『屋根ひとつ お茶一杯 魂を満たす小さな暮らし方』書評・目次・感想・評価

【Q1】どんな人にオススメ?

  高い給料、大きな家、ハイソな友人関係に向かっての努力を強要する消費社会に疲れてしまったあなた。

【Q2】この本の弱みは?

  孤独に触れる本にはどれも共通であるが、一般の人々が恐れ、実際に苦しむ逃れようのない孤独と、作家という地位も、人間関係もある人が好んで選ぶ孤独とが同列に扱われていること。好きな時に孤独になり、好きな時に戻ってこれる作家や社会的地位のあるひとにとっての孤独と違って、一般の人にとって孤独は崇高でも知的でもなく間違いなく静かに染みわたる毒。

【Q3】この本の強みは?

  小さい家と手元にあるものを楽しむ知足を改めて教えてくれる。それと同時に日本と日本人を賞賛してくれるので、照れくさいながらも、日本文化に大切にすべき伝統があることを思い出させてくれる。

屋根ひとつ お茶一杯 魂を満たす小さな暮らし方

屋根ひとつ お茶一杯 魂を満たす小さな暮らし方

【著者・ドミニック・ローホーさんの気になる著書リスト】  

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【『屋根ひとつ お茶一杯 魂を満たす小さな暮らし方』目次と読書メモ】

はじめに
 
ページ3 住まいが私たちにもたらすべきものは、まず体と精神の安らぎです。私たちは仕事中でも、それ以外の時間でも、生きる喜びを存分に味わえるように、エネルギーの器を満たしておく必要があります。住まいとは、それを可能にするための何よりも安らぎと喜びの源であるべきなのです。
 
【名言】
広い心は空間を必要としない 古の賢者
 
1.「小さな住まい」と言う贅沢
 
【名言】
小さい家や狭い部屋は精神を鍛え、大きい家は精神を鈍らす。レオナルド・ダ・ビンチ
 
【名言】
永遠とは、今日のことである。禅の教え
 
【名言】
時間の使い方の下手の人が、最初に時間の足りなさを嘆く人である。ジャン・ド・ラブリュイエール
 
ページ25 「時間がある」のは当たり前のことで、決して贅沢なことでは無いのです。
 
ページ27「時間をかける」とは、何よりも自分の好きなように時間を「使う」ことです。何もしない、または自分の楽しみの為、または関心のあることのためだけに時間を「使う」のです。
 
【名言】
悪天候の中、室内で暖をとりながら感じる心地よさは、まさに動物的な感覚である。穴の中のネズミ、巣穴の中のウサギ、牛舎の牝牛らも私のような幸福感に浸っているはずである。モーリス・ド・ヴラマンク
 
ものが少なければ禍も少なし 
 
2.「孤独」のない人生に喜びはない
 
^_^ この手の本に多い孤独に対する過剰な賞賛には賛成できない。ひとりになる時間が必要だし、それが大切なのはボクも認める。しかし、ひとりが楽しめるのは、自分の意思が大前提だ。そしていつでも「誰かに必要とされて、ひとりではなくなれる」という安心感も必要なのだ。
自分の意思でひとりになったり、他の人に必要とされたり、選択できて初めて人はひとりでいる時間を楽しめるのだ。
多くの作家たちが孤独を礼賛する。しかし、読む側がそれを鵜呑みにするのは危険だ。
彼らは出版社に本を出版してもらえるほどに社会に必要とされている。
つまり、彼らはいつでも孤独から抜け出せる。
自分の意思で一人でいるに過ぎない。それは我々一般人が恐れているあの恐ろしい抜け出せない孤独とは全く違うのだ。
つまり孤独を異常に礼賛する作家たちにはバイアスが掛かっている
自らの意思でひとりでいることと、抜け出せない孤独との間にはとてつもない溝があるのだ。
 
ページ72 その州の図書館カードをほとんど入手し、それを彼は「僕のクレジットカード」と呼んでいました。
 
^_^ 自分と似たようなことをしていた哲学者がいたのは驚きだ。ホッファーについて少し調べてみようと思う。
 
 
 
3.宝石のような我が家を持つ人々
 
4×4の家 安藤忠雄
 
 
中村好文 小さな家
 
建築家―中村好文―と建てた「小さな家」

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ヴォーリズ

ウィリアム・メレル・ヴォーリズ - Wikipedia

 
4.日本に息づくシンプルな美に学ぶ
 
坪庭
 
盆景
 
^_^ うちには荒れ放題の庭があるのだが、何が活用法はないものかと何年も苦慮しているのだ。
 
5.上質に暮らすインテリア知恵
 
【名言】
もっともみすぼらしい住まいでさえも、内部から見れば美しくはないか ガストンパラ・パシュラール フランスの哲学者
 
ページ129 必要なものとは何か、いちどリストにしてみると、不要なものは減らせるはずです。長旅にもっていく荷物を考えると参考になります。
 
ページ132室内にあるものすべて同じ色でまとめると、目を見張るほどその空間は広く感じられます。もちろん、すべてのものを同じ色で統一させる事はいささか無理があります。そこで、同じトーンならば、洗練された優しいグラデーションが生まれます。
 
ページ153 少ないもので生きることを実践するメリットのひとつが最高のものに投資できる点。肘掛け椅子やソファは一生ものの投資です。
 
^_^肘掛け椅子はともかく、ソファーは一生使える?
 
6.幸福のためにお金を投資する秘訣
 
ページ159 贅沢とは、まずは朗らかに生きること、軽快に、ゆとりある生き方をすることなのです。1時1時を充実させ、ゆっくりと、悩まず、無理な要求なしに生きることなのです。
 
【名言】
私たちの生きる手段が生きる理由を危うくするのを、そのまま放っておいてはいけない。ユベール・ブーヴ=メリ
 
^_^ 幸せに生きるために働いているはずが働くために人生を時間を食いつぶしている人がなんと多いことか。
 
【名言】
我々には生活のリズムを早めるよりも、他にもっとやるべきことがあるはずです。マハトマ・ガンディー
 
ページ166 ローンで購入した家、この家の価格は最初のチラシ広告の表示価格よりもずっと高くなります。銀行の利子、地方税、固定資産税、火災保険さらにマンションの場合は管理費や建物維持積立金等が毎月かかるからです。
 
^_^ これをわかっていない人が多い。銀行の金利など長期の場合は返済額は借り入れ額の倍近くになる。この低金利でも。
 
ページ167 本来は自分の身の丈に合わせるところを、家に私たちは合わせると言う本末転倒なことになるのです。
 
^_^ 自分たちのために家を買ったつもりが家のために自分たちが働いている。そんな人は多い。
 
ページ168 野心も抱かずに自分の運命に満足している事は、社会の目には理解しがたい、受け入れがたい“弱さ“に移ります。
 
^_^ お金持ちになるなどの世俗的な成功の椅子は限られているのに、その椅子取りゲームに参加しない人間は認められない不思議な社会椅子取りゲームに参加する人が多ければ多いほど得する人がきっとどこかにいるのだろう。
 
ページ170 真の贅沢とは、「自由に生きること」です。人になんと言われようと気にしないでいられる自由、社会の規範からの自由、自分自身でいられる自由、自分の生き方、価値観に与することができる自由なのです。
 
^_^ そうかんがえると僕は自由だな。
 
ページ172スペース政治や経済のシステムも、まるで私たちの自立を阻むために動いているようにさえ見えるのです。世の中の仕組みは、私たちがそれぞれの人生を楽しむことより、生活費を稼ぐことに重点を置かざるを得ないようになっています。また、十分自分で賄えるようなことも、他人に依存するように仕向けてはいないでしょうか?
 
^_^ 仕事さえできれば、それ以外の事は仕事で得た金でなんでも解決するようになっているよね。結婚も。そこでベーシックインカムですよ。
 
ページ172とにかく仕事さえあれば、年金の保証さえ整っていれば、人としての存在価値は十分、という論理なのです。
 
^_^ 確かにそうなっている。それさえあれば幸せのような気がしている。思い込まされている。
 
7.魂を満たすシンプルな生き方
 
【名言】
あなた自身の許可なしに、誰もあなたに劣等感を感じさせることができない。エレノア・ルーズベルト
 
【名言】
僕はありのままに存在する、それで十分、たとい世間が誰も気づいてくれなかったって僕は平気だ、たとえ誰もが注目したって、それでも平気だ。ウォルト・ホイットマン
 
ページ195 幸せとは依存せずにいられることです。例えば鼻持ちならない上司、不機嫌な連れ合い、ブルジョア的なサークルに「馴染めない自分」
 
^_^ 同窓会に参加できなくてもいいじゃないか。どうだろう本当に親しかった友人だけ自宅に招いてみては。同窓会を会費の高い店で開く奴ら何なんだろう。まぁ成金趣味を自慢したいだけなんだろうけど。本当に来てほしければ会費の安い店でやるべきだよね。同窓会に誘われたことないけど。
 
ページ197金銭はものを買うためだけにあるのではありません。実際、「自分の生活にはいくら必要?」と自問してみると良いでしょう。その余剰分を、今まで封印されていた夢を実現させる資金にしてみてはいかがでしょう?
 
^_^ これは素晴らしい指摘だ。やりたいことをやろうよ。
 
8.引っ越しという人生の賢い選択
 
【名言】
「退屈な人だけ退屈する」オーストラリアのことわざ
 
【名言】
過去は我々を悩ませ、未来はわれわれを恐れさせる。それゆえに、われわれは現在を取り逃すのだ。ギュスターヴ・フロベール
 
【名言】
私たちは過去の産物ではあるが、過去をひつようとしない カルロス・カスタネダ
 
ページ222 最近、生活リズムの「ギヤチェンジ」をし、稼ぎを減らし、ある程度の贅沢をあきらめてでも、あるいは狭い住まいに変えてでも自分たちの時間を増やしたいと考える人たちが徐々に増えてきたように感じます。実際にそうした人たちを知っていますが、後悔している人はほとんどいません。この人たちは、金銭がものを買うためだけでなく、教育(こればかりは誰も盗むことができません)や安全、知識、安らぎ、健康、そして何よりもさまざまな経験を手に入れるためにつかうべきであることに気づいた人たちです。