あなたの一票は無駄なようで無駄じゃない。

 あなたは今まで選挙に行って、あなたの一票で当落が決まったという選挙があったでしょうか?

 

 恐らくなかったと思います。ではあなたの一票は無駄だったということでしょうか?

 

 いいえ、無駄だったとは言い切れません。選挙はもちろん当落が大事な要素ではありますが、それ以外にもたくさんの節目があるからです。

 

 例えば政治家が、Aという政策を実行しようか悩んでいた場合、選挙の結果、Aという政策の支持派の得票率が30パーセントを超えたら、政策を実行しようと考えていたとします。

 

 もしかしたら、アナタの一票がその30%のラインを超えるか超えないかのボーダーだった可能性もあるのです。

 

 しかも、そのボーダーは恐らく政治家ごとに、政策ごとに存在しているでしょう。その政治家が意識しているかしていないかに関わらずです。ですから、あなたの一票があなたの知らないところで、その後の政治の動きは変えている可能性はあるのです。

 

 さらにその変化は連鎖する可能性も持っています。あなたの一票が一人の政治家の決断に影響を与え、その政治家のその政策の態度が、より大物の政治家の決断に影響を与える可能性は十分にあります。つまり、あなたの投票行動が結果的に国の政治の方向性に影響を与える可能性はありえるのです。

 

 この論でいくと、何も数年に一度の選挙時だけが、有権者が政治に影響を与える機会というわけではありません。

 

 何かの政策を決定する局面で、地元の政治家の事務所に電話して、政策の支持、不支持を伝える、政治家のFacebookにコメントを残す。政治家自身に電子メールを送るという手段も影響を与えうるのです。

 

 それがどんな形でもの目に触れれば、その決定にその政治家が意識するかしないかに関わらず影響を与えるからです。

 

 例えば、あなたがメッセージを送らなかった場合、269件のメッセージを読んで、秘書は議員にこう告げます。

「先生、今回の政策に対して、200件を超える不支持のメッセージが届いています」

 

しかし、あなたがメッセージを送ることで、一件増えて270件のメッセージを読んで、秘書は議員にこう告げるのです。

「先生、今回の政策に対して、300件近い不支持のメッセージが届いています」

 

 あなたの一件のメッセージで議員が受ける政策に対する地元の空気の印象が変わってくる可能性があるのです。

 

 その点で言えば、常に一人の政治家が当選しつづけている無風選挙区の住人は政治に影響を与えることは難しいでしょう。そのような政治家はあなたの意見など無視しても、既存の支持団体の言うことを聞いていれば次も当選できるからです。

 

 しかし、常に二人以上の政治家がしのぎを削っている選挙区であれば、その影響力は大きなものになります。

 

 あなたの住んでいる選挙区はどちらですか?

 

まったく反対の「政治は天気だと考える」という記事も書いています。ぼく自身悩ましい問題なのです。