ムヒカ氏の言葉を振り返る。ウルグアイの「世界一貧しい大統領」が政界引退

 ムヒカ氏がここまで支持されるのはなぜだろう。

 

 それは多くの人が、どこかおかしいと思いながらも流されていく、行き過ぎた資本主義、またそこから生み出される格差について、はっきりと敵意を表し、語り、そしてなにより自らその流れにきちんと立ち向かって生きてきたということだと思う。

 

 ムヒカ氏が大統領であったウルグアイは南米では豊かとはいえ、世界第三の経済大国である日本には経済力で遠く及ばない。それでも彼のように質素を旨とする政治家を支持し、支える国民が居て彼を大統領にまで押し上げた。

 

 つまりウルグアイの人々は我々、日本人よりも経済的には豊かではないが、もはや富だけがすべてではない。経済発展にすべてを捧げるのは誤りだと気づいたと言うことだろう。実際、ウルグアイは南米でも特に質素を旨とする国民性らしい。

 

 僕ら日本人もそろそろ気づいてもいいころだろう。

 

 日本はもう十分に豊かだ。富の偏在はあるが、全体のパイを大きくするためにすべてを捧げる時代はもう終わった。パイを維持しながら、パイを切り分ける時代だ。

 

 世界一の経済大国であるアメリカは気づかない。何しろ行き過ぎた資本主義の総本山だ。これからも走り続けるだろう。

 

 世界二位の経済大国に躍り出た中国も、まだまだ発展途上国の一面も持っており、11億人の中には本当に貧しい人々がおり、政治的不安定差に弱い独裁制である以上、高度成長を続ける必要があり、資本主義の回し車から降りるのは難しいだろう。

 

 そこで日本だ。アメリカには結局追いつけず、今や中国にも抜かれたが、今なお世界第三位の経済大国だ。

 

 十分に豊かになった、さぁ、次のステージに移ろうという資本主義の新しいステージに向かう事のできる唯一の大国だ。三大経済大国のうちの日本だけが新しい資本主義に舵をきれる大国だと思う。

 

 労働人口の減少、高齢化など、今までの資本主義レースのルールでは勝ち目はない。だからこそ競争のルールを変え、その新しいルールで超大国を目指そう。

 

 そう、国民がどれだけ心豊かに暮らす幸せな国になるかと言う新しいルールで。

 

 その点でムヒカ氏から学ぶことはとても多い。

 

news.yahoo.co.jp

 

「世界で一番貧しい大統領」と呼ばれた南米ウルグアイホセ・ムヒカ元大統領(85)が10月20日上院議員を辞任して政界を引退すると表明した。NHKなどが報じた。

共同通信によるとムヒカ氏はこの日、演説に臨み、引退の理由を語った。慢性的な免疫系の持病があり、新型コロナウイルスの流行が引退の理由の一つだとした。(ハフポスト日本版・安藤健二

ムヒカ氏とは?左翼ゲリラから政界に。大麻合法化も推進
「現代外国人名録2016」などによると、ムヒカ氏は1935年生まれ。貧困家庭に生まれ、家畜の世話や花売りなどで家計を助けながら育った。1960年代に入って左翼ゲリラ組織「ツパマロス」に加入。武装闘争の資金を稼ぐために強盗や誘拐などに手を染めた。朝日新聞デジタルによると投獄4回、脱獄2回。銃撃戦で6発撃たれ、重傷を負ったこともある。

軍事政権が終わるまで14年近く収監されていたが、出所後は国会議員となり、2010年3月から2015年2月まで大統領を務めていた。

ムヒカ氏は大統領在任中、カトリック教会の反発を抑えながら人工妊娠中絶を合法化したほか、同性婚も認めた。また犯罪抑止の目的で、世界で初めて生産や販売を含めて大麻を合法化している。

大統領時代は月給の約90%を慈善団体に寄付していたことから、2012年にBBCに「世界一貧しい大統領」とBBCに報じられた。2010年の個人資産は、所有しているフォルクスワーゲン・ビートルのみだったという。

「貧しいと感じていません」ムヒカ氏の言葉
まさに波乱の人生を送ってきたムヒカ氏の人生哲学を、彼の言葉から振り返ってみよう。


「私は 『最も貧しい大統領』と呼ばれていますが、貧しいと感じていません。貧しい人たちとは、優雅な暮らしをし続けるためだけに働き、常により多くを望む人たちのことです」(2012年のBBCの報道より)


「独房で眠る夜、マット1枚があるだけで私は満ち足りた。質素に生きていけるようになったのは、あの経験からだ」(2016年の朝日新聞のインタビューより)


「私は、消費主義を敵視しています。現代の超消費主義のおかげで、私たちは最も肝心なことを忘れてしまい、人としての能力を、人類の幸福とはほとんど関係がないことに無駄使いしているのです」(2014年のスペインのテレビ番組での発言)


「痛みや試練を伴ってもなお人生の美しさは褪せません。生きるということは、転んでは立ち上がり、前に進むことの積み重ねなのです」(2017年のN高等学校の入学式に寄せたビデオメッセージより)

ハフポスト日本版・安藤健二