『哲学で何をするのか』書評・目次・感想・評価

哲学で何をするのか―文化と私の「現実」から (筑摩選書)

  • 単行本: 292ページ
    出版社: 筑摩書房 (2012/12/1)
    ISBN-10: 4480015604
    ISBN-13: 978-4480015600
    発売日: 2012/12/1

【目次】

 

はじめに

文化の全体性\ニーチェ/アングリマーラ\本書の構成

 

第一章 「文化」のさまざまな顔

1 文化の多様性

2「文化」のさまざまな起源

3 文化をめぐる矛盾の数々

4 文化の透視不可能性-文化現象の具体例(1)

「刺身をたべる」ということ\ネットワークとしての文化/自然vs人工

5「伝統」の誕生--文化現象の具体例(2)

対象化されない過去\パースペクティヴイズム\世界システムという根\世界システムと「家族」/「もったいない」--通約不可能な地域文化

6 アート-自律的に展開する文化

美学\反・美学\「芸術」の誕生\芸術という政治\感性教育\芸術は詐欺なのか?

7 文化がつくるわたし

ファッションの逆説\メディアの機能

8 文化の両義性

 

第二章 文化のなかの「わたし」

 

1 ファッション-他人による欲望

2 ねたみ

スワンの恋\嫉妬が愛を生む\幼児の対人関係\《ドン·キホーテ》 欲望の三角形/欲望のメカニズム

3 他人あってのわたし

表情が伝染する\「さいころ」がわたしを見ている\ひとまとまりの身体\想像され

た自我-エディプスコンプレックス/鏡の中の「自我」/脆いものとしての「自我」

4「自我」の底抜け-世界システムにおけるエディプス

ユーラシア大陸交易システム\近代世界システム\「帝国」

5世界システムにおける制度と「自我」

「理性」\性の言説\生権力\従順な身体\不気味な身体\「国民」の創造/オリエンタリズム/「日本人論」/「 帝国」が生産する「主体」

6「自我」をつくる力

統合されない自我\自他の区別 閉じられた自我」\〈織り柄)としての自我

7 巨大系のなかの「自我」「自我」の底にあるもの\(共振)と(まなざし)\価値の起源としての(ねたみ)

-ニーチェ\価値を生む〈まなざし〉

 

第三章 「わたし」と「システム」を生成する流れ

1 〈流動的自己形成態〉-第1の装置

身体がつくる制度、文化という自己生成系 \国家規模でのオートポイエシス/生

権力の「誕生」/〈流動的自己形成態〉のメカニズム\〈力への意志

2〈內生的絶対性〉-第二の装置

「虚構の統一点」もろもろの〈内生的絶対性〉\ 〈内生的絶対性〉のメカニズム

3 真理-現象学的経験構造における〈内生的絶対性〉

物の見え方、知覚における余剰\時間余取り戻す、想起の仕組--連合\類型\現象学における〈流動的自己形成態〉\現象学における〈内生的絶対性〉/もろもろの〈内生的絶対性〉

4 経済現象

経済現象における正負のフィードバック\貨幣\資本\「充実身体」

5〈内生的艳対性〉としての「芸術」

6〈自己〉-第三の装置

〈自己〉と「自我」/〈自己〉という構造\「自我」の出現/ニーチェ以後からニーチ

エ以前へ

 

第四章「絶対」の探究-ニーチェ以前の哲学

1「自我」の哲学

だれ助けるか?\カントの「理性的人格」\サルトル\デカルト\自我中心主義の問題/デカルトの求めたもの

2「普遍的真理」

「本質」/「本質」の役割/「本質」の特性\本質の場所\現実の個体-アリストテレスの場合/「名前」の役割-「自我」の原理へ

3真理

 確証不可能性\「クレタ人の嘘つき」\「底は底なし」

4 哲学という〈内生的絶対性〉

普遍性という煎提\状況が生む理想\哲学という〈内生的絶対性〉

 

 

第五章 〈現実の哲学〉

1 多様性・不確定性

「治りませんように」\「健康」\「パフォーマンスの革命」\普遍性の外部\不確定の

未来\反・本質主義

2 大反転-意味の〈本当の〉起源

脱出不可能性\偶然が生む必然\無根拠が生む根拠\悪がつくる善

3 文化\哲学\アヒンサ

(文化)をふりかえる\アヒンサ

 

あとがき

 

文献表

 

人名索引

 

本文イラスト=真下弘孝

 

95点

エキサイティングな哲学本。ときおり理解が追いつけなくなることもあったが、おおむね面白く読めた。

www.chikumashobo.co.jp