『一流のプロは「感情脳」で決断する』書評・目次・感想・評価

100点
40文字×16行×266ページ=170,240文字
図表や改行分を計算に入れて3/4を掛けると=127,680文字
日本人の平均的読書スピードを毎分600文字として213分
平均的な読者で
読了まで3時間33分程度
 
 理性が上、感情は下、理性的であること、感情は出来る限り無視すべき。
 多くの人がそう考えているし、社会的にもそう考えられている。(特に男性はその傾向が強いのではないだろうか?)
 しかし、この本はそのような古い常識をひっくり返す。感情は非常に高性能なコンピューターだという。
 そして理性は簡単な計算機に過ぎないと。
 ただし、感情という高性能コンピューターは現代生活仕様ではないので、理性という計算機とうまく併用していかなければならないというのが、この本の核である。
 そして、その二つのマシンの使い分けを考える。
 自分自身を理解し、よりよく生きるために一度は読んでおきたいオススメの一冊です。

 

【『一流のプロは「感情脳」で決断する』目次と読書メモ】


<<用例>>
太字 もくじの写し
要約 内容の要約(ただし恣意的です)
引用 気になった部分をメモとして引用しています(最後に引用ページを記載)
名言 気になった名言をピックアップしてメモ
小話 後で人に話したくなるような内容をメモ
^_^  一読者としての意見・感想(笑顔ですが読者の感情ではありません)

はじめに
 
「意図的な平常心」が起こした奇跡〜ハドソン川の奇跡
 
考えている事自体について考えること
 
第1章 瞬間的に判断するとき→感情
クオーターバックはどうやってレシーバーを見つけるか
・昼メロディレクターの直感
・歴史は「決断」をどう考えてきたのか
・病的な優柔不断の理由
 
人間の脳は、製品化を急ぎすぎたコンピューターのOSのようなものだ ページ47
 
^_^ つまりツギハギでバグ取りも終わっていないと。
 
感情の脳は進化が完成している。数億年もの時間をかけて極限まで洗練されてきた。ソフトウェアの行動は何度もテストされてきたので、ごく少ない情報から素早く決断を下すことができるようになった。ページ47
 
紹介書籍「生存する脳」

 

生存する脳―心と脳と身体の神秘

生存する脳―心と脳と身体の神秘

 

 

第2章 理由もなく「変だな」と思う時→感情
・撃ち落としてしまった飛行物体
・感情を調整するドーパミン
ドーパミンを応用した学習
・達人への近道は「間違い探し」
 
引用
「取り付かれたように夢中になることが大切だ」とロバーティは言う。「夢に出てくるまで、そのゲームの事ばかり考えなくてはならない」
このような集中訓練を何年か続けた結果、ロバーティは世界トップクラスのバックギャモンプレーヤーになった。「ボードを見ただけでどうすればいいかわかった時、自分が上達しているのが分かったよ」とロバーティは言う。「ここまでくると、ほとんど心理的問題になる。ボードの見た目がいいか悪いかで、自分の動きを決めることが多くなっていくんだ。美術評論家は今日見ただけでいいか悪いか判断できるだろう。私もそれと同じで、ただ見る対象が影ではなくてバックギャモンのボードだと言うだけだ」ページ98
 
^_^ 将棋の棋士も似たようなことを言っていた。3月のライオンの主人公も、盤面を見て気持ち悪いと言う感情で判断し周りの棋士から呆れられると言うシーンがあった。
 
引用
物理学者のニールス・ボーアは、専門家のことを、「とても狭い分野で、考えられるすべての間違いを経験した人間」と定義した。ページ99
 
名言
子供の頭の良さを褒めるのは、失敗をしないで頭が良さそうに見えるのが大切だと言うメッセージを送るのと同じことだ(キャロル・ドウェック スタンフォード大学心理学者)ページ100
 
要約
優秀な人たちは物事を行う時には感情や感覚に頼るが、物事を行なった後には自分の失敗を徹底的に検証し、自分の行動からフィードバックを得る。
 
第3章 ランダムなものごとにあたるとき→理性
・アンの転落人生
・脳は株式市場に勝てるか
・取引するか、しないか
 
引用
ドーパミン神経細胞は「予想通りの報酬」を見たときにはもちろん興奮するが、「予想外の報酬」にはもっと興奮するのだ。ヴォルフラム・シュルツによると、「予想外の報酬」は「予想通りの報酬」よりも、一般に3から4倍もドーパミン神経細胞を興奮させると言う。ページ114
 
^_^ これはとても興味深い。昔パチプロをやっていたので、朝から晩までパチンコをやっていた時期があるが普通に考えればそんなには続けられない。あれは自分の頭の中でドーパミンが大活躍していたと言うわけだ。
これは日常生活にも利用できないだろうか。例えばやりたくないことをやったときに自分に報酬を与えるというルールを作る。例えば小銭、例えばチョコレート。これで脳内報酬系が作れる。
さらにこれにランダム性を加えれば、より強い報酬型が作れるのではないだろうか?例えばサイコロ振って1が出たときはより大きなチョコレートを食べるなど。
まぁ自分を自分で実験用の猿にするような感じで微妙な気もするが
いやいや、自分専用のスロットマシンを作るのもいいのかもしれない。例えば10,000円を投入して、やるべきことをやったときにプレイする。そして大当たりが出たときはその中から自分のお小遣いが大きく増える。
ハズレを作ってしまうと報酬系が損傷してしまう恐れもあるので、何か良いものが出たときにより大きな報酬と言うシステムが良いのかもしれない。
そのような自分用のスロットマシンを作ってみたらどうだろう。
いやいや、いそのことそのようなアプリケーションを作るというのはどうだろう。これなら簡単にできそうだ。まぁ自分にはスキルがないのだが。このアイディアはいつでも売るのでご相談ください。
 
紹介書籍「幸せの仮説」
 
第4章 初めて事態にあたる時→理性
・絶体絶命の消防士
・脳のコントローラー、前頭前皮質
・エンジンしか動かない飛行機を運転する
 
引用
どうしたら感情コントロールできるだろうか?その答えは驚くほど単純だ。感情認識することによって感情コントロールするのである。前頭前皮質は私たちに自分の心を見つめさせる。心理学者が「メタ認知」と呼ぶ能力である。
 
^_^ 自分が恐怖を感じている時、自分が恐怖を感じていると認識する、自分が怒っている時、自分が怒っていると認識する。自分の感情を認識した上でその感情をどうするか判断する理性を持つということだろうか。
 
名言
誰でも怒りを覚えることがあるーそれが簡単なことで努力がいらない。しかし怒るべき相手に、適度に、ふさわしいときに、正しい目的のために、適切な方法で怒るのは、簡単なことではない(アリストテレス)
 
^_^ ただ感情を持たずに理性的であるとことが良いのではなく、感情を理性で制御しつつ発揮するのが最良だということか。
 
第5章 情報量が多いとき→感情
・おいしいワインやいい家を見分けられるか
・考えすぎて「窒息死」するオペラ歌手
・脳は不完全なマシン
 
要約
何も考えずに絵や味を選べばかなりいい選択ができるが、理性を介入させれため選択の理由を求めるともっともらしい理由づけをするために選択を歪め、良い選択が難しくなる。スポーツに関しても初心者はよく考えてプレイした方が良い結果が出るが、ベテランは余計なことは考えずにプレイした方が結果が出る。
理性は物事を単純化して判断しがちなので、決断を歪めやすい。
 
^_^ やはり迷った時は恐らくどちらでもいいので即断即決がいいのかも
 
第6章 感情と理性が対立している時→感情×理性
・脳内会議は編集会議のようなもの
・買い物における脳の議論
・ぐらぐら不安定な脳
 
要約
脳内では常にさまざまな意見がぶつかり合っている。その上で決定したものが意識に登り改めて理性の審判を受ける。
 
紹介書籍「社会的脳」

 

社会的脳―心のネットワークの発見

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第7章 正しい頭の使い方→感情+理性
パイロットと自動操縦システムの協力
・飛行機の脳
・良い決断のためのガイドライン
 
引用
感情を司る脳が並列処理を行うマイクロプロセッサを搭載した最高級ノートパソコンだとすれば、理性を司るのは旧式の計算機だ。
とは言え、計算機でも非常に役に立つ道具になり得る。感情の脳の欠点の1つは、もう現代の生活には適さない時代遅れの機能をいくつか含んでいることだ。このため私たちは損失回避行動を取ったり、スロットマシンやクレジットカード等の誘惑に負けたりする。このような内的な欠点から身を守る唯一の方法は、理性を鍛えてちょっとした計算で感情を確認することだ。ページ257
 
^_^ ハイパワーコンピューターを使いつつハイパワーコンピューターの欠点を手動の計算機でフォローする。もしくは必要なときには手動の計算機で確かめ算をする。
 
要約
自分が未経験、もしくは経験が役に立たない場合も感情は役に立たない。そもそもデータがなければ高性能コンピュータは役に立たないのだ。理性という手動計算機を使おう。
自分の中の複数の意見を無視せず、自分が知らないことをしっかり把握する。

【著者・ジョナ・レーラーさんの気になる著書リスト】

 

プルーストの記憶、セザンヌの眼―脳科学を先取りした芸術家たち

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