1章 はじめに05 勝手にベーシックインカム生活を始める

 ベーシックインカムとは福祉のほとんどを全国民に対する一定額の現金給付に一本化する政策です。

 

 これは失業保険も生活保護公的年金も廃止して、国民すべてに一定額の現金を給付するのです。お金持ちも貧しい人も仕事をしている人も失業者も関係ありません。

 

 全国民に給付するので受給資格の審査などの行政手続きが不要になり、行政としては大幅なコスト削減になります。

 

 しかし、その一方で莫大な金額にのぼる財源をどうするかという問題も残ります。

 

 過去には欧米ではごく一部で実験的に行われていた政策で、日本でも、財政問題や、生活保護の機能不全などから、一部で検討されているものです。

 

 メリットとしては

1 所得などの条件によらず全国民に一定給付なので、審査などが不要で行政コストを削減できる。

2 全国民に一定給付なので漏れがなく。国民の生存権を守るのに有効。

3 最低限の生活を人質にした企業による労働搾取をやめさせることができる。

など、小さな政府を目指す人にも、福祉の充実を目指す人にも支持されやすい政策になっています。

 

一方でベーシックインカム導入への障害として

1 行政の大幅なリストラを伴うもので既得権を持つ役所の反対が強い。

2 「働かざる者食うべからず」という考えが社会に浸透しているため、倫理面で反対する人が多い。

 

 資本主義は人々に「自分の納得できない条件では働かない」という選択肢を与えているように見せかけてはいますが、実際は「条件はともかく働かなければ生きていけない」という生存を人質に取った労働の強要がおこなわれているのです。

 

 それは労働者の自由意志を尊重しているように見せかけている分、よりタチが悪いものです。どんな悪条件で働いているのも「自分で選んだから」ということになるからです。

 

 多くの人がブラック企業でも働くのは「働かなければ生きていけない」からであり、実際は労働者に本当の意味での選択肢などありはしないのです。

 

 ベーシックインカムで生きるために必要な最低限のお金がすべての人に給付されれば、生存を人質に労働を迫る今の資本主義のやり方を変える大きなパラダイムシフトになると思います。

 

 人々が生活の為ではなく、自分の理想や思いのために生き、時に働き、遊び、時に休み、多く稼ぎたい人は稼ぎ、遊びたい人は大いに遊び、休みたい人は大いに休む。そんな世界では、働く人を顧みないブラック企業は生き残れないでしょう。

 

 ブラック企業が業績を伸ばし、ワーキングプアが増え、格差の拡大が続いている今の社会より、ベーシックインカムが導入された新しい世界は、よりよい世界になるのではないか。そんなふうに私は思えるのです。

 

 そして、ぼく個人としてもそんな世界で暮らしたい。

 

 しかし、そうたやすく社会は変わらない。では、どうすればいいのか?

 

 そこで思いついたのが「勝手にベーシックインカム生活、国民年金額の月額6万5000円で生きる」です。

 

 何も社会を変えなくてもいい。勝手にベーシックインカム的な生活してみよう。それもベーシックインカム導入後の世界での金銭的な最底辺の生活をしてみよう、と。


 ベーシックインカムが導入された世界での金額的な最底辺で、幸せに暮らせるなら、ベーシックインカム導入に価値があると言えるのではないか?非力ながらベーシックインカムの導入の後押しができるのではないか?

 

 そんな風に考えて始めたのがこの「勝手にベーシックインカム生活、国民年金額の月額6万5000円で生きる」なのです。