『日本の「世界化」と世界の「中国化」 日本人の中国観二千年を鳥瞰する』書評・目次・感想・評価

日本の「世界化」と世界の「中国化」 〔日本人の中国観二千年を鳥瞰する〕 

 単行本: 352ページ
出版社: 藤原書店 (2018/12/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4865782052
ISBN-13: 978-4865782059
発売日: 2018/12/22

87点

 ネットなどで専門家以外の一般の人々に中国が力をつけてその存在が大きくなってゆくことを現実として認められない人が日本の人には多いように感じられる。

 時折、中国の挫折を予測する本を書く専門家のような人もいるが、その多くは現実を伝えるというよりは、人々の願望を満たす読みたい内容を提供するタイプの本を売る専門家だ。

 戦後、日本が高度経済成長を経験してから、中国は日本の遥か後ろ進む発展途上国で援助すべき存在とされてきた。

 しかし、それはもう終わり、中国は再び世界の舞台の中心に躍り出ようとしている。そう、再びだ。

 過去、日本にとって中国は世界そのものだった。それをこの本は思い出させてくれる。中国が日本の後ろにあったこの数十年がむしろ例外だったということだ。

 中国は日本の歴史上、多くの時を大国として存在し、日本に多大な影響を与えてきた。その時代が再来すると考えれば安いプライドを抱えて曇った眼鏡で見るのをやめて、良いも悪いも純粋な気持ちで中国と向き合うべきだとこの本は教えてくれる。

 日本と中国との関係の歴史をこの本で俯瞰してみれば、大国としての中国との向き合い方、日本の独立をいかに守っていくべきかという現実に即した考え方をして、中国のアラを探し回って喜ぶような時代遅れの思考から脱却できるのではないだろうか。

 お勧めです。ただ、やや冗長な気もします。

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