『<子ども>のための哲学 講談社現代新書―ジュネス』書評・目次・感想・評価

82点
40文字×14行×216ページ=120,960文字
図表や改行分を計算に入れて3/4を掛けると=90,720文字
日本人の平均的読書スピードを毎分600文字として151分
平均的な読者で
読了まで2時間31分程度
 
 タイトルで「子供のため哲学」を謳いながら、冒頭から子供の心を持った人に向けて、と若干、軌道修正。
 自分でもわかるかもと思ってお小遣いで買った小学生がいたらどうするんでしょう。
 読んだ内容としては漢字の使用に気を使っている感じはしますが、少なくとも中学生以降でないと、読み通すことは無理でしょう。
 ぼくは大人ですが、読みこなしたとは言えない程度の理解です。
 子供のためのと謳う以上、わかりやすい例えがもっと必要なのではないでしょうか?もちろん、哲学の性質上、例えれば本質から乖離するのはわかりますが、そこは何とかして欲しかったです。
 著者の哲学に対する「哲学することはその人自身のものその人の死とともに消えて良いもの、哲学を学んでしまうことは哲学することから離れる事でもある」という考えはとてもユニークだなと思いました。
 そうなると哲学は学問ではないですね。代々の蓄積がないわけですから。
 哲学のありようとしては共感できる部分もあるので、著者の別の作品も読んでみたいと感じました。

 

【『<子ども>のための哲学 講談社現代新書―ジュネス』目次と読書メモ】


<<用例>>
太字 もくじの写し
要約 内容の要約(ただし恣意的です)
引用 気になった部分をメモとして引用しています(最後に引用ページを記載)
名言 気になった名言をピックアップしてメモ
小話 後で人に話したくなるような内容をメモ
^_^  一読者としての意見・感想(笑顔ですが読者の感情ではありません)

はじめに
 
問いの前に<子ども>のための哲学とは?
哲学とは
子どもは哲学する
ぼくの子ども時代の哲学思索
「なぜ悪いことをしてはいけないか」と「なぜぼくは存在するのか」
青年の哲学・大人の哲学・老人の哲学
<子ども>の哲学のすすめ
 
紹介書籍「論理的観点から」

 

論理的観点から―論理と哲学をめぐる九章 (双書プロブレーマタ)

論理的観点から―論理と哲学をめぐる九章 (双書プロブレーマタ)

 

 

第1の問い なぜぼくは存在するのか
1ー独我論をめぐって
ものごころ
問題の中身
作文に書いた話
ロボットの疑惑
友人に語った話
 
2ーほんとうの問題
問題はなぜすりかえられたか
ほんとうの問題
ぼくが存在しない二種類の状況
ぼくの出した答え
新たな問題
 
紹介書籍「次郎物語

 

次郎物語(全)

次郎物語(全)

 

 

紹介書籍「死霊」埴谷雄高

 

死霊(1) (講談社文芸文庫)

死霊(1) (講談社文芸文庫)

 

 

3ーふりだしにもどった問題
大切に生きること
奇跡と偶然そしてふたたび独我論
第2ラウンドの開始とウィトゲンシュタインとの出会い
独在性と単独性
 
4ー魂の存在証明とその次のステップ
もう一人のぼく
個別化された脱人格的自我
自我同一性に関する「ウィリアムズ・永井・榑林説」
 
紹介書籍「エロス(現代哲学の冒険4)」

 

エロス (現代哲学の冒険 4)

エロス (現代哲学の冒険 4)

 

 

世界の複数性と唯一性
 
引用
私は私の独我論を「私に見えるものだけがほんとうに見えるものだ」という言い方で表現することができる。ページ98
 
5ー哲学の終結
独我論と独在性
独在性と言語ゲーム
二つの批判と哲学の意味
 
紹介書籍「自己と他者」

 

自己と他者

自己と他者

 

 

問いの合間に 上げ底と副産物
哲学上の友と敵
哲学は上げ底を埋める
いくつかの副産物
死・今・自由・実在
 
紹介書籍「トランス・ジェンダーの文化」

 

トランス・ジェンダーの文化―異世界へ越境する知

トランス・ジェンダーの文化―異世界へ越境する知

 

 

紹介書籍「死と永生の論理」

 

死と永生の論理

死と永生の論理

 

 

紹介書籍「翔太と猫のインサイトの夏休み」

 

翔太と猫のインサイトの夏休み―哲学的諸問題へのいざない (ちくま学芸文庫)
 

 

^_^ 哲学は世の中の人が気にしていない上げ底を個人的な納得のために埋める作業に過ぎず、達成してもマイナスから世間並みに達するに過ぎないというのは納得。哲学は自分のためにするものだなぁと思う。たまにマウントを取るために勉強してる人もいるけど。そもそも勉強するもんでもないのかも。
 
第二の問い なぜ悪いことをしてはいけないのか
1ーもう一つの問題
問題のはじまり
好いと善い、嫌なと悪い
ぼくのほんとうの問題
授業中におしゃべりをしてはいけない
善いことをする動機の問題
2ーだれも教えてくれなかったこと
道徳の限界
人間はみんな利己主義者か
大人の立場から
こどもの立場から
3ーまやかしの必要性
つりあいの善さ
言葉の問題
倫理学への失望
ニーチェと青年の哲学
4ーぼくか感じていた問題のほんとうの意味
二つの文体
<子ども>の哲学者ニーチェの洞察
<子ども>の哲学者ニーチェの不幸
ぼくが感じていた問題の真の意味
第1の問いとの繋がり
 
引用
人間は結局、自分のやりたいことしかやらない。いや、自分のやりたいことしかやれない、と言ってもいい。いやいやながらそうする、という場合だって、与えられたその状況でできることの中では、一番やりたいことをやっているはずだ。ページ146
 
^_^ なるほど、言われてみれば。
 
紹介書籍「初期プラトン哲学」

 

初期プラトン哲学

初期プラトン哲学

 

 

紹介書籍「現代倫理学の冒険」

 

現代倫理学の冒険―社会理論のネットワーキングへ (創文社現代自由学芸叢書)
 

 

紹介書籍「ルサンチマンとは何か」
 
問いの後に 哲学とは?
 
哲学に対する2つの態度
<哲学>と<哲学>
哲学と思想
子供、青年、大人、老人
哲学のススメ
 
紹介書籍「回想のウィトゲンシュタイン
 
紹介書籍「哲学の教科書」

 

哲学の教科書 (講談社学術文庫)

哲学の教科書 (講談社学術文庫)

 

 

紹介書籍「コウモリであるとはどのようなことか」

 

コウモリであるとはどのようなことか

コウモリであるとはどのようなことか

 

 


終わりに

【著者・永井 均さんの気になる著書リスト】

 

世界の独在論的存在構造: 哲学探究2 (哲学探究 2)

世界の独在論的存在構造: 哲学探究2 (哲学探究 2)

 
存在と時間 ――哲学探究1 (哲学探究 1)

存在と時間 ――哲学探究1 (哲学探究 1)

 
新版 哲学の密かな闘い (岩波現代文庫)

新版 哲学の密かな闘い (岩波現代文庫)

 
子どものための哲学対話 (講談社文庫)

子どものための哲学対話 (講談社文庫)