『異文化理解力 相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養』感想・目次

『異文化理解力 相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養』

異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

 

異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

 

 

【目次・読書メモ】

 

監訳者 まえがき

イントロダクション

 

【要約】


文化は相対的に考えるべき。フランス人はイギリス人にはルーズに見えるがインド人にはフランス人は神経質に見え、イギリス人すらドイツ人にはいい加減に見える。つまり文化は絶対的なものではなく相対的なもの。その文化で暮らす人はその外に出なければ自分の文化を認識できない。金魚における水のようなもの。

 

^_^ この内容は著者も言う通り地雷源でもあるが、著者がそれを理解していることが重要なのだろう。これは男女差、世代にも確実にあるだろうがこれまた地雷源であるから、なかなか扱いが難しいだろう。著者が自分の失敗談から入っていると言うやり方は上手いからぜひ真似したい。

 

1 空気に耳を澄ます
異文化間のコミュニケーション

要約
もっとも問題を生じやすいのは異文化のハイコンテキストとハイコンテクスト。

^_^ そう考えると日本人と中国人もなかなか難しいのかもしれない。

2 様々な礼節のかたち
勤務評価とネガティブ・フィードバック

要約
パターンとしては
ハイコンテキストでフィードバックは明確、
ハイコンテキストでフィードバックはぼかす、
ローコンテキストでフィードバックは明確
ローコンテキストでフィードバックはぼかす。
の4種があり。日本はハイコンテキストであり、フィードバックはぼかす。ネガティブを伝えないことでネガティブなメッセージを伝える場合すらある。

3「なぜ」VS「どうやって」
多文化世界における説得の技術

要約
まず西洋で帰納的なアプローチと演繹的なアプローチに分かれる。実例から入りたがるアメリカ人と、原理から入りたがるヨーロッパ人という枠組みで、東洋人はまた別で全体の枠組みと背景を考慮する。ただ能率を求めるなら単一文化の集団の方が効率が良く、イノベーションを求めるなら多文化の方がよいと思われる。

4 敬意はどれぐらい必要?
リーダーシップ、階層、パワー

要約
ローマ帝国に支配されていたところは階層を重視し、ヴァイキングが支配していたところは平等を重視する。
東アジアはさらに階層的で孔子の影響が残り、上司は父長的な役割を求められる。上司の言うことは明らかに間違っていても正しい。
平等主義では必要な情報を直接取りに行けるが、階層主義では情報源の上司に許可が必要。

^_^ 日本の階層主義も大概だよね。ハンコを上司に頭を下げるように押すとか。でも階層主義的な方がいい部分もあるのかもしれないなぁ。軍隊とか。

5 大文字の決断か小文字の決断か
誰が、どうやって決断する?

要約
トップダウンで実行が始まってからも、決断を修正し続けるアメリカ。
合意は全員参加で一度、みんなで決断したらほぼ変更せず実行するドイツ。
そして、階層主義でありながら、稟議書というボトムアップの方式をとる特異な文化、日本。

6 頭か心か
二種類の信頼とその構築法

ビジネスはビジネス、個人的関係は個人的関係、それを混同しては面倒なことになると考えるアメリカのようなタスクベースの文化と、ビジネスをするにしても、個人的な関係が大切で個人的な信頼関係がなければビジネスは難しいと考える関係ベースのサウジアラビアのような文化がある。
日本はタスクベースよりだが、飲みニケーションのような関係性を重視する傾向もある。

7 ナイフではなく針を
生産的に見解の相違を伝える

意見の相違を述べた場合、その意見の持ち主を攻撃したものと判断される日本のような文化と、反論はあくまで意見に対するもので意見の持ち主に対する攻撃とは取られないフランスのような文化がある。

8 遅いってどれぐらい?
スケジューリングと各文化の時間に対する認識

イスラム文化圏では指導者が突然、明日から祝日と決めたりもするので、柔軟さが大切である。
一方でドイツや日本など時間に関して直線的な対応をする文化もあり、それぞれの環境にあった時間感覚を持っている。
したがって様々な国の人々がいるチームをマネージメントする場合はチームとしての文化を作る必要がある。

エピローグ

人は自分の持つ文化を他の文化と比較しなければその存在を自覚できない。水の中にいる魚が水を認識でないのと同じである。
そして自分と違う文化をおかしい、変だと思うようになる。
しかし、それを理解し、上手に対応する学習の過程にも大いなる実りと喜びがある。

謝辞
原注
詳細目次

この本を読むときに必要なのはどの文化、どのシステムが優秀で、どのシステムが劣っているとか、どのシステムが先進的で、どのシステムが前時代的なのかという優劣の切り口でみてはならないということ。
どの文化もその環境で醸成され、磨かれてきたものだからだ。
だからその文化が良い結果を生むかどうかはその置かれた環境によるのだ。
この本で面白いのは各国の文化に、歴史的な背景が付け加えられていることで、この切り口でもっと突っ込んだ本があるなら是非読みたいと思った。
そして、余談だがもっともハイコンテキストな日本において、よりハイコンテキストな京都の事を思うと、思わず笑ってしまう。
ぶぶ漬けでもどうどす?」=もう帰れ
正にハイコンテキストの極みだ。