『世界天才紀行――ソクラテスからスティーブ・ジョブズまで』書評・評価・目次

  • 単行本(ソフトカバー): 448ページ
  • 出版社: 早川書房 (2016/10/21)
  • 言語: 日本語
  • ISBN-10: 4152096454
  • ISBN-13: 978-4152096456
  • 発売日: 2016/10/21
  • 88点

20行×46字×446ページ= 410,320文字

図表や改行分を計算に入れて3/4を掛けると=307,740文字
日本人の平均的読書スピードを毎分600文字として512分
平均的な読者で

読了まで約8時間半

【『世界天才紀行――ソクラテスからスティーブ・ジョブズまで』目次】

はじめにーゴルトン・ボックスをめぐる冒険

1章 アテネー天才は単純(シンプル)

2章 杭州ー天才は新しくない

3章 フィレンツェー天才は高価

4章 エディンバラー天才は実際的

5章 カルカッター天才は混沌(カオス)

6章 ウィーンー天才は無意識のうちに 完璧な調和を求めて

7章 ウィーンー天才は伝染しやすい 長椅子の上で

8章 シリコンバレーー天才は脆弱

エピローグー天才は脆弱


【『世界天才紀行――ソクラテスからスティーブ・ジョブズまで』極個人的読書メモ】

フィレンツェの人たちは部室主義者も甚だしかったが、教養のないそやな物質主義者ではなかった。現代に生きる私たちよりも自分の持ち物を大切にした。哲学者のアラン・ワッツによれば、私たちは真の物質主義の時代に生きているとは言えない。「素材に対する敬意がないからだ。敬意と言うのは驚嘆の念に基づいている」ページ158
 
^_^ そう考えると現代は価格主義の時代なのかも知れない。値段のみを眺め、その本質を愛してはいない。
 
「どの時代にも、その時代の受難があり、慰めもある」アダム・ファーガソン  社会学の父 ページ244
 
「人がみな死ぬからと行って、人がみな死ぬに違いないと思うのは間違いである」デイヴィット・ヒューム ページ247
 
 訳者も言っていたが、興味がある部分から読み始めるのがいいかも知れない。個人的には唯一のアジア枠の杭州が面白かった。
 
 日本では移民を入れるか入れないかという議論があるが、少なくとも天才を生み、飛躍的発展を目指すならば移民を入れるという選択肢しかない。
 
 しかし「飛躍的発展」と「生活する人の幸福」はイコールではないし、むしろ緊張が生じて安穏と生きられない社会になる可能性が高い。
 
 さて、日本はどちらの道を選ぶのか。安穏とした衰退か、混乱を覚悟して天才の登場に賭けるのか、個人的にも選べない。