人生は皮肉なもので、苦手なこと、つらいと感じることほど、長い。(だから他の道を探そう、と言う話)

 得意ではないので、普通の人より、2倍の時間が掛かったとする。 やりたくないことなので、普通の人より、2倍苦痛を感じるとする。すると時間が2倍×苦痛が2倍で、人生に4倍の苦痛がもたらされるのだ。そりゃ人生が苦しくなるわけだ。  

 

 ここまで生きてきて気づいたのだが、人は好きなこと、得意なことをするのが、一番賢い戦術だ。

 

 まぁ、「そんなことわかっている」と、多くの人が言うと思うのだが、実践できている人は少ない。

 

 やりたくないこと、得意ではないことを、世間体がいいから、お金になるから、という理由でやれば、そこには、時間的の問題と精神的な問題が掛け算されて、襲ってくる。

 

 得意ではないので、普通の人より、2倍の時間が掛かるとする。

 

 やりたくないことなので、普通の人より、2倍苦痛を感じるとする。

 

 すると時間が2倍×苦痛が2倍で、人生に4倍の苦痛がもたらされるのだ。そりゃ人生が苦しくなるわけだ。  

 

 実例を挙げて考えてみよう。

 

 まず、学生時代の受験勉強。

 

 これは大抵の人にとってツライ。そして勉強が苦手な人ほど、もっとツライものになる。

 

 そして勉強が苦手なので受験勉強がうまくいかず、結局、浪人し、現実の問題としてさらに1年、2年とツライ受験勉強をする期間が延びる。

 

 勉強が苦手で精神的にも他の人より苦しんでいるのに、その期間が延びるのだ。これはもう自ら苦行を選んでいるに等しい。

 

 心底やりたい仕事があって、その仕事をやるためにどうしても大学に行かなくてはいけないというのならともかく、大学を出た方が将来、収入がいいからという程度の理由であえて苦しみの道を選ぶのは、強欲に支配され、自ら地獄の業火が燃え盛る山に登り続ける亡者に等しい。(ちょっと言い過ぎです)

 

 大人になってからも、油断できない。

 

 婚活ブームと言われて久しいが、見知らぬ異性と会話することが苦痛だったり、そもそも異性と居ても心休まらない人にとって、婚活は受験勉強以上の苦痛だろう。

 

 そして、異性が苦手なのだから、婚活はうまくいかず、その期間も長引く。

 

 他の人より、苦しいと感じる婚活が、他の人より長く続くのだ。

 

 ましてや婚活の理由が、結婚していないと世間体が良くないなんて、あやふやな理由なら、苦痛は増すばかりだ。

 

 一方で、世間には苦痛に耐え、苦手なことを克服することを賞賛する風潮がある。それは時に美談として語られる。

 

 でもそれは社会が用意した罠だ。美談として語られるのは、それが珍しいからであり、たいていは元々得意だったり、好きだった人にはかなわない。

 

 苦手なことを克服することを賞賛するのは、日本が高度成長するには、欠点の無い人、均質的な人がたくさんいた方が良かったからだ。

 

 それが総中流、サラリーマン社会を産んだ。

 

 しかし高度成長期は遥か遠い昔だ。ぼくが生まれる前の話だ。

 

 未だに社会はその成功体験に縛られている。

 

 一人ひとりの人生に焦点を合わせてみれば、何より長期間、人生に苦痛をもたらすものは、得意でもない、やりたくもない仕事を続けることだ。

 

 人生において、仕事をする期間はとても長い。その選択を誤れば人生はあっという間に地獄に変わる。

 

「だって仕方ないじゃないか、生きていかなくちゃいけないのだから」

 

 多くの人がそう言うだろう。僕らの先輩、親世代はそうやって生きてきた。そうしなければ実際、生きていけなかった。

 

 しかし、もう時代は違う。本当はもう誰もが好きなことをやって生きていくことができる時代になっている。もう僕らは十分に豊かになったのだから。

 

 現代においても、確かに世間並に働かなければ、世間並には暮らしていけない。隣の人と同じように、大きな車を買い、新築の家を買い、流行の服を買い、やたらと新発売される新しいシャンプーを買うには世間並に働かなくてはいけないだろう。

 

 しかし、本当の意味で生きていくには、それほどお金は掛からない。

 

 実際、僕は月額6万5千円で暮らしている。つまり月に6万5千円稼げれば、どんな仕事を選んでもいいのだ。

 

 ギター弾きでも、昆虫学者でも、鉄道ライターでも、絵描きでも、作曲家でも、本当にやりたいことをやればいい。

 

 それでも、自分の選んだやりたいことが、まったくお金にならないということもあるだろう。

 

 そんな場合でも、週にたった2日、8時間、時給1000円で働けば、月に6万5千円は稼げる。

 

 週に2日は生きるために働いても、残りの5日はやりたいことができるのだ。

 

 近い将来、AI(人工知能)が発達して、仕事がなくなると恐れている人がいるが、もっと仕事が無くなって、もっと人間が自由になると考えれば、未来はバラ色に見えてくる。

 

 将来に必要なのは、お金を稼げるスキルではなく、AI(人口知能)の発達によって、仕事を取り上げられた時に、お金以外の動機で、やりたいことがあるということだ。

 

 今でも、定年で仕事を引退した後、腑抜けたようになってしまう人がいる。

 

 また、仕事を引退したら、お金を使うぐらいしかやることがなくて、引退してからもお金の事ばかり考えているご老人は多い。

 

 実際、投資詐欺事件で被害者として、ニュースで出てくるのは老人ばかりだ。

 

 僕らの世代は、お金からもっと自由になろう。もっとやりたいことをやろう。人生は短い。

 

 死ぬときに、お金をいっぱい稼いで、いっぱい使った。なんて人生ではなく、いつもやりたいことに夢中になっていたそんな人生だったと振り返りたい。

 

 そして僕らは気づいている。真に貴重で大切なのは、本当にやりたいと心底思えるものを見つけること。

 

 

 実はそれが一番難しいのかも知れない。もし、あなたがそれを見つけているならすぐにそれに没頭すべきだし、まだ見つけていないなら、

 

 さあ、それを見つけに行こう。