3章 お仕事編 労働は一週間に8時間で十分『1日8時間労働は本当に理想的?心身の健康に最善な勤務時間とは』
英オックスフォード大学の研究者、カール・ベネディクト・フレイとマイケル・オズボーンは2013年、47%の仕事が10年以内に自動化されると予測した。それから6年たった今、先進国の多くでは失業率が過去最低水準に低下。一方でゼロ時間契約やギグエコノミーが人々の健康にもたらす影響についての懸念が生じ、論点は人々が“良い仕事”に就くことへとシフトしている。
世界的に失業率が過去最低水準ということは世界的に人手不足になりつつあるという理解でいいのだろうか?
つまり研究者の予想ははずれつつあると。多くの仕事が自動化すれば、人手は余るはず。それほど仕事の種類がシフトしたという話も聞かないですし。
仕事をすることの心理学的なメリットはよく知られており、自己評価や社会的包摂性の改善などがあるが、こうしたメリットが得られるための条件はあるのだろうか? 私たちは、“良い仕事”に就く必要があるのだろうか、それともどんな仕事でも効果があるのだろうか?
ケンブリッジ大学などの研究チームはこの問いに答えるべく、仕事のこうしたメリットが出始める決まった勤務時間があるのかについて調査を行った。
仕事をすることに精神的なメリットがあることというのは定説らしい。
仕事をすることのメリット
研究チームは、英国世帯縦断調査(U.K. Household Longitudinal Study)のデータを使い、勤務時間と労働者の心の健康状態、生活への全体的な満足度を調べた。2009~18年の間に計7万人余りの英国居住者を調査したところ、仕事と心の健康の改善の間には明確な相関関係があった。
なんと、1週間の勤務時間が8時間未満だった人でも、心の健康問題を抱える可能性は30%低かった。
つまり、逆から読めば、まったく仕事をしない人は、何らかの仕事をする人に比べて、心の健康問題を抱える可能性が30%程度高いということになりますね。
勤務時間と労働者の心の健康状態とあるので、仕事というのは家の外から収入を得るタイプの仕事を指していて、家でずっと家事をしている専業主婦などは、勤務時間ゼロとして数えられているのでしょうか。
そう考えると家にずっと籠りがちという点で、ニートやひきこもりの人だけでなく、専業主婦(夫)、完全に引退したお年寄りも、精神的なリスクを抱えていると考えられる
ようですね。
また面白いことに、週8時間以上働いたとしても数値の顕著な上昇は見られず、標準的な週40時間勤務の人は心の健康面でも生活満足度でも大きな違いは見られなかった。そのため研究チームは、労働時間が週8時間だけでも、仕事が健康に与えるメリットを全て享受できると結論している。
これは希望が湧く話ですね。まず、専業主婦の人も、ニートも、引きこもりの人も、引退後のお年寄りも、とりあえず週に8時間働けば、労働による精神的メリットは享受できる。
1日1時間ちょっとでいいので、一般的な働くという概念からすると、ハードルはグッと下がります。専業主婦(夫)も、お年寄りも、週一ぐらいで外で働きましょうということですね。
さらに老後も週に1日程度は働く方が良いということですので、月間30時間、時給1,000円ならば、30,000円。夫婦ならば二人で60,000円。年間72万円。15年続けて、1,080万円。
精神的な健康のために週8時間働いて、老後足りないと言われていた2000万円の半分以上をカバーできますね。
研究チームは「私たちは気分を改善するために、ビタミンCから睡眠時間までのあらゆることに有効量の指針を設けているが、有給の仕事に対してこの問いが投げかけられたのはこれが初めてだ」と指摘。「失業状態が多くの場合、アイデンティティーや地位、時間の使い方や共同目的の意識などに悪い影響を与え、健康に害をもたらすことは分かっている。今回の調査で、雇用による心理社会的メリットを得るのにどれほどの有給労働時間が必要なのかについて少し理解することができた。そして、必要な時間数は全く多くなかった」と述べている。
有給労働時間とあるので、やはり専業主婦(夫)の家事労働は含まれないようですね。専業主婦(夫)も週一で外で働く方が良いようですね。
不必要に長い労働時間
だが、少なくとも英国では多くの人が非常に長時間働いている。長時間労働は効率性向上に直接結びつかないにもかかわらず、欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)のデータによると英国の労働者は欧州の中でも週の勤務時間が長い部類に入っている。こうしたデータを踏まえ、一部の研究者は少なくとも生産性の視点から最適な勤務時間を提案している。
長時間労働はこれまで、心臓病リスクやストレス、不安の増加など、さまざまな健康問題と明確に結び付けられてきた。自分がどれほど状況をコントロールできるかが、長時間労働の健康や幸福さへの影響を決める重要要素だということを示す証拠もあるが、一方で私たちの現在の仕事量が果たして適切なのかというもっともな疑問が投げかけられているようだ。
働きすぎのデメリットは明確にあるんですけどね。みんな働き過ぎです。
経済学者ジョン・メイナード・ケインズが語った有名な言葉に、人は将来多くの余暇の時間を楽しむようになり、仕事は必要性というより選択の問題になる、というものがある。今回の調査を行った研究チームもまた、勤務時間の削減を積極的に支持し、次のように述べている。
「今後数十年で、現在人間が行なっている有休の仕事の多くは人工知能(AI)やビッグデータ、ロボットに取って代わられるだろう。フルタイムで働きたい人全員のための十分な仕事がない場合、現在の基準を再考しなければならない。その一環として勤務時間を再配分し、たとえ各人が1週間に働く時間が短くなったとしても、仕事から得られる心の健康効果を全員が享受できるようにすべきだ」
将来は人工知能やロボットに仕事を取られて、仕事自体の総量が減る。すると、仕事自体が不足する。そこで、必要なのは仕事をできるだけ多くの人に割り振ることですね。
7人の人がいて、そのうち1人が毎日休まず働いて、働き過ぎで体を壊す。これが現代の状況に近いですね。
理想的な未来は、7人が1日ずつ働いて、7人とも働くことによる精神的なメリットを享受して幸せに暮らすということですね。
週の労働時間の削減
それでは、毎週の勤務時間が非常に短くなったとしたら社会はどう機能するのだろう? 研究チームは、ものごとをうまく進めるアイデアとして、週休5日制や、年次休暇の大幅な増加、さらには1カ月の労働に対し2カ月の休暇を取ることも提案している。
また当然のことながら、研究チームは勤務時間の大幅削減によるメリットとして、ワークライフバランスへの大きな影響や、生産性向上、職場への通勤による環境への影響削減を指摘している。
週休5日制!!そうです。それですよ。
労働時間の削減にはリスクも
もちろんこれにはリスクもある。特に、一部の人はより従来型の勤務時間に近い労働時間なのに対し、他の人は非常に短縮された労働時間だった場合、大きな収入の不平等が生じる可能性がある。そのため研究チームは、勤務時間の短縮を法令で義務化する必要があると考えている。
労働は嫌なもの、たくさん働く人は偉いという発想ではなく、たくさん働く人は他の人の労働を奪っているという発想となる時代がやってくるということですね。
「全員が週に約40時間働く従来型のモデルは今まで、労働者にとって何時間働くのが良いのかという点を基準としたものではなかった。私たちの研究からは、短時間の仕事にもフルタイムの仕事と同じ心理学的メリットがあることが示唆されている」
週40時間労働は働かせる企業側の意向と、経済のパイを大きくしてより多くの税を取りたい政府の意向が強く反映されたもので、労働者の福祉や、人生を最優先したものではなかったと言えるでしょう。
「しかし、仕事の質は今後も常に重要となる。従業員が尊重されていない仕事や不安定な契約、ゼロ時間契約を結ぶ仕事は、健康に同じような影響をもたらさないし、将来的にもそうしたメリットはないだろう」
労働時間さえ短くなればいいという単純なものではないということでしょう。
現在の労働時間である1日8時間の概念が作られたのは1800年代で、労働者が仕事と休憩、余暇を平等に取れるようにと活動家が熱心に取り組んだ結果だ。その後、労働市場改革が繰り返された今でも、一般的な1日の労働時間の考え方はしぶとく生き残っている。もしかしたら、この慣習も新たなテクノロジーの登場によって大きく変革されるべき時が来ているのかもしれない。
「1日8時間労働から、1週間8時間労働へ」と考えると胸が熱くなりますね。
『暴力の人類史 下』感想・評価
【目次】
第7章 権利革命
「子殺しは、心の無慈悲さから来ているのではなく、むしろ生活の無慈悲さから来ているのだ」エドワード・テイラー ページ78
児童教育運動は、人間の発達への科学的なアプローチを目指し、年配の主婦たちによる適当な教えと迷信に変わって、子育て専門家による適当な教えと迷信が広まった。ページ107
^_^ 皮肉が効いてるなぁ。
要約
体罰に関する認識の変化はポジティブだが、一方で子供の育ち方は親次第であるという誤った認識が広まり、親は24時間子育てマシーンになることを要求されるようになった。養子の研究では養子は養子先の兄弟よりも、生物学的兄弟により近いものになる。つまり、育ての親より生みの親の影響が強いこともわかっている。
^_^ 今の日本の子供のやることはみんな親の責任みたいな風潮は大きな間違いだと言える。馬鹿馬鹿しい。
作家のワーウィック・ケアンズの計算によると、もしあなたが見知らぬ他人に自分の子供を誘拐されて一晩拘束されることを望むなら、あなたは子供を外側に付き添いなしで放置したまま750000年の間待たなくてはならない。ページ128
^_^ まぁ、誘拐は離婚した親権を奪われた親や家出が多いからね。まぁ75万年か。誘拐は顔見知りが多いのかも。
子供を学校に送って行く途中の親の車にひかれる子供の数は、それ以外の交通事故に会う子供の2倍以上に上っている。したがって、子供を誘拐犯に殺されないようにするために車で学校へ送っていく親が多ければ多いほど、子供の多くが死ぬのである。ページ129
^_^ やはり物事には収穫逓減の視点が必要だろう。何事もゼロにしようとすれば費用対効果は大きく悪化する。
ストレートの男性はゲイの仲間に対してこう思うのではないだろうか「すばらしい!これで俺の女の取り分が増える!」と。この理論でいけば女性の同性愛は考えられる限りの最も憎むべき犯罪とみなされるはずだろう。なぜならそれは、配偶プールから2人の女性を同時に奪い去ってしまうからだ。ところが、ホモ嫌悪は歴史を通じてずっとレズ嫌悪をより顕著だったのだ。多くの法体系は男性の同性愛だけを犯罪としているが、女性の同性愛だけを犯罪としている法体系は1つもなく、男性同性愛者に対する憎悪犯罪は女性同性愛者に対する憎悪犯罪に比べて、約5倍も多い。ページ131
ヒトラーとその副審たちは菜食主義者を自称していた。しかしそれは動物園への哀れみからと言うよりも、異常なまでの純血性の追求からであり大地と再びつながろうとする汎神論的な切望からであり、ユダヤ教の人間中心主義と肉食の儀式に対する反発からであった。人間はここまで道徳観を使い分けられるものがなのかと感心するが、後は言語道断の人体実験を行っておきながら、その一方で、それまでヨーロッパにあったどんな方よりも厳格な動物研究保護法を制定した。それらの方では、農場や映画のセット等において動物に人道的な扱いをすることが定められ、レストランでは調理をする前に性の麻痺させること、ロブスターを想起させることが義務付けられた。動物の権利の歴史にこの奇妙な一生が指図挟まれて以来、菜食主義者の提唱者は自分たちの昔からの主張を引っ込めざるをえなくなった。肉食は人を攻撃的にし、肉食の節制は人を平和的にする、と言う言い分はもはや通用しなくなったのだ。ページ157
^_^ ナチスドイツってこういうエピソードに事欠かないな。
^_^ 確かにカルフォルニアって先進的な法律を作りがち。
参考書籍
『僕らはそれでも肉を食うー人と動物の奇妙な関係』
- 作者: ハロルドハーツォグ,Harold A. Herzog Jr.,山形浩生,守岡桜,森本正史
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第8章 内なる悪魔
心理学者のリチャード・トレンブレイは、人間の障害の各段階での暴力発生率を測定して、最も暴力的な段階が青年期ではなく、若年成人期ですらなく、そこに言われている通りの「魔の2歳児」の頃であることを発見している。よちよち歩きを始めた頃の典型的な幼児は、蹴ったり、噛み付いたり、叩いたり、喧嘩をしたりするが、そうした物理的攻撃の発生率は幼児期が経過するにつれて着実に下がっていく。これについてトレンブレイはこう述べている。「赤ん坊同士は殺し合いをしないが、それは彼らの手に届くところにナイフや銃が置かれていないからだ。われわれは過去30年にわたって子供が一体どうやって攻撃することを学習するのかと言う問題の答えを見つけようとしてきた。だが俺の問いは立て方が間違っているのだ。正しくは子供はどうやって攻撃しないことを学習するのかと問うべきなのである」ページ197
^_^ 人間は最も原始的な状態において、最も暴力的なのか。これは面白い。
『邪悪な夢:異常犯罪の心理学』
『凶暴な娯楽:暴力エンターテイメントの文化史』
『人間の本性を考える』
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス)
- 作者: スティーブン・ピンカー,山下篤子
- 出版社/メーカー: NHK出版
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『悪』ロイ・バウマイスター
『行為と演技』
行為と演技―日常生活における自己呈示 (ゴッフマンの社会学 1)
- 作者: E.ゴッフマン,石黒毅
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『なぜ人はあやまちを認めないのか』
- 作者: エリオット・アロンソン,キャロル・タヴリス,戸根由紀恵
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「簡単に勝てるとどれほど確信していても、敵方もやはり自分のほうに勝機があると思っていなければ戦争は起こらないと言うことを、決して忘れてはならない」ウィンストン・チャーチル ページ248
愚行の世界史(上) - トロイアからベトナムまで (中公文庫)
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第一次世界大戦が始まる数週間前には、イギリスとフランスとロシアの指揮官たちも、相対するドイツとオーストリア=ハンガリーとオスマントルコの指揮官たちも、全員この戦争が敵の大敗北で終わって、自分たちの兵士は無事にクリスマスは我が家で過ごせるものと予測していた。どちらの人影でも熱にうかされた大勢の青年が我が家を出て軍隊に入ったが、それは彼らの国の為なら喜んで小竹とする利他主義者だったからではなく、自分が死ぬとは考えてもいなかったからである。もちろんそんなわけはなく、実際、多くの若者が死んだ。ページ250
第9章 善なる天使
抜粋要約
人はネガティブな感情が生じるとそれに対する引き波の感情、ニュートラルに戻すための感情が生じる。
危険な行為の後の高揚感のようなものである。
人はその危険な行為を繰り返していくうちに慣れが生じ、ネガティブな感情にすぐ対処できるようになり、ニュートラルに戻すためのポジティブな感情が目立ち始める。
その結果、ネガティブなはずの行為から人は喜びを感じるようになる。
それは大人の楽しみの多くに見られる。激辛チリペッパー、臭いチーズ、辛口ワイン、サウナ、スカイダイビング、カーレース、ロッククライミングなどである。
そして、サディズムにもその傾向が見られる。
人は当初は他人の苦しみに嫌悪を覚えるが、やがてそのネガティブを埋めるニュートラルに戻るためのポジティブが他人の苦しみに対する慣れから、力を持ち始め、やがては人を苦しめることに喜びを感じるようになる。
^_^ この仮説は完全とは言い難いが、一種の理があると感じる。ここでボクが思い出すのはいわゆるNTR。寝取られ属性というやつだ。
なぜ、大切な人を他人に寝取られるというネガテイブな現象で喜びを感じることができる人がいるのかという疑問の答えがここにあるように思える。つまり、NTRには心理学的なブーストがかかっていると考えられる。
さらに NTRが特殊なのは、NTRの場合は進化生物学的にも自分のパートナーが寝取られたら強烈な性欲を感じてパートナーにのし掛かったり、寝とった者のパートナーを寝取り返すような者の遺伝子の方が次の世代につながりやすいので、当然、寝取られた時には性的な興奮を感じたものこそ、子孫を残し得たと考えられる。
つまり、NTRは心理学的にも、進化生物学的にも、喜びを感じうるというわけである。
なかなか闇深い。
第10章 天使の翼に乗って
訳者あとがき
参考文献
注
索引
そう遠くない未来において、その昔、労働という残酷な制度があったのだと語られる時代が来るだろう。
啓蒙主義が広まってからは人はあらゆる苦役から解放されてきた。それは奴隷労働であり、児童労働であり、制限なき長時間労働。
プロテスタントでは労働は善とされているし、東洋の思想でも、労働を良きものとして考える思想は根強い。
しかし、今、ここで自分の胸に手を当てて自分の本心を聞いてみて欲しい。
働きたいか?と。
あなたの本心は働きたくないと言っていないだろうか?
働きたいと思っている人でも同じ給料であれば時間を短くしたいと思っていないだろうか?
人は啓蒙主義が広まって以降長い間、あらゆる苦悩から解放されてきた。
奴隷、虐待、拷問、戦争、あらゆるものが退けられ。または退けようと努力してきた。
次は労働がその対象にならないとあなたは言えるだろうか?
『暴力の人類史 上』目次・感想・評価
はじめに
第1章 異国
コロッセオで見世物として死に至らしめられた人は50万人にも及ぶ。
今日のイギリス王室は無作法から不倫まで、いろいろ悪口を言われているが、ただの1回も親戚の誰かの首をはねたり、敵の誰かの腸をとって八つ裂きにしたことがない事は褒めるべきかもしれない。ページ58
^_^ もう笑うしかない。
要約
人類の歴史は過去に遡るほど残虐性に満ちていた。少なくとも過去に遡るほど人々は残虐さに寛容だった。
第2章 平和化のプロセス
先史時代には、カニバリズムの風習は人間の進化にも影響及ぼすほど一般的だった可能性もある。人のゲノムには、人肉を食べることによるプリオン疾患への感染を防御すると考えられる遺伝子が含まれているのだ。ページ105
^_^ 人類の正義はどれだけ変わってきたのだろうとある意味、震撼する。現代、概ね問題ないとされているもの(野生動物を取って食べること、家畜を養い食べること、流血を伴う格闘技)もいずれ野蛮な行為として廃れていくのだろうか。
20世紀には2つの世界大戦が起きたが、最も軍事的損害の大きかったのはドイツと日本、ロシア/ソビエト連邦であり、ロシア/ソ連ではそれ以外にも内戦など軍事的衝突が度々あった。この三国の戦争による年間死亡率は、それぞれ100,000人あたり144人、27人、135人だった。ページ115
^_^ こうしてみると、日本の死亡率は他の2国に比べると低い。やはり本土が戦場になったのか?という点が大きいのだろう。沖縄の死亡率を調べてみたい。
約29%である。
10万人あたり2.9万人。
これはもう我々本土の人間は沖縄に頭を垂れるしかない。
中央集権化した社会の方が、女性が戦闘で(連れ去られるのでなく)殺されたり、奴隷制が敷かれたり、人間がいけにえにされたりする傾向が強いことを示した。ページ124
^_^ 女性限定でみれば中央集権制は狩猟採集よりも良いとは言えない?
複雑な社会の方が冒涜的行為や性的逸脱、配信行為、魔術といった犠牲者のない行為を犯罪とみなし違反したもの拷問や、使節団、どれか、処刑などの残忍な刑罰を与える傾向が強いことを示した。ページ124
^_^ 狩猟採集民の中で微罪で殺していたら、貴重な戦力である身内がいなくなってしまうというのもあるのだろう。
要約
中央集権制というリヴァイアサンがしかれることによって戦争や殺人による死亡率が5分の1に減少する。狩猟採集民の頃の方が栄養状態はよかったが、死亡率は劇的に下がった。一方で指導者が残忍な行為を行うようになる。
第3章 文明化のプロセス
上流及び中流階級は司法制度によって正義を追求しようとするのに対し、下層階級は暴力の専門家が「自力救済」と呼ぶ方法を用いることにある。ページ168
^_^ これを読んで思いついたのだが、インターネット上で吊るし上げや身元バラシなどの私刑が蔓延するのは、そこにリヴァイアサンがいないからではないか。信頼できる権力が不正を正してくれると思えないから彼らは自らの空間、インターネットでは「自力救済」を行うのではないか。
^_^ 死刑を廃止することで、被害者の家族が加害者の家族を襲うというようなことは起きるのだろうか?
アメリカ人は、銃器を振り回すのが好きなだけではない。すべての殺人件数から銃器によるものを差し引いて、縄やナイフ、それに鉛管、レンチ、ろうそく立てなどの鈍器を使った殺人だけに限っても、アメリカの殺人事件数はヨーロッパより高いのである。ページ183
^_^ これは驚いた。アイツら野蛮だなw
完全な生殖の失敗に向かっていることが明らかになれば、いかなる生物も、何らかの形で現在の生き方を改善するためにしばしば私の危険を犯しても努めなければならないページ202
^_^ これは男の悲しさだよなぁ。
ボストンの低所得層出身の非行少年1000人を45年にわたって追跡調査した有名な研究によれば、その後の人生で犯罪を犯すかどうかを左右する要因の2つ見つかった。1つは安定した職に就くこと、もう一つは愛する女性と結婚して家族を養うことだった。結婚による影響はかなりのものだ。独身者の4分の3は成人後、さらに犯罪を犯すようになるが、結婚したものでは3分の1に過ぎなかった。この違いだけでは結婚によって犯罪から遠ざかったのか、犯罪の常習者は結婚することが少ないのかどちらかわからない。ページ204
^_^ 嫁をもらって丸くなるってあるよなぁ。
犯罪学者の間では、失業率と暴力犯罪の間には明確な相関関係が存在しない事は長く知られている(失業率と窃盗犯罪には何らかの相関関係がある)ページ227
^_^ 暇で金がなくても、ものは盗んでも、人は殺さないってことか。
要約
西洋で60年代に犯罪が増えた理由はいくつもの要因が重なったものと考えられる。ベビーブーマーである若者の増加など。しかし、一つの要因には特定できない。今はあらゆる本能を抑える文明化から自ら判断してコントロールして本能を解放する事態になったのかもしれない。
第4章 人道主義革命
科学的精神の影響を受け、自ら魔術仮説の真偽のほどを見極めようとした訳人もいた。ミラノのある判事は自分の家の犬を殺して召使いのせいにし、拷問にかけたところ、召使いは自分がやったと自白した。しかもさらに拷問にかけられることを恐れて、自白を撤回することも拒んだ(今日ではこうした事件は、被験者保護の観点からゆるされないものだが)。判事はこの結果を受けて自分の法廷で拷問を行うことをやめた。ページ261
^_^ この判事は当時としては先進的だが、とても先進的だが、今日の価値観では啓蒙主義的とは言えない。なんとも言えない存在だ。
80年代に流行したバンパーステッカー「そのようなことも起こる(=ついていないこともあるさ)」というのは、「汝の隣人を愛せよ」や「すべての人間は生まれながらに平等である」に匹敵する、大いなる道徳的発展の結果得られた原理なのである。ページ263
^_^ 自分の不幸を他人による呪いや魔術と考えなくなったと言うこと自体が1つの道徳的発展と言うことなのだろう。
16世紀のパリでは、ステージ上で3カッキンに入れた猫炎の中におろして燃やすのが大衆娯楽の1つだった。ページ273
これは今日もなお動物愛護運動の基本理念となっている。「動物にも理性はあるか、動物にも話すことができるか、などと言うのは問題ではない。動物も苦しむかということが問題なのだ」。ページ279 ジェレミー・ベンサム
だが、資産の差し押さえも暴力の1種だとペインは言う。「ジョンが食料品をつけて買い、その後支払いを拒否したとしても、彼は暴力を使っていない。だがもし食料品店の店主が訴訟を起こし、警察がジョンの車押収するか銀行口座を差し押さえれば、実力行使を始めたのは、店主と警察と言うことになる」。ページ291
^_^ むむむ、判断が難しい。
私の見るところ、この本を始めとする印刷物の増加と識字能力の向上こそ、人道主義革命のきっかけとなった最大の外生的要因ではないかと思われる。世界は五感を通して捉えられ、情報は唯一のコンテンツプロバイダーである教会から与えられるだけだった、それまでの小さな村と言う部族社会から、様々な人や場所、多様な文化やアイディアが次々に通り過ぎる走馬灯のような体験へ。こうした精神の拡大が、人々の感情や信念に人道主義的要素を着込んだのだ。ページ320
^_^ やや手前味噌的だから読書好きとしては賛成したい内容だと思う。
第5章 長い平和
^_^ 著者は戦争による死者数をその当時の人口比率で修正しようとしているが、すんなり納得できない。人口10億の時代に1億殺されることと、人口100億の時代に10億人殺されることが同じ重さだとは思えない。やはり10億は10倍、悲劇ではないかと思う。
データに照らし合わせた結果、大部分の仮説は否定された。その1つは、言語が共通だからといって戦争になりにくいわけではないこと(大部分の内戦、19世紀の南米諸国間の戦争が良い例だ)。エスペラント(「希望する人」の1)の何託された希望も、もはやこれまでだ。経済指標もほとんどあてにならない。例えば富める国が貧しい国を攻撃すると言う(またはその逆の(閉じるパターンが系統的に見られるわけではない。また一般に軍拡競争が戦争を誘発することもなかった。
それでも検証に耐えた一般論が、いくつかあった。例えば、長期間安定した政府を持つ国では戦争が起きにくいこと。異なる民族同士がドイツ国内で内戦を起こすより、国境を挟んで戦争する場合の方が多いこと。また、一般には戦争は隣国を攻めることが多いが、広大な領土も大国にとってはほぼ全ての国の隣国となるためどの国とも戦争になる可能性が高い。さらに、ある特定の文化(特に軍国主義的イデオロギー」を持つ国は戦争を起こしやすい、などである。ページ368
^_^ これを中国に当てはめてみるとどうか?大国であること、これで世界中のどことも戦争が起こり得る。2つ目、長期間安定した政府を持つこの点では中国は戦争を起こしにくい国と考えられる。ただすべての戦争を同一に考えると言う事は正しい結論得るとは思えない、大国がどのように行動するかと言う戦争論が対中国の将来を予想しうるだろう。そう考えるとアメリカが、ロシアが、過去におけるイギリスなどのパターンが参考になるのかもしれない。
ポワソン過程では事象とは連続的にランダムに、他の事象とは独立して発生する。落雷で言えば、空の上ジュピターがサイコロを振って1のぞろ目が出たら雷を落とし、次の瞬間にはさっきの事は全く忘れて再びサイコロを振るようなものだ。先に見たように、ポワソン過程では、事象と事象の感覚は、指数関数的に分布する。短い間隔は数多くあるが、間隔が長くなればなるほどその数は少なくなる。つまりランダムに起こる事象は、クラスタ(集団、群)をなしているように見えるのだ(均等に感覚を開けるには、ランダムでない過程が必要になる)。ページ370
^_^ こういうの株式投資とかに流用できないのかな。
ウェーバーの法則とは、観察者が刺激の強さの増加を知覚するには、増分が最も刺激の強さに対して一定の比率になっていなければならないと言うものだ。(10個の電球のついた部屋で11個目をつけると前より明るくなったことに気づくが、100個の電球のついた部屋で101個目をつけても気づかない。明るさの変化が知覚されるには電球を10個増やさなければならない)。リチャードソンは、この法則が人命の損失にも当てはまることを発見し、こう書いている。「平時にイギリスの潜水艦シーティスが沈没して多くの犠牲者が出た時、新聞は何日にも渡って哀悼記事を載せたが、その後この潜水艦が戦闘中に沈没して同じように多くの犠牲者が出たときには、ごくそっけない扱いだった。この違いは、増分が知覚されるかどうかは、元の量との比によって決まると言うウェーバー・フェヒナーの法則の1例と考えられよう。ページ396
宗教問題が政治問題を凌駕すると、敵国との交渉は全て一旦進行や背信行為のように思われる度合いが増し、カトリックとプロテスタントを分裂させた問題は、もはや交渉の余地のないものになった。その結果……外交的接触が減少していったのである ページ417
^_^ つまり宗教が戦争に絡むと敵との和解なぞしようものなら仲間から異端とされ火あぶりになりかねない。その結果、戦争は続き、和平は遠のくということか。いや、それはイデオロギーも一緒か。共産主義者と交渉だと!とかなっていたわけだし。馬鹿馬鹿しいなぁ。
核兵器の存在が平和をもたらしたわけではない。なぜなら、アメリカだけが核を持っていた時、アメリカは無茶をしなかったし、多くの核兵器を持たない国が核を持つ国と戦争をした。ベトナム戦争、中越戦争、などなど。ソ連が衛星国を作った時期はまだソ連は核を保有していなかった。
要約
カントの言った、民主主義、貿易、国家間の枠組みは戦争の確率を下げる。政治は残忍な冷酷性もあるが感情的なタブーなどもあり、核の不使用や毒ガスの破棄などに繋がった。
第6章 新しい平和
平和維持部隊は構想に必要な雰囲気を作ることができる。(譲歩の)革新はプライドにある、それが人間の特性なのだ。威厳を失意したりプライドを傷つけたりせずに交渉できるメカニズムが必要だ
^_^ やせっぽちの審判でも巨大なホッケー選手を仲裁できると言うのは良い例えだと思う。
統計から導かれる驚くべき発見の1つは、即時の独立、天然資源、革命的マルキシズム(有効である場合)、選挙による民主主義(有効でない場合)など、一見派手でエキサイティングなものは暴力性増加させる可能性があり、反対に、有能な警察、世界経済への開放性、国連平和維持活動、プランピーナツなど、どちらかと言うと地味で退屈なものこそが暴力死を減少させる可能性を持っていることである。ページ557
ジェノサイドによる犠牲者の数の選定を初めて試みた歴史学者の1人ランメルが、20世紀に政府に殺害された国民は1億6900万人に上ると推計した事は、広く知られている。確かにこの数は多すぎるが、虐殺行為に関する大多数の研究者の間では、20世紀には戦車よりもジェノサイドによる死者の方が多かったことで意見は一致している。ページ558
ジェノサイドとは人間性(本質主義や道徳観、直感的経済など)、ホップスの安全保障のジレンマ、至福の千年思想、そして指導者が利用できるチャンスが毒性反応を起こした結果、生じると言うことになる。ページ 577
第二次世界大戦中のアメリカで、戦争に勝った後日本人はどうすべきか世論調査を行ったところ10%から15%が絶滅させるべきだと回答した。ページ582
^_^ これは日本側でも同じようなものだっただろうし、恐らくもっと多かったかもしれない。
マルクス主義の出現は、いわば歴史的な「津波」とも言うべきもので、人間社会に及ぼした影響の大きさには息を飲むしかない。マルクス主義は、旧ソ連や中国のマルクス主義政権による大量虐殺を招き、間接的にはドイツのナチス政権による大虐殺の一因にもなった。ページ594
^_^ マルクス主義を跋扈させた理由はやはり資本主義の欠陥にあるのではないか?それを無視して資本主義を先鋭化することがあれば(格差の拡大など)新たな形を変えたマルクス主義を生み出すことになりはしないだろうか?そしてその理想主義が再びジェノサイドを誘発するのではないだろうか?
資源不足と多数の人が殺害される内戦との関係を理由にして破滅を予測するものもいるが、サンプル数の多い文献がそれを裏付ける事はまずない ページ650
^_^ 水不足で中国が攻めてくるとか、いう連中がいるが、日本の水を中国はどうやって運ぶのだろう?パイプライン?タンカー?パイプラインは建設に時間がかかり、テロの標的になるし、タンカーで運ぶ分なら、日本が干上がるということもない。だいたい今の中国はお金持ちなんだから、まず、買いに来るだろう。輸出できるものが増えて良かったじゃないか。
『異文化理解力 相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養』感想・目次
『異文化理解力 相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養』
異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養
- 作者: エリン・メイヤー,田岡恵,樋口武志
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2015/08/22
- メディア: 単行本
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【目次・読書メモ】
監訳者 まえがき
イントロダクション
【要約】
文化は相対的に考えるべき。フランス人はイギリス人にはルーズに見えるがインド人にはフランス人は神経質に見え、イギリス人すらドイツ人にはいい加減に見える。つまり文化は絶対的なものではなく相対的なもの。その文化で暮らす人はその外に出なければ自分の文化を認識できない。金魚における水のようなもの。
^_^ この内容は著者も言う通り地雷源でもあるが、著者がそれを理解していることが重要なのだろう。これは男女差、世代にも確実にあるだろうがこれまた地雷源であるから、なかなか扱いが難しいだろう。著者が自分の失敗談から入っていると言うやり方は上手いからぜひ真似したい。
1 空気に耳を澄ます
異文化間のコミュニケーション
要約
もっとも問題を生じやすいのは異文化のハイコンテキストとハイコンテクスト。
^_^ そう考えると日本人と中国人もなかなか難しいのかもしれない。
2 様々な礼節のかたち
勤務評価とネガティブ・フィードバック
要約
パターンとしては
ハイコンテキストでフィードバックは明確、
ハイコンテキストでフィードバックはぼかす、
ローコンテキストでフィードバックは明確
ローコンテキストでフィードバックはぼかす。
の4種があり。日本はハイコンテキストであり、フィードバックはぼかす。ネガティブを伝えないことでネガティブなメッセージを伝える場合すらある。
3「なぜ」VS「どうやって」
多文化世界における説得の技術
要約
まず西洋で帰納的なアプローチと演繹的なアプローチに分かれる。実例から入りたがるアメリカ人と、原理から入りたがるヨーロッパ人という枠組みで、東洋人はまた別で全体の枠組みと背景を考慮する。ただ能率を求めるなら単一文化の集団の方が効率が良く、イノベーションを求めるなら多文化の方がよいと思われる。
4 敬意はどれぐらい必要?
リーダーシップ、階層、パワー
要約
ローマ帝国に支配されていたところは階層を重視し、ヴァイキングが支配していたところは平等を重視する。
東アジアはさらに階層的で孔子の影響が残り、上司は父長的な役割を求められる。上司の言うことは明らかに間違っていても正しい。
平等主義では必要な情報を直接取りに行けるが、階層主義では情報源の上司に許可が必要。
^_^ 日本の階層主義も大概だよね。ハンコを上司に頭を下げるように押すとか。でも階層主義的な方がいい部分もあるのかもしれないなぁ。軍隊とか。
5 大文字の決断か小文字の決断か
誰が、どうやって決断する?
要約
トップダウンで実行が始まってからも、決断を修正し続けるアメリカ。
合意は全員参加で一度、みんなで決断したらほぼ変更せず実行するドイツ。
そして、階層主義でありながら、稟議書というボトムアップの方式をとる特異な文化、日本。
6 頭か心か
二種類の信頼とその構築法
ビジネスはビジネス、個人的関係は個人的関係、それを混同しては面倒なことになると考えるアメリカのようなタスクベースの文化と、ビジネスをするにしても、個人的な関係が大切で個人的な信頼関係がなければビジネスは難しいと考える関係ベースのサウジアラビアのような文化がある。
日本はタスクベースよりだが、飲みニケーションのような関係性を重視する傾向もある。
7 ナイフではなく針を
生産的に見解の相違を伝える
意見の相違を述べた場合、その意見の持ち主を攻撃したものと判断される日本のような文化と、反論はあくまで意見に対するもので意見の持ち主に対する攻撃とは取られないフランスのような文化がある。
8 遅いってどれぐらい?
スケジューリングと各文化の時間に対する認識
イスラム文化圏では指導者が突然、明日から祝日と決めたりもするので、柔軟さが大切である。
一方でドイツや日本など時間に関して直線的な対応をする文化もあり、それぞれの環境にあった時間感覚を持っている。
したがって様々な国の人々がいるチームをマネージメントする場合はチームとしての文化を作る必要がある。
エピローグ
人は自分の持つ文化を他の文化と比較しなければその存在を自覚できない。水の中にいる魚が水を認識でないのと同じである。
そして自分と違う文化をおかしい、変だと思うようになる。
しかし、それを理解し、上手に対応する学習の過程にも大いなる実りと喜びがある。
謝辞
原注
詳細目次
この本を読むときに必要なのはどの文化、どのシステムが優秀で、どのシステムが劣っているとか、どのシステムが先進的で、どのシステムが前時代的なのかという優劣の切り口でみてはならないということ。
どの文化もその環境で醸成され、磨かれてきたものだからだ。
だからその文化が良い結果を生むかどうかはその置かれた環境によるのだ。
この本で面白いのは各国の文化に、歴史的な背景が付け加えられていることで、この切り口でもっと突っ込んだ本があるなら是非読みたいと思った。
そして、余談だがもっともハイコンテキストな日本において、よりハイコンテキストな京都の事を思うと、思わず笑ってしまう。
「ぶぶ漬けでもどうどす?」=もう帰れ
正にハイコンテキストの極みだ。
『マルクス・アウレーリウス 自省録』感想
『マルクス・アウレーリウス 自省録』
- 作者: マルクスアウレーリウス,神谷美恵子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/02/16
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いろいろな場合、例えば病気の時でさえも、機嫌よくしていること。ページ16
^_^ これはとても難しいことだが、機嫌よくいることの大切さは最近身にしみている。
特筆すべきは、例えば雄弁とか、法律、倫理、その他の事柄に関する知識など、何かの点で特別な才能を持った人々に対しては、妬みもせずに譲ったこと。それのみから彼らを熱心に講演して、各がその独特の優れた点に応じて名誉を得るように計らったのであった。ページ19
^_^ これがとても難しいことであることが歳をとればとるほどわかってくる。
たとえ君が3000年生きるとしても、30000年生きるとしても、記憶すべきは何人もいて現在生きている生涯以外の何物をも失う事はないと言うこと、また何人も今失おうとしている生涯以外の何物をも生きる事は無い、と言うことである。したがって、最も長い一生も最も短い一生と同じことになる。なぜなら現在は万人にとって同じものであり、(したがって我々の失うものも同じである)ゆえに失われる時は瞬時に次のように見える。何人も過去や未来を失うことができない。自分の持っていないものを、どうして奪われることがあり得るか。であるから次の2つのことを覚えていなくてはいけない。第一に、万物は永遠の昔から同じ形を成し、同じ周期を反復している、したがってこれを100年見ていようと、200年見ていようと無限にわたって見ていようと、何の違いもないと言う事。第二に、最も長命のものも、最も早死にするものも、失うものは同じであると言うこと。なぜならば人が失い得るものは現在だけなのである。というのは彼が持っているのはこれのみであり、何人も自分の持っていないものを失うことができないからである。ページ32
^_^ 科学技術の発展を見たいから長生きしたいなぁと、思いつつ、人が失いうるのは今、この瞬間のみというのは、心に刺さる一言だ。若者にも老人にも与えられているのはこの一瞬のみ。死者のみは静かに眠る。
他人に関する思いで君の余生を消耗してしまうな。なぜならばそうすることによって君は他の仕事をする機会を失うのだ。すなわち、誰それは何をしているだろう、とか、なぜとか、何をして、何を考え、何を企んでいるかとか、こんなことが皆、君をぼう然とさせ、自己の内なる指導理性を注意をぶかく見守る妨げとなるのだ。ページ38
『サイエンスインポッシブル』感想
- 作者: ミチオカク,Michio Kaku,斉藤隆央
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科学の新しい真理は、反対者を説き伏せることによって勝利を収めるのではない。反対者がやがて世を去り、その真理に馴染んだ新しい世代が育つことによって勝利を収めるのである。マックス・プランク p134
^_^ 地動説然り、MMTももしかしたら新しい真理なのか?
最新のDNA解析によると、約100,000年前、人類は数百から数千人しかいなかったらしい。1つの手で見ると、大半の動物は遺伝子が大きくばらついているのに対し、人類は遺伝子がほとんどそっくりなのだ。動物界に比べ、われわれはお互いにクローン同然と言っていい。これを説明するには、人類の歴史に絶滅寸前になった「ボトルネック」の時期があったと考えるしかない。ページ194
^_^ なんと。実際に絶滅の危機があったとは。農耕は始まってない。火山噴火による寒冷化だと言われているがそれなら同様の条件にあっている他の生物もいるはずでは?
『本当に必要なものしか持たない暮らし』書評・目次・感想・評価
ほんとうに必要なものしか持たない暮らし Keep Life Simple!
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「みんなが持っている」にとらわれない
「あったら便利」は「なくていい」
「ぴったり」が見つかるまで妥協しない ページ46