『影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか』書評・目次・感想・評価

【『影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか』目次と読書メモ】

第一章 影響力の武器
 
 紳士服屋ではスーツとセーターを買いに来た客にまずはスーツを買わせる。
 スーツに大枚をはたいてしまえばセーターを買う金がなくなってしまうのではないかと素人は思うがそうでは無い。
 まずスーツで大枚をはたくとセーターがぐっと安く見える。
 するとセーターとしてはずいぶん高い品を安易に買ってしまいやすいものなのだ。
 
第2章 返報性ー昔からある「ギブ・アンド・テイク」だが・・・
 
有名な「ドア・イン・ザ・ フェイス ・テクニック」は有効な手段だが、最初の要求が法外に大きいと、誠実な交渉相手として認められず返報性が発揮されない。
 
「拒否したら譲歩法」は交渉して決定に参加したと当事者が思うため、参加者に責任感が生じる。さらに交渉まとめた満足感も生じるため続けて顧客となりやすい。
 
第三章 コミットメントと一貫性
ー心に住む小鬼
 
 人が自分の行動に一貫性を求める。
 それが理性的に考えて間違っているとしてもあえてそれに目をつぶることすらある。
 
 細やかな依頼に応じる場合にも十分に注意する必要があるということです。
 そうした依頼に応じることが、私たちの自己イメージに影響するかもしれません。
 そうすることによって似たような種類のもっと大きな依頼に応じやすくなるばかりでなく、最初に応じた細やかな依頼とはほとんど関係ない、様々な種類の大きな依頼を受け入れやすくなるかもしれないのです
 小さなコミットメントの裏に隠された、この第二の、全般的な影響力こそ私が恐れているものです。ページ123
 
 コミットメントが効果的に影響及ぼすためには、いくつかの条件が揃っていなければなりません。行動を含むこと、公表されること、努力を要すること、自分の意思で選ぶこと、です。ページ124
 
^_^ コミットメントと一貫性の力をより良いほうに生かす方法として、宣言するサイトというのはどうだろう?なんかもありそうな気がするが。
 
 部族の成人儀式や、軍隊の新人訓練、大学寮の新人歓迎など、新しく組織に加わろうとする人に対しては過酷ないじめのような行動が行われる。
 これは組織に加入するのに大きな代償を払えば払うほどその組織に対する忠誠心、組織の価値を高く感じるからであり、その結果その組織は強い結束が生まれ、存続する。
 つまり新人いじめは組織というものの持つ宿痾なのだ。
 
^_^ 大学受験などにおいても同じようなことが言えるのかもしれない。苦労して入った人ほどその大学に対する忠誠心が高く、退学率が低い可能性がある。誰か調べたデータは無いのかな?
 
名言
自分の意思に反して賛同した者は、元の意見を持ち続ける(サミュエル・バトラー)
 
承諾先取り法
例えば車のディーラーで400ドル程度だけ安い値段を提示して、顧客に車の購入に飛びつかせる。その後何枚もの契約書を書き途中で400ドル分値段を間違えていたことを顧客に告げる。すると、顧客は最初の導入部分であった400ドルの値引きがなくなったにもかかわらず多くの場合取引をするのは継続する。
 
^_^ やり方が全くフェアじゃないなぁ。
 
「今、知っている事はそのままにして時間をさかのぼることができたら、同じコミットメントをするだろうか」と言う非常に重要な質問を自分自身に問いかける必要がある。ページ182
 
^_^ やはりこの本は使う側でないとしても、自分の身を守るために読んでおく本だ。特に車のセールスを受けているときや、中国で捕まった時の為に。
 
第4章 社会的証明ー真実は私たちに
 
名言
みんなが同じように考えているときは、誰も深く考えていない時である。(ウォルター・リップマン)
 
社会的証明の原理
どんな考えでも、それを正しいと思う人が多ければ多いほど、人はその考えを正しいと見る(たとえ物理的に間違っていたとしても)