7章 娯楽編05 国民年金額で暮らす人の旅

 旅行代理店を覗いてみると、旅行のパンフレットが大量に、しかも無料で配布されています。

 

 しかも近場よりも遠く、国内よりも海外のほうがパンフレットも豪華で目を引きます。

 

 だからと言って海外旅行の方が国内旅行より、遠くへ行くほうが、近くへの旅よりも、満足度が高いというわけではないでしょう。

 

 遠くへ行くことか尊いのではないのです。

 

 ただ単に、旅行代理店としては単価が高い海外旅行の方が利益が大きいというだけのことだと思います。

 

 旅行代理店やマスコミは利益のために遠くへの旅をお勧めしますが、国民年金額で暮らすぼくは、お金を掛けずに楽しむために、近場への旅行に何度も出かけることをお勧めします。

 

 ぼくが近場への旅行を勧めるのには4つの理由があります。

 

 一つには時間です。同じ一週間の旅行でも、遠くに行けばそれだけ移動時間が長くなり、実質的に現地での観光を楽しめる時間は少なくなります。

 

 遠くに行けば、行くのに一日、戻るのに一日、さらに時差ボケで一日動けないなんてこともあるかも知れません。

 

 二つ目には実は近場の観光地は不思議と敬遠しがちということです。その理由はなぜかわかりませんが、東京都民はほとんど東京タワーに上りませんし、神奈川県民はそれほど鎌倉の大仏さんを見には行かないでしょう。

 

 なぜだかわかりませんがとてももったいないことです。

 

 今、日本は海外からお客さんを迎えるブームが来ていて、どこの観光地に行っても、海外からのお客さんがあふれています。

 

 つまり海外から来てまでも、見るべき価値がある場所がこの日本にはたくさんあるということです。

 

 近隣に観光地なんて無いという人もいると思いますが、地元の郷土資料館、地元の偉人に関する資料館、県立市立の博物館、小さな美術館、公園など、日頃、日々の仕事に忙しくて、気にしないだけで日本中に見るべきものがあります。

 

 ましてや、郷土資料館などは、地元民だからこそわかる楽しめる内容になっているはずです。

 

 三つめは、やはりここが大きいのですが、お金があまり掛からないということです。国民年金額での生活は基本、やりたくない仕事は最小限、お金は少し、自由な時間はたくさん、ですからここは重要ですね。

 

 地元の旅ですから、日帰りも可能で宿泊費が掛からなかったり、移動も、自転車や公共交通機関で格安です。しかも、地元の博物館、郷土資料館、公園などは税金が投入されていて、入場も格安だったり、時には無料だったりします。

 

 最後の4つ目は、こうして地元の見どころをしっかり見ておくことは、自分がどういうところに住んでいるのか、つまりはどういう人間なのかということをわかっておくということにもつながります。

 

 そして、これから日本にやってくるお客さんに地元の見どころを案内することができるようになるのです。

 

 日本人のツアーガイドに引き連れられて、ヨーロッパ旅行一週間に行った話を日本人の友人に自慢してまわる人よりも、海外から来たお客さんに紹介できる地元の名所をいくつも持っていて案内できる、その方がずっと国際人ですし、かっこいいと思います。

 

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 この時期(2019年4月)海外からお客さんが来て、桜が見たいと言わたら、あなたは案内できますか?

 

 家から歩いて行ける範囲では?

 

 電車で三駅まででは?

 

 夜桜が見たいと言われたら近場でライトアップしている桜は?

 

 さぁ、出かけましょう。毎日の生活に小さい旅行を、暮らしている地元をしっかり楽しみましょう。

 

 国民年金額で暮らす人にはお金はなくても、時間はたっぷりありますから。