2章 買い物編 ぼくらの幸福は本当はそんなにたくさんのモノを必要としていない。

 

 普通は何かを持つというのは良いこと、幸福なこととされている。

 

 でも、本当にそうだろうか?

 

 あなたが何かを手に入れたとき、あなたにはそれを管理する義務もまた負うのだ。

 

 たとえボールペン一本でも、無くせば少しは探すだろう。

 

 新しい高級な服を買ったら、高級であるがゆえに、飴をしゃぶりながら幼い子が近づけば顔色を変えて逃げ出し、タンスにしまえば防虫に気を遣う。

 

 ピカピカの新車を買ったら、盗まれないかと駐車場所に気を使い、当て逃げにあっていないかと乗るたびに点検し、家族を乗せる時はその靴に泥がついていないかと気が気でない。

 

 ベッドルームが何部屋もある豪邸を買えば、ほとんど使わない部屋まで掃除しなければならないし、掃除が嫌で家政婦さんを雇えば、その人が信用できるのか、大事な家の備品をくすねやしないかと心配しなければならない。

 

 家族だって同じようなものだ。パートナーを持てはパートナーがどこかで浮気をしていないかと不安になり、子供を持てばもちろん気苦労が絶えない。

 

 かと言って人は何も持たずには生きられない。

 

 ではどうしたらいいのだろうか?

 

 本当に欲しいものだけを欲しがろう。本当に必要なものだけを手に入れよう。

 

 本当に好きな人と付き合い、本当に欲しい家を買い、本当に車が欲しい車を買い、本当に欲しい洋服を買おう。

 

 そして、それらに精一杯愛情を注ごう。そうすればぼくらはそんなにたくさんのものを持てないと気づく。人生には限りがあるのだから。

 

 人が一度に着れる服は一着だし、乗れる車も一台、住める家も一軒だ。そして、しっかり抱き締められる相手も、一度にひとりだけだ。

 

 何かを買う時は自分に問いかけてみよう。本当に欲しい?本当に必要?これを管理する義務を負う覚悟がある?

 

 ぼくらの幸福は本当はそんなにたくさんのモノを必要としていない。