャップに苦しむと言う心の病を生んだのではないだろうか?
 
第4部 満足して生きるための選択術
 
第11章 選択にどう向き合うか
 
ハイファイ・ステレオにしても、高級車にしても、300坪の豪邸ですら、手に入れた頃の喜びが続かないと我が身に言い聞かせることだ。ページ273

【著者・バリー・シュワルツさんの気になる著書リスト】

 

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