『合成生物学の衝撃』書評・目次・感想・評価

89点

43文字×17行×225ページ=164,475文字
図表や改行分を計算に入れて3/4を掛けると=123,356文字
日本人の平均的読書スピードを毎分600文字として206分
平均的な読者で

読了まで3時間26分程度

 
 内容的には面白いが情緒に過ぎる部分があり、ところどころポエムなところが鼻に付く。
 軍に対する過剰な拒否反応にも違和感。これほどクリティカルな技術を国ではなく一企業に握らせるのはもっと危険ではないのか?ならば研究者はどこから資金を得ればいいのか?
 生命操作に対しては違和感だの、漠然した恐怖だのを連呼するばかりで、いったい何が倫理的に問題なのかを全く掘り下げていない。
 以上、不満が多くなってしまったが、内容的にはとてもエキサイティングだった。
 何より知らない間に随分と生物工学が発展していることにも驚いた。驚きの分、学びも多かったと思う。
 文章もこなれていて読みやすかった。
 科学技術は日進月歩、この本も五年後に読めばその価値は全く違うものになるでしょう。
 興味が湧いたなら、旬で新しいうちに読まれることをお勧めします。

【『合成生物学の衝撃』目次と読書メモ】


<<用例>>
太字 もくじの写し
要約 内容の要約(ただし恣意的です)
引用 気になった部分をメモとして引用しています(最後に引用ページを記載)
名言 気になった名言をピックアップしてメモ
小話 後で人に話したくなるような内容をメモ
^_^  一読者としての意見・感想(笑顔ですが読者の感情ではありません)

プロローグ わたしを離さないで
 
紹介書籍「わたしを離さないで」

 

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

 

 

第一章 生物学を「工学化」する
マサチューセッツ工科大学で学ぶトム・ナイトは、コンピューターの性能は18ヶ月後2倍になっていくと言うムーアの法則が物理的限界にきていることに気がついた。ナノサイズの半導体を作る最も洗練した方法は生化学によって得られるのでは?
 
第ニ章 人工生命体プロジェクトはこうして始まった
MITの講座による協業の流れとは全く違う流れは、たった1人の科学者によって作られた。クレイグ・ベンター。NIHという最高峰の研究所を辞めたベンターは、ヒトゲノムを読み、人口生命体「ミニマル・セル」を創り出すプロジェクトに着手する。
 
紹介書籍「ヒトゲノムを解読した男」

 

ヒトゲノムを解読した男 クレイグ・ベンター自伝

ヒトゲノムを解読した男 クレイグ・ベンター自伝

 

 

紹介書籍「ゲノムを支配する者は誰か」

 

ゲノムを支配する者は誰か―クレイグ・ベンターとヒトゲノム解読競争

ゲノムを支配する者は誰か―クレイグ・ベンターとヒトゲノム解読競争

 

 

第三章 究極の遺伝子編集技術、そして遺伝子ドライブ
一文字からの修正も可能な遺伝子編集技術「CRISPRーCas9」。2012年に開発されたこの技術を用いて、ある遺伝子を集団内で一気に広めることができる方法が生まれた。マラリアかの撲滅、生物多様性の維持等への使用が考えられるが。 
 
^_^ 遺伝子ドライブとCRISPRを利用した生物の改変はヤバイ。
 
第四章 ある生物兵器開発者の回想
旧ソ連では合成生物学を使った生物兵器の研究が実際に行われていた。私は、機密研究に携わった1人の科学者のインタビューに成功する。ペスト菌と脳脊髄炎を引き起こすウィルスを掛け合わせた新しい病原体の研究など、セルゲイ・ポポフは証言する。
 
紹介書籍「生物兵器 なぜ造ってしまったのか?」

 

生物兵器―なぜ造ってしまったのか? (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

生物兵器―なぜ造ってしまったのか? (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

 

 

紹介書籍「バイオテロと生物戦争」

 

バイオテロと生物戦争

バイオテロと生物戦争

 

 

引用
いったいあなたの生物兵器を作る必要がどこにあるのか。これにはいくつかの答えがあります。1つには、誰かが治療の難しい何かの病気に感染して、誰もそれが何かを知らず、治療もしにくく、それに致死率も高いとなれば、それは心理的に、非常にインパクトの大きい兵器になると言うことです。それこそが、生物兵器を使う目的の1つなのです。
 
^_^ 一つだけじゃなくて全部教えてよ。まず、言えることは恐怖を与えるということだね。つまりはそれを理解すればある程度は抑え込める。必要以上に怖がる必要はないという事、恐怖が最大の効果だと考えれば。
 
第五章 国防総省の研究機関は、なぜ合成生物に投資するのか?
ベトナム戦争での大ゲリラ戦の兵器を次々と開発した実績のある国防総省の研究機関DARPAそのDARPAは合成生物研究の最大のパトロンといってもいいかもしれない。2014年だけで、1億1000万ドルもの予算をその研究に拠出している。
 
紹介書籍「CRISPR 究極の遺伝子編集技術の発見」

 

CRISPR (クリスパー)  究極の遺伝子編集技術の発見

CRISPR (クリスパー) 究極の遺伝子編集技術の発見

 

 

紹介書籍「科学者と戦争」

 

科学者と戦争 (岩波新書)

科学者と戦争 (岩波新書)

 

 

紹介書籍「生命科学とバイオセキュリティ デュアルユース・ジレンマとその対応」

 

生命科学とバイオセキュリティ―デュアルユース・ジレンマとその対応

生命科学とバイオセキュリティ―デュアルユース・ジレンマとその対応

 

 

紹介書籍「マインドウォーズ 操作される脳」

 

マインド・ウォーズ 操作される脳

マインド・ウォーズ 操作される脳

 

 

紹介書籍「ペンタゴンの頭脳」

 

ペンタゴンの頭脳 世界を動かす軍事科学機関DARPA (ヒストリカル・スタディーズ)

ペンタゴンの頭脳 世界を動かす軍事科学機関DARPA (ヒストリカル・スタディーズ)

 

 

第六章 その研究機関、DARPAに足を踏み入れる
厳重なセキュリティに守られたその研究機関の中で、私は室長とプログラム・マネージャーに会った。「軍部の意向を反映するのか?」「機密研究を行っているのか?」これらの質問に対して彼、彼女は、まず「われわれは世界のために研究している」と。
 
第七章 科学者はなぜ軍部の金を使うのか
DARPAからのお金を使えば、それだけミサイルの開発に振り向けられる予算が減るだろう?」。遺伝子ドライブの方法を開発したケビン・エスベルトはDARPAのプログラムに応募した理由をこう語った。が、拒否する科学者たちもいる。
 
^_^ 研究には金がいる。そうなるとどこかから引っ張って来なければならない。企業、個人、国、そして国の軍事的機関。そうなると消去法で、国の軍事機関であれば……と考えてしまうのは仕方のない事なのかも知れない。どんな研究でも画期的であればあるほど、軍事にも民生にも活用しうるわけで、、、ロシアや中国に先を越されるぐらいなら。曲がりなりにも民主主義が機能しているアメリカに、、、という気持ちもわからないでもない。
 
第八章 人造人間は電気羊の夢を見るか?
ヒトゲノム合成計画が発表された。しかし、人口で作られたゲノムを受精卵に移して、代理母に出産させれば、親のいない「人間」の誕生になる。問題は無いのか?私は以前取材した人工授精で誕生したことを告げられた人々の苦悩が頭をよぎった。
 
^_^ 自分も母親を知らないが、それについて苦悩し続けるほどナイーブではない。世の中の人間は(特にマスコミ)必要以上に他人の立場に立ったつもりになって騒ぎ立てる。当の本人が語っていないなら(本当に語っているという保証があるならもちろん匿名でも構わない)そんなものは他人の気持ちを理解できるつもりの偽善者の妄想でしかない。つまり聞く必要はない。
 
第九章 そして人口生命体は誕生した
ヒトゲノムの解読競争で公的チームに先んじた孤高の科学者クレイグ・ベンターは「ヒトゲノム合成計画」を嗤う。「彼らは細胞1つすら作れないではないか」。そう、ベンターだけが、人工の生命体「ミニマル・セル」の作成に20年越しで成功したのだ。
 
エピローグ マダムはなぜ泣いたのか?
 
あとがき
 
主要参考文献/取材協力者

【著者・須田 桃子さんの気になる著書リスト】

 

捏造の科学者 STAP細胞事件

捏造の科学者 STAP細胞事件

 

 

『“緑の革命”を起した不屈の農学者 ノーマン・ボーローグ』書評・目次・感想・評価

85点

45文字×17行×272ページ=208,080文字
図表や改行分を計算に入れて3/4を掛けると=156,060文字
日本人の平均的読書スピードを毎分600文字として260分
平均的な読者で

 
読了まで4時間20分程度
 人類の歴史に関する書籍を読むと「緑の革命」「ノーマン・ボーローグ」「ノーベル平和賞」というトピックが登場し、一億人を飢餓から救ったとか、マルサスの罠から人類を救ったなどと書かれており、「えっ、そんな偉人なのに、ちっとも聞いたことないんですけど……」と興味を持ってたどり着いたのがこの本でした。
 書いたのがジャーナリストではなく、ボーローグ氏と仕事をしたレオン・ヘッサー氏、日本語にする際の監訳者も、ボーローグ氏と仕事をした農学者岩永勝氏という構成なので、事実を伝えるという側面が強く、文芸的エンターテイメント性が高いとは言えませんが、伝記としては十分面白く読める内容でした。
 彼のやった食糧増産の手法は一部では賛否分かれるようですが、個人的には概ね間違ってはいないと感じます。飢えている人の前で、有機農法を使えとは言えません。
 日本人としては彼が日本の農林10号という小麦と別種を掛け合わせて小麦の生産性の向上に成功した話はちょっと嬉しいものでした
 また、お隣の中国の現在の飛躍的発展は、ボーローグの貢献は大きいでしょう。まず、中国国民が食べられるだけの食糧を生産できるようになったこと、それがあって初めて経済発展ができたのでしょうから。
 日本では扱いが小さいのは、彼の初期の活躍時期が太平洋戦争と重なることと、日本の食糧増産には直接関わっていないことがあるのでしょうか?
 日本のお米はずいぶん前から、量より味ですからね。
 ともあれ「緑の革命」に興味があるのなら是非、手に取ってみてください。

【『“緑の革命”を起した不屈の農学者 ノーマン・ボーローグ』目次と読書メモ】


<<用例>>
太字 もくじの写し
要約 内容の要約(ただし恣意的です)
引用 気になった部分をメモとして引用しています(最後に引用ページを記載)
名言 気になった名言をピックアップしてメモ
小話 後で人に話したくなるような内容をメモ
^_^  一読者としての意見・感想(笑顔ですが読者の感情ではありません)

序文
 
著者序文
 
友人たちへ
 
1章 アイオワの農場育ちの少年
 
2章 ミネソタ大学の新進科学者
 
3章 ロックフェラー財団からの挑戦
 
4章 ボーローグ、画期的な小麦育種プログラムをつくる
 
5章 ロックフェラー財団のメキシコ・プログラムは海外へ
 
6章 インドの食糧危機を回避
 
7章 緑の革命の父
 
8章 孤独と闘うマーガレット
 
9章 研究と研修の世界的ネットワークが誕生
 
 
11章 世界食糧賞の設立
 
12章 中国でのボーローグ
 
遺伝よりも環境によって鍛えることによって作物の形質を変え、収量を増やすことができるとする理論。スターリンに支持され、大飢饉を招いた。
 
13章 ボーローグとジミーカーター、アフリカ援助に立ち上がる
 
有機肥料無機肥料のどちらを使用すべきかと言うことだけに限った、無意味な議論もある。これはどちらがいいかという問題ではないーそれほど単純ではないんだ。あらゆる有機廃棄物を使って、とにかく栄養分をリサイクルしろと言うのは簡単だ。だが、アフリカの地と農民のニーズを有機物だけで全部満たせると公言すべきではない。それは全く現実的では無いのだ。もう一つ反論したいのが、有機起源の栄養分の方が無機起源の物よりも安全だと言う主張だ。植物が取り入れる「硝酸イオン」が工場で作られた肥料からのものであろうと、有機物を分解して作られたものであろうと、植物には関係ない。起源が有機でも無機でも吸収される窒素の形は同じだから、植物にとって違いはないんだ ページ193
 
毎年(化学肥料から)取り入れられる8000万トンの窒素がなければ、世界は40億人しか養えない。これは現在の世界人口より20億人も少ない数だ。ページ193
 
^_^ 有機肥料で回せる人口の少ない国や先進国では、有機肥料を使ってプレミアムのつく食糧を生産するのはいいだろう
一方で余裕のある先進国が余裕のない国の無機肥料利用を制限すべきではないのかも知れない。実際に飢えている人に有機農業を行えと外部から圧力をかけるのは残酷な仕打ちだ。
いや、むしろ有機肥料を推進するなら、アフリカの地域に有機肥料農業を持って現地の状況を変えるべく、いますぐ行動を開始すべきでは?
 
^_^ 過度な理想主義は人を殺す。行き過ぎた現実主義は未来を殺す。
 
14章 100億人に食糧を
 
15章 特別招聘教授
 
名言
世界は不完全なものだから、完璧を待っていたら前に進めない ページ220
 
16章 ボーローグの遺産
 
食糧は、この世界に生まれたすべての人の基本的権利である
 
17章 謙虚な「飢餓と闘う英雄」の思い出
 
エピローグ
 
謝辞
 
付録A  ノーマン・アーネスト・ボーローグの先祖たち
 
付録B ノーマン・ボーローグ受賞一覧
 
 
監訳者あとがき

 

『哲学の謎 (講談社現代新書)』書評・目次・感想・評価

86点

40文字×16行×204ページ=130,560文字
図表や改行分を計算に入れて3/4を掛けると=97,920文字
日本人の平均的読書スピードを毎分600文字として163分
平均的な読者で

 
読了まで2時間43分程度

 大学生(?)二人組による軽い感じの哲学問答集。
 正直、前半はついて行けたが、後半はついていけなかった。
 もうちょっと丁寧な展開でかつ、場合によってはイラストももう少し豊富であればあればよかったかなとも思います。

【『哲学の謎』目次と読書メモ】


<<用例>>
太字 もくじの写し
要約 内容の要約(ただし恣意的です)
引用 気になった部分をメモとして引用しています(最後に引用ページを記載)
名言 気になった名言をピックアップしてメモ
小話 後で人に話したくなるような内容をメモ
^_^  一読者としての意見・感想(笑顔ですが読者の感情ではありません)

はじめに
 
1 意識・実在・他者
生物が絶滅しても夕焼けは赤いか/死と他者/実在の世界はどこにあるのか/実在の視野から消える/他人の意識も視野から消える/死んでも世界は終わらないか/他人の意識/純粋に内面的な意識/夢中の死
 
2 記憶と過去
5分前世界創造仮説/何が「正しい」記憶なのか/神の視点と人間の視点/記憶される過去・語り出される過去
 
3 時の流れ
時間の中断/時間の流れの速さ/時の川岸/永遠の「いま」/複視点的世界了解/意味変貌・自己認識・時の流れ
 
4 私的体験
逆転スペクトル/君が「赤」と呼ぶ色は何色なのか/知覚世界の自閉/意味の自閉/私的言語
 
5 経験と知
経験の一般化/斉一性の原理/知の本能と習慣/何を一般化しても良いのか/室内鳥類学/経験の意味
 
6 規範の生成
正常と異常/狂気・病気/「異常」と言うことを/孤独な規律/見本・手本/規範の学習
 
7 意味のありか
意味への問い/個と一般/一般観念/意味理解/言語の構造/語と文/物の名前
 
8 行為と意志
猫の顔洗いは行為なのか/意志と言う動力/未知の惑星にて/アニミズム/意志から意味へ/意図の探求/馬と乗り手
 
9 自由
人間もまた物の塊に過ぎない/自然と言う観点・実践と言う観点/随意筋と不随意筋/「しないでもいられた」/決定された世界/非決定の世界/虚構の介入
 
あとがき

【著者・野矢 茂樹さんの気になる著書リスト】

 

大人のための国語ゼミ

大人のための国語ゼミ

 
論理トレーニング101題

論理トレーニング101題

 
はじめて考えるときのように―「わかる」ための哲学的道案内 (PHP文庫)
 
論理学

論理学

 

 

『雑食動物のジレンマ 下──ある4つの食事の自然史』書評・目次・感想・評価

100点

44文字×18行×265ページ=209,880文字
図表や改行分を計算に入れて3/4を掛けると=157,410文字
日本人の平均的読書スピードを毎分600文字として262分
平均的な読者で
読了まで4時間22分程度

 
 良い本の条件を一つあげるとしたら、読者を考えさせるということかも知れない。
 この本は雑食動物である現代人が食べるという事にどう向き合うべきかを考えさせてくれる。
 読者を常に説得し、著者の考えを植え付けるようなスタイルの本ではなく、この本では著者と一緒に体験し、悩む。
 工業製品のように安価に生産されるコーンの山とそこから生産されるファーストフード、循環と環境に配慮した家族経営の牧場、現代においては趣味の域となった狩猟と採集。
 どんなバランスを取って、どんなチョイスをするべきか。
 答えはすぐには出ないけれど、読めば、食べるということに自覚的になれる。そんな価値ある一冊です。(上下巻だけど)

【『雑食動物のジレンマ 下──ある4つの食事の自然史』目次と読書メモ】


<<用例>>
太字 もくじの写し
要約 内容の要約(ただし恣意的です)
引用 気になった部分をメモとして引用しています(最後に引用ページを記載)
名言 気になった名言をピックアップしてメモ
小話 後で人に話したくなるような内容をメモ
^_^  一読者としての意見・感想(笑顔ですが読者の感情ではありません)

第12章 自家処理ーガラス張りの処理場
 
^_^ こうして食品が加工される過程について考えるとハイテクの時代であるから、常にその過程を見たい人に見せておくということが大事なのではないだろうか?
そうすればマクドナルドの緑色肉ナゲット事件のようなことは起きなかっただろうし。
とにかく食品の製造過程をネットで生で公開し続ける。その結果、食品に対する信頼性が増し、それができないような企業は淘汰される。
どうでしょう?
 
第13章 市場ーバーコードのない世界から
 
第14章 食事ー牧草育ち
 
第三部 森林ー私の食物連鎖
第15章 狩猟採集者
 
引用
平均的な終了採集民は狩猟採集に1週間27時間以上かけなかったと人類学者は推計しており、農耕民よりはるかに強靭で長生きだったと言う。ページ78
 
^_^ これが事実だとしたら人類はこの労働時間でもっとも長い期間を生き抜いてきたわけだ。我々現代人もそろそろその程度でやっていきましょう。
 
紹介書籍「野生のうたが聞こえる」

 

野生のうたが聞こえる (講談社学術文庫)

野生のうたが聞こえる (講談社学術文庫)

 

 

紹介書籍「ウォールデン森の生活」

 

ウォールデン 森の生活 上 (小学館文庫)

ウォールデン 森の生活 上 (小学館文庫)

 
ウォールデン 森の生活 下 (小学館文庫)

ウォールデン 森の生活 下 (小学館文庫)

 

 

紹介映画「ウッディ・アレンの愛と死」

 

愛と死 [VHS]

愛と死 [VHS]

 

第16章 雑食動物のジレンマ

 
引用
ネズミは新しい食べ物(食べ物だと推定して)をほんのわずかかじってみてからしばらく待つ。そして腹が痛くなれば、それは30分前に食べた何かが原因なのだと関連付けられる程度に、因果関係について明らかに最低限の理解力を持っている(社会学者の言う支援学習だ)。ページ90
 
^_^ 同じ雑食動物であるネズミがこのような戦略をとるのは興味深い。我々人類も同じ方法をとるべきかw
 
 
紹介書籍「美味礼讃」

 

美味礼讃 (上) (岩波文庫 赤 524-1)

美味礼讃 (上) (岩波文庫 赤 524-1)

 
美味礼讃 下 (岩波文庫 赤 524-2)

美味礼讃 下 (岩波文庫 赤 524-2)

 

 

紹介書籍「飢えたる魂」

 

飢えたる魂―食の哲学 (りぶらりあ選書)

飢えたる魂―食の哲学 (りぶらりあ選書)

 

 

紹介書籍「資本主義の文化的矛盾」

 

資本主義の文化的矛盾 上 (講談社学術文庫 84)

資本主義の文化的矛盾 上 (講談社学術文庫 84)

 
資本主義の文化的矛盾 中 (講談社学術文庫 85)

資本主義の文化的矛盾 中 (講談社学術文庫 85)

 
資本主義の文化的矛盾 下 (講談社学術文庫 86)

資本主義の文化的矛盾 下 (講談社学術文庫 86)

 

 

引用
資本主義は利益を第一に追求することから、様々な文化的支柱を蝕む傾向があるページ109
 
^_^ この点を鑑みてもリバタリアンの言う市場に任せておけばすべて問題ないと言うスタンスは誤りだとわかる。だいたい、何かが万能であるという考えは、100%間違いだと考えていいだろう。答えは常にそんなに単純ではない。
 
^_^ アメリカが伝統的な食文化を持たないため、インチキ臭いダイエットや、ファーストフード、インスタント食品などに食を蹂躙されやすいと言うのは納得いく話だ。
19世紀頃からインチキ健康食事法があって、未だに新しいものが出てきているのには悲しい気分になる。
日本は伝統的食文化を持つのでまだマシだが、何でも生で食べた方がいいだとか、炭水化物は全て毒だとか、馬鹿げた食生活が侵食しつつある。
何でもアメリカの方を見て真似ればいいというものではない。
 
第17章 動物を食べることの倫理
 
紹介書籍「動物の解放」

 

動物の解放 改訂版

動物の解放 改訂版

 

 

個人的な食の制限は全て悪いマナーだと考える、フランス人の意見に賛成だ ページ124
 
^_^ これは暴論ではあるが、本音のところそう思っている人は多いかも知れない。
 
紹介書籍「心はどこにあるのか」

 

心はどこにあるのか (ちくま学芸文庫)

心はどこにあるのか (ちくま学芸文庫)

 

 

自然が人間の社会的行為の指針にならないのなら、人間の倫理が自然でよく起きるべきことの指針になると考えるのは、人間中心的な考え方なのではないか。ページ140
 
^_^ 食って食われての自然界の弱肉強食の倫理は人間界の倫理ではない一方で我々人間界の倫理である個人主義を自然界に持ち込むのは傲慢ではないかということだ。
 
引用
動物の権利と言うイデオロギーがいかに偏狭で都会特有のものであるかがわかる。そのようなイデオロギーが栄えるのは、人が自然界と接触を失った世界だけで、その世界は、動物はもはや脅威ではなく(比較的最近の傾向だ)、自然をつつがなく支配できるような場所だ。「普通の生活では、人間と人間以外の動物の利益が深刻に衝突する事は無い」とシンガーは書いている。それは、明らかに都会版の普通の生活だ。農家や、園芸を行う者にはわからないような。ページ140
 
^_^ ネットでもよくあることだが、当事者の気持ちを代弁するお節介者が現れた時、事態はめんどくさい方向に流れる。声を上げない当事者の代わりに(自分の頭の中で作り上げた)正義の声をあげて気持ちよくなりたい人々だ。そして、大抵そんな人は当事者から最も離れた場所にいる。人と動物の権利の問題を考えるならば、農家や自然保護官など、人と動物が接触する現場にいる人間の意見を最大限に尊重すべきだ少なくともカラスしか動物のいない都会で理論をこねくり回している連中の意見よりよほど価値がある。
 
第18章 狩猟ー肉
 
紹介書籍「狩猟の哲学」

 

狩猟の哲学

狩猟の哲学

 

 

引用
物事がどうあるべきか執着する態度は、それが現実について考慮しつくされた結果であるときにのみ、初めて尊敬に値する ページ188
 
^_^ この言葉は重い。自分も含めて人は現実を見ずにこうあるべきだ、あああるべきだと気軽に断定し、さらに恥ずべきことにそんな自分の意見に執着する。
 
第19章 採集ーキノコ
 
紹介書籍「神々の糧(ドラッグ)ー太古の知恵の木を求めて」

 

神々の糧(ドラッグ)―太古の知恵の木を求めて

神々の糧(ドラッグ)―太古の知恵の木を求めて

 

 

第20章 完璧な食事
 
紹介書籍「マギーキッチンサイエンスー食材から食卓まで」

 

マギー キッチンサイエンス -食材から食卓まで-

マギー キッチンサイエンス -食材から食卓まで-

 

 

謝辞
 
訳者あとがき
 
紹介映画「キング・コーン」

 

キング・コーン [DVD]

キング・コーン [DVD]

 

 

紹介書籍「ヘルシーな加工食品はかなりヤバい」

 

ヘルシーな加工食品はかなりヤバい―本当に安全なのは「自然のままの食品」だ

ヘルシーな加工食品はかなりヤバい―本当に安全なのは「自然のままの食品」だ

 

 

【著者・マイケル・ポーランさんの気になる著書リスト】

 

人間は料理をする・上: 火と水

人間は料理をする・上: 火と水

 
人間は料理をする・下: 空気と土

人間は料理をする・下: 空気と土

 
欲望の植物誌―人をあやつる4つの植物

欲望の植物誌―人をあやつる4つの植物

 
これ、食べていいの?: ハンバーガーから森のなかまで――食を選ぶ力

これ、食べていいの?: ハンバーガーから森のなかまで――食を選ぶ力

 
ガーデニングに心満つる日

ガーデニングに心満つる日

 
フード・ルール 人と地球にやさしいシンプルな食習慣64

フード・ルール 人と地球にやさしいシンプルな食習慣64

 

 

『哲学のすすめ (講談社現代新書)』書評・目次・感想・評価

95点
43文字×15行×203ページ=130,935文字
図表や改行分を計算に入れて3/4を掛けると=98,201文字
日本人の平均的読書スピードを毎分600文字として164分
平均的な読者で
読了まで2時間43分程度
 
 自分が生まれるずっと前、1966年に初版が発行されたこの本。
 そんな昔に発行されたものとは思えないほど読みやすく、また読む価値の衰えない一冊。(ソ連が登場したりする部分はご愛嬌)
 難しい理論をこねくり回すことなく、優しく哲学とは何であるかを語ってくれる。
 この内容であれば平成生まれの中学生でも読みこなせるのではないだろうか?
 もちろん平易でありながら、考えさせられる部分が多く。
 特に自然科学が発展して試験管の中で生命が誕生させられるようになっても、あくまで生命を誕生させるのは自然のシステムであり、人類はそれを解明したに過ぎず自然の偉大さは変わらないと言う内容に感銘を受けた。
 確かに人類は自然を解明することができるが新しい自然の法則を作り出す事は今までもおそらくこれからもできないであろう。
 そんなことを考えた。知的な刺激を受けられる価値ある1冊でした。お勧めします。
 

【『哲学のすすめ (講談社現代新書)』目次と読書メモ】


<<用例>>
太字 もくじの写し
要約 内容の要約(ただし恣意的です)
引用 気になった部分をメモとして引用しています(最後に引用ページを記載)
名言 気になった名言をピックアップしてメモ
小話 後で人に話したくなるような内容をメモ
^_^  一読者としての意見・感想(笑顔ですが読者の感情ではありません)

まえがき
 
1 誰でも哲学を持っている
(1)哲学は誤解されている
(2)哲学は生きる上の原
(3)哲学を呼吸する
 
引用
人生観・世界観がすなわち哲学に外なりません。ページ18
 
引用
自由と哲学は離れがたく結びついているのです。ページ19
 
2 科学の限界はなにか
(1)科学は哲学から独立した
(2)科学は価値判断を与えない
(3)価値判断にも2種類ある
 
原理的な価値判断は科学のからは導き得ない。哲学が必要だ。
 
3 哲学と科学が対立するか
(1)目的と手段
(2)性急な推論の誤り
(3)哲学と科学は補い合う
 
引用
目的だけで具体的行為まで決定されると考える誤りが、若い情熱を持った理想主義者の犯しやすい誤りである〜ただ現実の情勢のみから行為を決定しようとすれば、おそらく多くの場合大きな危険が存じないと言えるかもしれません。しかしそこには同時に何の理想も存在しません。
 
^_^ 正しい目的、正しい手段。
 
引用
哲学の与えるものは価値判断の原理であり、科学の与えるものは事実についての知識がある ページ63
 
4 哲学は個人生活をどう規定するか
(1)「幸福」と言う常識的な哲学
(2)幸福と快楽
(3)快楽の質の問題
(4)幸福感の根底にある哲学
 
5 哲学は社会的意義を持つか
(1)個人生活と社会生活
(2)政治的見解の相違
(3)哲学が社会を規定する
(4)多数決原理には内容がない
 
^_^ どちらにしても価値判断は社会においても個人においても哲学が必要だということか。
 
6 哲学は現実に対して力を持つか
(1)「歴史の必然性」という考え方
(2)「科学的」な考え方
(3)「歴史の必然性」と人間の行為
(4)現実を導くもの
 
7 科学の基礎にも哲学がある
(1)「価値からの自由」
(2)歴史学の場合
(3)社会学法律学の場合
(4)ソクラテスの態度
 
^_^ 科学の中にどうしても人間の主観(哲学)が入り込んでしまうから、マックスウェーバーはそれを排除する努力を怠ってはならないと述べたのではないだろうか。
 
8 哲学は学問性を持ち得るか
(1)学問性とは何か
(2)思惟の展開
(3)哲学は時代とともに変化する
 
9 人間の有限性の自覚
(1)古い形而上学の否定
(2)人間的立場とは何か
(3)基本的人権の基礎づけ
 
^_^ 試験管の中で生命を誕生させられるようになり、いずれは人間を作り出せるようになったとしても、それはただ人間が自然のシステムを理解したに過ぎず、人間が生命や人間を作り出すことができるようになったということでは無い。と言う発想は目が見開かれる思いである。
自然のシステムが理解されたからといって、システム自身の価値が下がるわけではない。システムが活用できるようになったに過ぎない。人間が新しい自然法則を作り上げたわけではないのだから自然は変わらず偉大なのである。
 
むすび

【著者・岩崎 武雄さんの気になる著書リスト】

 

正しく考えるために (講談社現代新書)

正しく考えるために (講談社現代新書)

 
西洋哲学史 (教養全書)

西洋哲学史 (教養全書)

 
カントからヘーゲルへ

カントからヘーゲルへ

 
カント

カント

 

 

『ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? 』書評・目次・感想・評価

100点
41文字×18行×406ページ=299,628文字
図表や改行分を計算に入れて3/4を掛けると=224,721文字
日本人の平均的読書スピードを毎分600文字として375分
平均的な読者で
読了まで6時間15分程度

 この本の価値は計り知れない。さまざまな書籍に引用されているだけあって内容も濃く、役立つ情報も満載。
 特に大きな決断をしようとしているなら読んでおけば、専門家の言葉に踊らされることもないだろう。
 しかし、ここに書いてある事例はどれも興味深く、応用可能な部分も多いが、それを自分と自分の周辺に応用し、利用できるかはまた別の問題になる。
 常に手元に置いておいて、擦り切れるまで頭に叩き込むべき本なのかもしれない。
 そう言った点でも文庫化は嬉しい。

 

【『ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか?』目次と読書メモ】


<<用例>>
太字 もくじの写し
要約 内容の要約(ただし恣意的です)
引用 気になった部分をメモとして引用しています(最後に引用ページを記載)
名言 気になった名言をピックアップしてメモ
小話 後で人に話したくなるような内容をメモ
^_^  一読者としての意見・感想(笑顔ですが読者の感情ではありません)

序論
 
紹介書籍「ブラック・スワンー不確実性とリスクの本質」

 

ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質

ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質

 
ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質
 

 

第一部 二つのシステム
第1章 登場するキャラクター
ーシステム1 (速い思考)とシステム2(遅い思考)
 
紹介書籍「錯覚の科学」

 

錯覚の科学 (文春文庫)

錯覚の科学 (文春文庫)

 

 

第2章 注意と努力
ー衝動的で直感的なシステム1
 
第3章 怠け者のコントローラー
ー論理思考能力を備えたシステム2
 
第4章 連想マシン
ー私たちを誘導するプライム(先行刺激)
 
^_^ 老人を連想させる言葉を読ませただけで歩くスピードが低下したと言うなら、朝起きたら、楽しい単語の羅列を読ませるだけでその日1日もしくは読んでから一定期間、より幸福な時間を過ごすことができるのではないか?
 
引用
ただし、たまたまあなたが老人嫌いなら、話は別である。調査によれば、その場合にはあなたの動作は通常より速くなるはずだ。ページ100
 
^_^ イデオモーター効果か、、、となると左寄りの考えを持っている人が右よりの標語を見るとより左寄りになるということも生じ得るのではないか?
 
引用
連想ネットワークでは、双方向の関係は珍しくない。例えば楽しいと笑顔になるが笑顔になれば楽しくなる。ページ100
 
^_^ これを過剰に使うブラック居酒屋とかあるからなぁ。感情労働はツライ。
 
引用
お金を連想させるものは、いささか好ましくない効果をもたらす。ある実験の被験者はいくつかの単語のリストを魅せられ、それを使ってお金に関わる表現を作るように指示された(例えば「高い/デスク/額/サラリー」)。さらにもっと微妙なプライムとして、お金に関係あるものが室内に無造作に配置された。例えば、モノポリーで使うおもちゃのお金をテーブルの上に積んでおくとかコンピューターのスクリーンセイバーとして水に浮かぶドル紙幣の画像を使う、といった具合である。
すると、お金のプライムを受けた被験者は受けなかった時より自立性が高まったのである。
彼らは、難問を解くのにいつもの2倍もの時間粘り強く取り組んだ末に、ようやくヒントを求めた。これは、自律性が高まった顕著な証拠と言える。しかしその一方で、利己心も強まった。彼らは、他の学生(実はサクラで、与えられた課題がよくわからなかったふりをしている)の手助けをする時間を惜しんだ。また実験者が鉛筆の束を床に落としたとき、拾ってあげた本数が他の学生より少なかった。ページ102
 
^_^ この実験は初めて知った。プライミングの恐るべき効果に驚き。お金と言うプライムが個人主義の強化につながるというのは面白い。自立性が必要なら、お金のプライミングを利用し、また利己心を抑えたいならお金のプライミングを避けるべきなのだろう。ちょっと待て!すると銀行員や証券マンはいつもお金を意識している。という事は……。
 
紹介書籍「自分を知り、自分を変える」

 

自分を知り、自分を変える―適応的無意識の心理学

自分を知り、自分を変える―適応的無意識の心理学

 

 

 
第5章 認知容易性
ー慣れ親しんだものが好き
 
ありふれた考えをもったいぶった言葉で表現すると、知性が乏しく信憑性が低いとみなされることを示した。
文章をシンプルにした上で、覚えやすくするとなお良い。できるなら、韻文にすることがオススメだ。その方が真実と受け取られやすい。ページ117
 
^_^ 文章を書くならメモっておいた方がいい文章。
 
気分が良い時は人は直感力が上がっている、逆に機嫌が悪い時は論理に頼りがち。
 
^_^ つまり楽しい気分にさせて、直感的に金を使わせるセミナーは正しい(邪悪な)手法というわけか。
 
第6章 基準、驚き、因果関係
ーシステム1の素晴らしさと限界
 
第7章 結論に飛びつくマシン
ー自分が見たものがすべて
 
紹介書籍「明日の幸せを科学する」

 

明日の幸せを科学する(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

明日の幸せを科学する(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

 

 

「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)

「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)

 

 

第8章 判断はこう下される
ーサムの頭の良さを身長に換算したら?
 
第9章 より簡単な質問に答える
ーターゲット質問とヒューリスティック質問
 
紹介書籍「いかにして問題をとくか」

 

いかにして問題をとくか

いかにして問題をとくか

 

 

第2部 ヒューリスティックとバイアス
第10章 少数の法則
ー統計に関する直感を疑え
 
要約
データを取るとき、サンプル数が少ないと、偏ったデータが出やすい。例えば希少な癌の発生率を各州ごとにデータを取ったとすると、人口の少ない地域で異様に高い発生率を示すことがある。それは人口の少ないデータはサンプル数が少ないのでちょっとしたデータの偏りで大きな変動を生んでしまうからである。サイコロを4つ振って、全部が1であるようなことは十分あり得る。しかし、サンプル数が少ないとそれだけでデータ全体の信頼性を破壊するような偏りとして出てしまう。
 
第11章 アンカー
ー数字による暗示
 
引用
何らかの数字が示されたら、それがどんなものでもアンカリング効果を及ぼすのだ、と肝に銘じることである。そしてかかっているものや金額が大きい場合には、なんとしてもシステム2を動員して、この効果を打ち消さなければならない。ページ228
 
第12章 利用可能性ヒューリスティック
ー手近な例には要注意
 
^_^ 2人で暮らしていて自分の方が数多くやっていると両方が思っていると言う事象について考えていたが、今回利用可能性バイアスに出会って納得がいった。人は自分がやった事はより強く印象に残りその結果自分のやった事を過大評価し相手のやったことを過小評価する。その結果2人の貢献度合わせると100%をはるかに超えるのだ。やれやれ。
 
^_^ 僕は寝る前に今日感謝すべきことを10考えることにしていたのだが、結構考えるのに苦労していた。これでは利用可能性バイアスのせいで、せっかくの感謝すべき気持ちを削り取ってしまう効果を生じさせていたようだ。もう少し減らして3か、5程度にして簡単に思い出せるようにし、利用可能性バイアスを良い方向に活用したい。それにしても自分の欲しい車の良いところを10個あげるような作業でも、なかなか思い出せず苦労するとその車に対する評価が下がると言うのは非常に面白い。絶対に覚えておきたいバイアスだ。
 
第13章 利用可能性、感情、リスク
専門家と一般市民の意見が対立したとき
 
第14章 トム・Wの専攻
ー「代表性」と「基準率」
 
紹介書籍「マネー・ボール」  
第15章 リンダ
ー「もっともらしさ」による錯誤
 
リンダ問題
リンダという架空の人物において、過去に運動家であったという設定を見せられると人は銀行員であるよりも、フェミニストの銀行員であるという可能性が高いと錯誤する。銀行員の中にはフェミニストの銀行員も含まれるのだから明らかに誤りだ。人はもっともらしいストーリーに引き寄せられる。
 
^_^ ティーセットを売るときに余計な破損品が入っているとセット全体の評価を落とし、例え、明らかにお得なセットでも売値が下がるとのこと。これはネットで、物を売るときには注意しないといけないかも。安っぽいおまけをつけると逆に売値が下がるのだから。
 
第16章 原因と統計
ー驚くべき事実と驚くべき事例
 
^_^ ベイズ推定について勉強しよう
 
引用
被験者は全体から個を推論することには不熱心だが、まさにそれと釣り合うように、個から全体を推論することには熱心である。ページ308
 
^_^ 心理学的な事例を学んでも、自分や自分の周りに関してそれが適用すると考えなければ、学ぶ意味は無い。
 
第17章 平均への回帰
ー褒めても叱っても結果は同じ
 
紹介書籍「行動意思決定論ーバイアスの罠」

 

行動意思決定論―バイアスの罠

行動意思決定論―バイアスの罠

 

 

上手く言った時は次回はそれより上手くいかない可能性が高い。つまり褒めると次回はダメになる可能性が高い。
失敗した時は次回はそれよりも上手くいく可能性が高い。つまり、失敗した時に叱ると次回上手くいくことが多い。これが平均への回帰の闇深い罠である。
 
^_^ つまり経営状態がすこぶる悪くなった会社の株を買っとくと儲かるかもね。次回は平均に回帰するとして。
 
第18章 直感的予測の修正
ーバイアスを取り除くには
 
第3部 自信過剰
第19章 わかったつもり
ー後知恵とハロー効果
 
^_^ 日本の近現代史にも後知恵バイアスが強く作用していることが見える。日露戦争も一歩間違えば敗戦の憂き目にあっていたにもかかわらず、運良く勝利したことになっているため、戦争指導者たちは選択は正しかったとされている。しかし、彼らは間違いなく国に危険なギャンブルをさせたことには変わりない。それは責められるべきではないのか?
一方で太平洋戦争の指導者は敗北したために、同じように国を危険にさらし、さらに運悪く負けたため、その選択の数々を非難され続けている。例えば当初の予定通り半年で講和に至ったり、逆に本土決戦でベトナム化してアメリカ軍を本土から撤退させていたならば、彼らは英雄視されていただろう。
そう考えれば日露戦争の指導者も、太平洋戦争の指導者も、現代、言われているほど大きな差はないのではないだろうか?一方は勝ち、一方は負けたという後知恵バイアスが彼らの差を必要以上に大きく見せているのだろう。
 
辣腕経営者が企業業績を良くする評伝的ビジネス書は多いが、経営者の能力と業績の相関は30%程度だろう。つまり、業績が良くなる確率が50%が、60%程度に上がるだけである。それでも実際にすごい効果だが、ビジネス書ではそんな内容は求められず事実とは違って経営者の能力によって企業に成功がもたらされ、失敗に陥るという、わかりやすい物語が提供される。

紹介書籍「なぜビジネス書は間違うのか」

 

なぜビジネス書は間違うのか

なぜビジネス書は間違うのか

 

 


紹介書籍「ビジョナリー・カンパニー」

 

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

 

 

紹介書籍「エクセレント・カンパニー」

 

エクセレント・カンパニー (Eijipress business classics)

エクセレント・カンパニー (Eijipress business classics)

 

 

ビジネス書の傑作と言われる上記の書に書かれ比較された二社の業績の差は縮まり今はゼロに近づいている。なぜか、平均への回帰である。ビジネス書は運の要素をあまりにも軽視し、経営者の手腕を過大評価しすぎている。なぜなら、読者がそれを求めるからである。
 
^_^ いやぁ。読めば読むほど、読まなくていい本がわかるっていいね。
 
第20章 妥当性の錯覚
ー自信は当てにならない
 
必要なのは、不確実性の存在を認め、重大に受け止めることである。自信を高らかに表明するのは、頭の中で辻褄の合うストーリーを作りました、と宣言するのと同じことであって、そのストーリーが真実だと言うことにはならない。ページ372
 
紹介書籍「ウォール街のランダム・ウォーカーー株式投資の不滅の真理」

 

 

紹介書籍「ハリネズミと狐ー「戦争と平和」の歴史哲学」

 

 

第21章 直感対アルゴリズム
ー専門家の判断は統計より劣る
 
紹介書籍「あなたはなぜチェックリストを使わないのか?重大な局面で“正しい決断“をする方法」

 

アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】

アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】

 

 

熟練した人でも長期予測が難しい理由はなんといってもフィードバックがないからである。短期の予測ならフィードバックを得て経験とすることができるのに

【著者・ダニエル・カーネマンさんの気になる著書リスト】

 

ダニエル・カーネマン心理と経済を語る

ダニエル・カーネマン心理と経済を語る

 

 

『ぼくはお金を使わずに生きることにした』書評・目次・感想・評価

88点
43文字×17行×286ページ=209,066文字
図表や改行分を計算に入れて3/4を掛けると=156,800文字
日本人の平均的読書スピードを毎分600文字として261分
平均的な読者で
読了まで4時間21分程度

「これは一人の男の冒険の物語である」
 この本が映画化されるとしたら、冒頭でそんなナレーションが流れるでしょう。
 著者が1年のカネを使わない生活を送る話です。
 実際は2年半ほど続けたようですが。
 この人ほどお金で操ることの難しい人はいないかも知れません。
 なにせお金を使わず暮らすことができると知っているわけですから
 あの魔力が効かないと思うとちょっと羨ましくなります。
 著者の考えは過激に過ぎると思いますし、地球環境の未来に対して悲観的にすぎるとは思いますが、賛同できる部分も多いです。
 お金獲得ラットレースから離脱するのは賛成、地球環境に対しては受け入れにくい。ストイックに過ぎるとは思います。
 しかし、著者が一年で学んだこととして、自分の考えが正しいなんていう証拠はどこにもない。
 他人を軽んじてはいけないなど、著者が大きく成長したという感覚が読み終えて感じられました。
 この本を読んで知人が真似しようとしたら、止めますが、お金との距離の取り方について考えるには価値ある一冊かもしれません。

 

【『ぼくはお金を使わずに生きることにした』目次と読書メモ】


<<用例>>
太字 もくじの写し
要約 内容の要約(ただし恣意的です)
引用 気になった部分をメモとして引用しています(最後に引用ページを記載)
名言 気になった名言をピックアップしてメモ
小話 後で人に話したくなるような内容をメモ
^_^  一読者としての意見・感想(笑顔ですが読者の感情ではありません)

名言
世界を変えたければ、まず自分がその変化になりなさい(マハトマ・ガンジー)
 
プロローグ
2008年11月28日 無買デー前夜
 
第1章 なぜ「カネなし」を選ぶのか
断絶の度合い/負債として創造されるお金/負債がもたらす競争社会/お金かコミュニティかー安心感の源/株式会社「地球」/売ることと与えることの差異/カネなしになる方法/「自分が変化になりなさい」
 
第2章 カネなし生活のルール
一、「カネなし」の大原則/二、「フツー」の法則/三、「ペイ・ フォワード」の法則/四、「尊重」の法則/五、「化石燃料不使用」の法則/六、「料金前払いなし」の法則
 
第3章 準備を整える
僕の消費行動を解剖する/インフラを構築する
コラム ただでものを手に入れる
コラム ロケットストーブの作り方
 
ロード・キル・シェフ
 
第4章 無買デー前日
本番1週間前/無買デー前日、2008年11月28日
コラム カネなしの通信手段
 
第5章 いよいよスタート
フリーエコノミ・パーティー
 
第6章 カネなしの日常
「貧困」生活第一週/カネなし生活の典型的な1日
コラム 洗顔用品なしで清潔を保つ
 
紹介書籍「ディープエコノミー」

 

ディープエコノミー 生命を育む経済へ [DIPシリーズ]

ディープエコノミー 生命を育む経済へ [DIPシリーズ]

 

 


紹介書籍「森の生活」

 

森の生活〈上〉ウォールデン (岩波文庫)

森の生活〈上〉ウォールデン (岩波文庫)

 
森の生活〈下〉ウォールデン (岩波文庫)

森の生活〈下〉ウォールデン (岩波文庫)

 

 


紹介書籍「預言者」(カリール・ジブラーン)

 

預言者

預言者

 

 

第7章 無謀な作戦
娯楽/パンクの問題/「スロー」ライフ
コラム ダダで本と紙を
 
第8章 カネなしのクリスマス
現金を持たないクリスマスとは/大晦日/冷蔵庫への帰還
コラム ヒッチハイクのコツ
コラム 環境負荷の小さい移動手段
 
第9章 空腹の季節
エネルギー枯渇の季節
コラム 食料の野外採集
コラム キノコで紙とインクを作る
 
第10章 春の到来
斧をふるって/恋愛問題/2杯のお茶/富と健康比例するのか
コラム セイヨウオオバコの花粉症対策
 
第11章 招かれざる客と遠方の同志
招かれざる客/海外にいた金なしの同志
コラム 環境負荷の小さい住まい
 
紹介書籍「食費はただ、家賃も0円!お金なしで生きるなんて本当は簡単」

 

食費はただ、家賃も0円!お金なしで生きるなんてホントは簡単

食費はただ、家賃も0円!お金なしで生きるなんてホントは簡単

  • 作者: ハイデマリーシュヴェルマー,Heidemarie Schwermer,原田千絵
  • 出版社/メーカー: アーティストハウスパブリッシャーズ
  • 発売日: 2003/08
  • メディア: 単行本
  • クリック: 71回
  • この商品を含むブログ (1件) を見る
 

 

紹介映画「お金なしで生きる」

 

食費はただ、家賃も0円!お金なしで生きるなんてホントは簡単

食費はただ、家賃も0円!お金なしで生きるなんてホントは簡単

  • 作者: ハイデマリーシュヴェルマー,Heidemarie Schwermer,原田千絵
  • 出版社/メーカー: アーティストハウスパブリッシャーズ
  • 発売日: 2003/08
  • メディア: 単行本
  • クリック: 71回
  • この商品を含むブログ (1件) を見る
 

 

紹介書籍「インディアン魂・上」

 

インディアン魂―レイム・ディアー〈上〉 (河出文庫)

インディアン魂―レイム・ディアー〈上〉 (河出文庫)

 
インディアン魂―レイム・ディアー〈下〉 (河出文庫)

インディアン魂―レイム・ディアー〈下〉 (河出文庫)

 

 

アースシップ 動画
 
第12章 夏
自転車に乗って/カネなしの夏の食事/ただのランチはない?/フェスティバルの季節/地元のフリーエコノミ・コミュニティーの活用
コラム ただ酒!
コラム ただで楽しむ
コラム タダで宿泊する
 
第13章 嵐の前の静けさ
野外食料採集の冒険/沈黙の1週間/メディアの嵐2.0
コラム ただでファッションを
 
紹介書籍「シッダールタ」(ヘルマン・ヘッセ)

 

シッダールタ (新潮文庫)

シッダールタ (新潮文庫)

 

 

紹介書籍「ひとつのNO! たくさんのYES!ー反グローバリゼーション最前線」

 

ひとつのNo!たくさんのYES! 反グロバリゼーション最前線

ひとつのNo!たくさんのYES! 反グロバリゼーション最前線

 

 

紹介書籍「地球を冷ませ!ー私たちの世界が燃えつきる前に」

 

地球を冷ませ!―私たちの世界が燃えつきる前に (いのちと環境ライブラリー)

地球を冷ませ!―私たちの世界が燃えつきる前に (いのちと環境ライブラリー)

 

 

第14章 一巻の終わり?
フリーエコノミー・フェスティバル2009/続けるべきか止めるべきか(それが問題だ)/決心/フリーエコノミ・こみにティーの長期的構想/夢と現実の間で
コラム おむついらずの子育て
コラム タダで月経に対処する
 
紹介映画「負債としてのお金」
 
紹介映画「モノの一生」
 
紹介映画「アースリングス」
 
紹介映画「エイジ・オブ・ステューピッド」
 
紹介映画「トランジション・ムービー」
 
ムーンカップ
 
第15章 カネなし生活一年の教え
他人を過小評価しないこと/中間地点としての地域通貨/地域社会の中での自給/将来に不可欠なスキル/与え合いの有機的循環/お金は1つの方法に過ぎない/必要は発明の母/モノの本当の価値/最後に一言
 
紹介書籍「愛すること、生きること」

 

愛すること、生きること:全訳『愛と心理療法』

愛すること、生きること:全訳『愛と心理療法』

 

 

エピローグ
 
謝辞
 
訳者あとがき
 
紹介書籍「星の王子さま

 

星の王子さま (新潮文庫)

星の王子さま (新潮文庫)

 

 

紹介書籍「森の生活」

 

森の生活 (講談社学術文庫)

森の生活 (講談社学術文庫)

 

 

紹介書籍「終わりなき旅」(サティシュ・クマール)
 
紹介書籍「人類の上昇」
 
紹介書籍「エンドゲーム」

 

紹介書籍「スエロは洞窟で暮らすことにした」

 

スエロは洞窟で暮らすことにした

スエロは洞窟で暮らすことにした

 

 

【著者・マーク ボイルさんの気になる著書リスト】

 

無銭経済宣言――お金を使わずに生きる方法

無銭経済宣言――お金を使わずに生きる方法