『“緑の革命”を起した不屈の農学者 ノーマン・ボーローグ』書評・目次・感想・評価
85点
45文字×17行×272ページ=208,080文字
図表や改行分を計算に入れて3/4を掛けると=156,060文字
日本人の平均的読書スピードを毎分600文字として260分
平均的な読者で
読了まで4時間20分程度
人類の歴史に関する書籍を読むと「緑の革命」「ノーマン・ ボーローグ」「ノーベル平和賞」というトピックが登場し、 一億人を飢餓から救ったとか、 マルサスの罠から人類を救ったなどと書かれており、「えっ、 そんな偉人なのに、ちっとも聞いたことないんですけど……」 と興味を持ってたどり着いたのがこの本でした。
書いたのがジャーナリストではなく、 ボーローグ氏と仕事をしたレオン・ヘッサー氏、 日本語にする際の監訳者も、 ボーローグ氏と仕事をした農学者岩永勝氏という構成なので、 事実を伝えるという側面が強く、 文芸的エンターテイメント性が高いとは言えませんが、 伝記としては十分面白く読める内容でした。
日本人としては彼が日本の農林10号という小麦と別種を掛け合わ せて小麦の生産性の向上に成功した話はちょっと嬉しいものでした 。
また、お隣の中国の現在の飛躍的発展は、 ボーローグの貢献は大きいでしょう。まず、 中国国民が食べられるだけの食糧を生産できるようになったこと、 それがあって初めて経済発展ができたのでしょうから。
日本では扱いが小さいのは、 彼の初期の活躍時期が太平洋戦争と重なることと、 日本の食糧増産には直接関わっていないことがあるのでしょうか?
日本のお米はずいぶん前から、量より味ですからね。
ともあれ「緑の革命」に興味があるのなら是非、 手に取ってみてください。
【『“緑の革命”を起した不屈の農学者 ノーマン・ボーローグ』目次と読書メモ】
<<用例>>
太字 もくじの写し
要約 内容の要約(ただし恣意的です)
引用 気になった部分をメモとして引用しています(最後に引用ページを記載)
名言 気になった名言をピックアップしてメモ
小話 後で人に話したくなるような内容をメモ
^_^ 一読者としての意見・感想(笑顔ですが読者の感情ではありません)
序文
著者序文
友人たちへ
1章 アイオワの農場育ちの少年
2章 ミネソタ大学の新進科学者
3章 ロックフェラー財団からの挑戦
4章 ボーローグ、画期的な小麦育種プログラムをつくる
5章 ロックフェラー財団のメキシコ・プログラムは海外へ
6章 インドの食糧危機を回避
7章 緑の革命の父
8章 孤独と闘うマーガレット
9章 研究と研修の世界的ネットワークが誕生
10章 ノーベル平和賞
11章 世界食糧賞の設立
12章 中国でのボーローグ
13章 ボーローグとジミーカーター、アフリカ援助に立ち上がる
有機肥料と無機肥料のどちらを使用すべきかと言うことだけに限っ た、無意味な議論もある。 これはどちらがいいかという問題ではないーそれほど単純ではない んだ。あらゆる有機廃棄物を使って、 とにかく栄養分をリサイクルしろと言うのは簡単だ。だが、 アフリカの地と農民のニーズを有機物だけで全部満たせると公言す べきではない。それは全く現実的では無いのだ。 もう一つ反論したいのが、 有機起源の栄養分の方が無機起源の物よりも安全だと言う主張だ。 植物が取り入れる「硝酸イオン」 が工場で作られた肥料からのものであろうと、 有機物を分解して作られたものであろうと、植物には関係ない。 起源が有機でも無機でも吸収される窒素の形は同じだから、 植物にとって違いはないんだ ページ193
毎年(化学肥料から) 取り入れられる8000万トンの窒素がなければ、 世界は40億人しか養えない。 これは現在の世界人口より20億人も少ない数だ。ページ193
^_^ 過度な理想主義は人を殺す。行き過ぎた現実主義は未来を殺す。
14章 100億人に食糧を
15章 特別招聘教授
名言
世界は不完全なものだから、完璧を待っていたら前に進めない ページ220
16章 ボーローグの遺産
食糧は、この世界に生まれたすべての人の基本的権利である
17章 謙虚な「飢餓と闘う英雄」の思い出
エピローグ
謝辞
付録A ノーマン・アーネスト・ボーローグの先祖たち
付録B ノーマン・ボーローグ受賞一覧
注
監訳者あとがき