『ずる―嘘とごまかしの行動経済学』書評・目次・感想・評価
96点
43文字×17行×300ページ=219,300文字
図表や改行分を計算に入れて3/4を掛けると=164,475文字
日本人の平均的読書スピードを毎分600文字として274分
平均的な読者で
図表や改行分を計算に入れて3/4を掛けると=164,475文字
日本人の平均的読書スピードを毎分600文字として274分
平均的な読者で
読了まで4時間34分程度
何か社会的な不正が行われると、多くの人が、 行った当事者が悪人であったとか、 悪人ほど社会的地位が高いものだなどと言いたがるものだが、 この本はそのような単純な考え方に疑問を投げかけます。
もちろん不正を行った本人が罪に問われるべきなのは当然なのです が、 人が不正を行ってしまう環境や心理法則などにさまざまな実験を通 して切り込んでいきます。
もちろん不正を行った本人が罪に問われるべきなのは当然なのです
そして、人が不正を行ってしまいやすい状況と、 これが驚くべきことなのですが、 創造性豊かな人ほど不正に手を染めやすいと言う驚くべき研究結果 を見せてくれます。
考えてみればルールと言うのも目標達成するための1つの障害であ るわけで、 発想力で障害を乗り越えることが得意な創造性が豊かな人はルール を逸脱する可能性が高くなってしまうのも仕方がないのかもしれま せん。
何しろ、 凡人が思いつかないような手口を思いついてしまうのですから、 それを実行にうつさないためには凡人であれば必要ない倫理観を伴 った意志力が必要なのですから。
何しろ、
つまり創造性が豊かな人は不正の手口に気づいてしまうが故に、 凡人より余計に倫理観と意思力が必要になってくるという考え方も できます。
また、 多くの人がズルをしてしまう状況というのはもはや半分程度は状況 が悪いとも言えるわけで( そんな状況でもズルをしない人はもちろんと賞賛に値するし、 ズルは罰せられるべきですが)ズルを吊るし上げるより、 状況を修正するべきだと教えてくれます。
ともあれ、闇雲に刑罰を重くし、犯人を刑務所に放り込めば、 不正が世の中からなくなるなどと言う短絡的な考え方からズルをし てしまう人間の心理とはどのようなものか、 またどうすれば防げるのかという考え方に一歩進めてくれる興味深 い一冊でした。お勧めします。
【『ずる―嘘とごまかしの行動経済学』目次と読書メモ】
<<用例>>
太字 もくじの写し
要約 内容の要約(ただし恣意的です)
引用 気になった部分をメモとして引用しています(最後に引用ページを記載)
名言 気になった名言をピックアップしてメモ
小話 後で人に話したくなるような内容をメモ
^_^ 一読者としての意見・感想(笑顔ですが読者の感情ではありません)
序章 なぜ不正はこんなに面白いのか
紹介書籍「人は意外に合理的」
- 作者: ティムハーフォード,遠藤真美
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2008/11/20
- メディア: 単行本
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第1章 シンプルな合理的犯罪モデル(SMORC)を検証する
要約
人は自分の自分に対するイメージが崩れない程度に不正をする。
人は自分の自分に対するイメージが崩れない程度に不正をする。
第2章 つじつま合わせ仮説
第3章 自分の動機で目が曇る
利益背反になることで、 人は意識的か無意識的かにかかわらずクライアントの利益より自分 の利益を優先するようなことがある。
第4章 なぜ疲れているとしくじるのか
意思の力は筋肉と一緒で、疲れると弱くなる。 重量挙げを何度も行っていると疲れていくのと同様に誘惑を退ける ために意思の力を使うたびに意思の力は弱まっていく。
第5章 なぜ偽物を身に付けるとごまかしをしたくなるのか
人は偽ブランド品を身に付けていると自分で意識すると不正を行う 割合が高くなる。
第6章 自分自身を欺く
第6章 自分自身を欺く
人は時として自分を欺く。 自分で正当化した嘘がいつの間にか自分の中で本当のことに変わっ てしまうことがある。 自分が不正をして取った点数はいつもいうか自分が実力で取った点 数と思い込む傾向もある。
第7章 創造性と不正ー私たちはみな物語を語る
創造性と不正を行う傾向は、相関関係に近いものがある。 創造性が高い人ほど不正を行う可能性が高い傾向がある。
^_^ 創造性とはあらゆる障害を乗り越るために新しい手法を生み出して 目的を実現する力とも言えるわけだから、 不正を行う力も創造性のくくりの中に存在しているわけで、 思いつかない不正は行えないという間違いない事実があるのだから 当然と言えば当然だと思う。 創造性のあるひとは不正を思いつく力もあるわけで、 それを行わないでいるには倫理というか、 意志力が必要なわけですよね。しかし、 ゴッホに創造性がなかったわけはないのですが、 決して要領が良かったとも言えず、 不正とも縁遠かった気がするのですが、どうなんでしょうか? 日常生活には反映できないタイプの創造性だったのかも知れません ね。
第8章 感染症としての不正行為ー不正菌に感染する仕組み
人は自分と同じ組織に足している人の不正行為に感化されて同じ行 為を行ってしまう傾向がある。 同じ大学生でもライバル大学の人間であればその影響は低くなり同 じ大学の人間であると思われればその影響は大きくなる。 組織的な犯罪の多くは一人ひとりの犯罪が他の人に影響を及ぼしそ れがやがて組織全体に広がっていく形をとる。
^_^ 政治家や芸能人が不正を行いその罪があやふやにごまかされれば、 それは日本中に報道されているので、 日本中の人々の道徳観を痛めつけることになっていると考えること ができるのではないだろうか?
第9章 協働して行う不正行為ーなぜ1人よりみんなの方がずるをしやすい のか
人は協働すればより不正を行う。 不正が自分とチームメイトの利益になるのなら人はより不正を行う 。さらに不正がチームメイトの利益だけになる場合、 その不正はさらに大きくなる傾向がある。
^_^ 利他的な不正が行われることにはショックを受けた。 パートナーの顔は見えるが、 不正によって損害を受ける大学などは顔が見えないというのもある のだろう。 隣人の金は誤魔化せないが国家の金は誤魔化しやすいということだ ろう。 不正が許されないのはその不正を阻止するために余分なコストが生 じそのコストを社会全体が払わなければならないからと言う部分も ある。
第10章 半・楽観的なエンディングー人はそれほどごまかしをしない!
不正を作る要因のまとめ
・不正を促す要因
正当化の能力、利益背反、創造性、1つの反道徳的行為、消耗、 他人が自分の不正から利益を得る、他人の不正を目撃する、 不正の例を示す文化
正当化の能力、利益背反、創造性、1つの反道徳的行為、消耗、
様々な宗教にある浄化の儀式は「どうにでもなれ」 と言う現象をリセットするために存在するのかもしれない。 今までは悪事に手を染めてきたがそれをリセットして今後は良い人 間として生きると言う生まれ直しの儀式のようなものだろう。 宗教のない人間は、誕生日や正月などを利用すると良いだろう。
【著者・ダン アリエリーさんの気になる著書リスト】
不合理だからうまくいく: 行動経済学で「人を動かす」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
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アリエリー教授の「行動経済学」入門 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
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