陸奥新報 冬夏言 190705

陸奥新報 冬夏言 190705

 

 泣きわめき、嫌いなおかずが載った食器をひっくり返し息子。好き嫌いがひどく、これなら食べられるかもと試行錯誤したメニュー。昼休みに家に戻って作ったものだった。思わずその小さな手をぴしゃりとたたき、われに返った。嫌な気持ちになった。これを続けてはだめだ、とも思った。

 改正児童虐待防止関連法に親による体罰の禁止が盛り込まれた。子どもへの虐待事案で虐待を「しつけ」と主張するケースが多いことを踏まえたものだ。

 昔はたたかれて当たり前、幼少期は親にたたかれた記憶もあるし、悲しいと感じる言葉を言われたこともある。親に覚えているかと尋ねると、答えは「そんなことするわけない」。

 自分自身も覚えているのは痛かった嫌な気持ちにだけで、何が悪くて叱られたのかは記憶がない。親の感情のままにたたいてもしつけにつながることはない。

 一方で育児への支援は必要不可欠だ。「子育てはみんなが大変」という言葉に追いつめられ、ノイローゼとなった親が自らSOSを発することは少ないし、待っていては手遅れになる。合わせた策が必要だ。

 

 やはり冒頭がうまい。アクションから入るあたりとても上手に読者を引き込んでいる。そして二文節連続で体言止め。そして使えるはずの感じをあえて使わないのも、このコラムを読みやすくしている。ぜひ見ならいたい。