『眠っているとき、脳では凄いことが起きている: 眠りと夢と記憶の秘密』

■著者 ペネロペ・ルイス 書評92点 睡眠
眠っているとき、脳では凄いことが起きている: 眠りと夢と記憶の秘密
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ペネロペ・ルイス インターシフト 2015-11-20
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92点
読了まで3時間
 
　中盤、専門的すぎてついていけない部分もあったが、全体的には面白く読めた。
　睡眠はすべての人にとって重要項目であるから、睡眠研究の今を知る事はきっと役に立つ。
　最後の2章は、睡眠を学習に利用する方法と質の良い睡眠を取る方法が提案されていて実用書として価値のある内容が書かれていた。
　僕も、ウクレレの練習や、読書の効率化、質の良い睡眠をとるためにこの本を参考にしたい内容が3つほどあった。
　読んで面白く、さらには役に立つ、読書の醍醐味をしっかり味わえる良い本でした。

【『眠っているとき、脳では凄いことが起きている: 眠りと夢と記憶の秘密』目次と読書メモ】

第一章 なぜ眠るのか
 
　アメーバすらも睡眠に近い状態になる。睡眠には重要な役割がある。
　睡眠不足に陥ると生き物は反跳睡眠というリバウンドスリープを起こす。
 
第二章 睡眠は脳にとってどれほど大切か
 
　睡眠不足は、IQ診断など垂直思考には影響が少ないが、水平思考、イノベーション等には悪影響が大きい。
　また道徳倫理観も低下する傾向が見られ、睡眠不足の集中力を回復するカフェインも道徳倫理観の回復には効果がない。
 
第3章 脳と記憶の仕組み 
 
　ニューロンには閾値があり、閾値が2だとすると、賛成4、反対2で閾値に達するのでニューロンは発火する。
　ニューロン同士を、恋人、友人と定義すると、友人のアドバイスを1とすると、恋人からのアドバイスを3と判断する。情報が伝達されるニューロンによってその重みは異なる。
　また、アドバイスを受け入れた友人との間のつながりが強化される。1だったものが2になる。
 
第4章 目覚めと眠りのコントロール
 
　どれだけ慣れてしまっていてもカフェインは長ければ10時間も脳内に留まって、睡眠を浅くする。
　毎日五杯ずつエスプレッソを飲んでいるが全く影響がないと思っている人は、1週間続けて飲まずに過ごしてみると良い。
　長い間の依存のせいで体が抵抗するから、割れるような頭痛がし、コーヒーを飲みたくて仕方がなくなるだろう。
　本当に睡眠を大切にしたいなら、痛みと誘惑に耐えるのが1番だ!ページ54
 
^_^ コーヒー怖い。いやカフェイン怖いと言うべきか。アルコールも不眠症の原因となるらしい。寝酒は避けるべき。
 
第五章 眠りは心の大掃除
 
　眠りはシナプスの整理に使われている。やっていても脳の1部がまるで居眠りするような状態に入る。
 
第6章 記憶はどう再生され、固まっていくか
 
　睡眠中はシナプスの整理とは別に起きていていた間に体験した出来事の再体験やリハーサルが行われ記憶が強化される。
 
第7章 なぜ夢を見るか
 
　離婚した女性の夢を調べた研究では、別れた夫の夢を家族皆女性の方が離婚によく順応した。ページ97
 
^_^ これは精神的ダメージを受けた人がそのことを人に話したときの方が回復が早かったと言うことと同じことなのかもしれない。
 
第8章 一晩寝ると問題が解けるわけ
 
　一晩眠って考えるはある種、統計的な問題や抽象的な問題を解くのには役に立つ可能性がある。やってみる価値はある。
 
第9章 いつまでも忘れられない記憶
 
　ある実験によれば、子供の殺人に関する悲痛な物語を読んで後で眠ることを許された人たちでは、目を覚ましているようにされた人たちに比べ、不快な記憶の優位性が四年後でも際立って高かった。ページ129
 
^_^ 不快なニュースを聞いた後眠ってしまうと、その不快なニュースが定着してしまうなら、様々な書物で勧められている「眠る前に今日の良かったこと、感謝すべきことを幾つか日記に書く」と言う習慣はそれなりの根拠があると言うことか。やっぱりやってみよう。
 
[凶器注目効果]
　人は事件に遭遇した時、犯人とおぼしき人が手に武器を持っているときはその武器をしっかり覚えているが、逆に犯人の顔は覚えていない。
　犯人とおぼしき人が武器ではないものを持っている時の方が犯人の顔覚えている確率が高い。
　これは生き延びる伸びるためには犯人の顔覚えておくよりも犯人の凶器に注目した方が良いと言う生き物としての判断なのだろう。
 
^_^ こう考えるとなおさら、事件の目撃情報と言うのは当てになりにくい。やはり防犯カメラは社会に必要なものかもしれない。問題は管理をどうするかということだ。
 
　単語とを覚えさせた場合、眠って起きた後テストをしますと言われているサンプルと、ただ覚えさせられただけのサンプルでは、テストを告げられていた方のサンプルのみが記憶の定着が強化された。
　つまり、テストが実施されると言う認識が睡眠による定着に必要な条件であるらしい。
 
^_^ こう考えるとテストというのは学習において有意な手法なんだなぁと改めて思う。
 
　うつ病患者に置いて、レム睡眠が増加する傾向がある。
　またレム睡眠は良くない記憶を定着させる効果があり、うつ病患者をより良くない状況に追い込む要因になっている可能性がある。
 
^_^ うつ病の悪しきスパイラルと言うわけだね。
 
第10章 睡眠は心の傷を癒す?
 
　オーバーナイト・セラピーと言う考え方がある。
　恐怖はノルエピネフリンによって毛細血管の収縮など体の逃亡体制が起こって初めて人は恐怖を実感する。つまりはノルエピネフリンが分泌され、体に変化が起きなければ人は恐怖を感じない。
　日中恐怖体験をした後、夜眠るとレム睡眠中に日中の恐怖体験を夢で追体験する。
　その時レム睡眠中は恐怖を感じさせるホルモン、ノルエピネフリンの濃度が低いので起こった出来事と恐怖が分離され、恐怖を伴わないまま、日中の出来事を追体験できる。そうすることで恐怖体験から恐怖が取り外されPTSDのリスクが減少する。
　レム睡眠中のノルエピネフリンが高いとPTSDになる可能性が高まることがデータで示されている。
 
　記憶と言うものは図書館の本のようなもので、書庫にしまってある場合は経年劣化はあるものの安全な状態が保たれている。しかし借り出されて使用されれば、破損したり、なくなったり、定位置に戻されなかったりする危険がある。
　実際、記憶の再固定化と言う手法がある。記憶を思い出させ、その記憶を改ざんすることでもともとあった記憶を変化させると言う手法である。
Aを覚えさせ、睡眠を取らせるとAの記憶が強化される。
Aを覚えさせた後、睡眠を取らせずにBを覚えさせるとAの記憶に干渉してAの記憶に損傷が出る。
 
^_^ つまりはAの曲を練習をした日は睡眠をとるまで、Bの曲の練習をしないのが楽器等の上達のコツなのかもしれない。
 
第11章 眠りのパターン、IQ、睡眠障害
 
　歳をとると睡眠時間が短くなる。また徐波催眠が減り、なくなることもある。
　そういう点から、老人は記憶力がなくなるなど、脳に障害を起こす原因になっている可能性もある。
 
^_^ 僕が老人になる前に、老化による脳障害の治療薬が開発されることを切に願う。
 
第12章 記憶を高め、学習を促進する方法
 
　特定の知識の神経描写を強化するために徐波催眠が必要なら、午後の時間帯に昼寝をするのは理にかなっている。
　それに対して感情的な思い出を強化したいなら、朝の目覚めを少し遅くするか、午前中にうたた寝をする方が良いだろう。ページ173
 
^_^ やはり上達や勉強にはお昼寝は効果的らしい。
 
　新しく学習した記憶ほど睡眠中に再生されやすいので昼寝の直前に学習するか、少なくとも以前に学習したことを復習する方が良い。
　こうすることで目標とする知識が心に残り、眠ったら再生されやすくなるはずだ。ページ173
 
　電気刺激や、定期的な音で徐波催眠を誘発できると言う研究がある。
 
^_^ 老化とともに減っていく徐波催眠を人工的に発生させることが出来るなら脳の老化に伴う障害を阻止できるかもしれない。
 
　ピンクノイズが徐派睡眠を誘発する
　音楽や匂いを利用して、睡眠中に学習成果を定着させるテクニックが実用化を待っている。
　匂いの場合は人がすぐ慣れてしまうので、音楽が有効だと思われる。
　例えばモーツアルトをかけながら、スペイン語を必死に学ぶ、その後モーツアルトを弱く流しながら睡眠すると、徐波睡眠中に記憶の定着が促される。
　言語やカードを覚える以外にも、楽器等の上達にも利用できる。
 
^_^ この手のやり方を利用したビジネスがもっと展開してそうな気がしたがそうでもないようだ。ウクレレの練習に応用してみたいまた、何か音楽を聴きながら本を読んで寝るときにまた薄くかけておくと読んだ内容が定着しやすくなりそうでいいかもしれない。寝るときに邪魔にならないエリック・サティあたりがいいかもしれない。
 
 
第13章 快適睡眠を実現するガイド
 
　ベットでパソコンをやったり本を読んだりすると脳がベッドを睡眠する場所として認識しなくなる可能性がある。
 
　ホワイトノイズやピンクノイズで外部の音を妨げることができる。
 
　寝室は暗闇が良い。