悪魔「マスクも神の手に委ねよ」
マゴット
「マスクの転売がとうとう禁止されたね、ざまーみろ転売ヤーめ」
悪魔
「人間どもは愚かだな、まったく」
マゴット
「そうだね、人の不安に付け込みやがって」
悪魔
「俺が言っているのは、転売禁止することが馬鹿げていると言っているのだ」
マゴット
「なぜ?」
悪魔
「転売を禁止して、マスクは必要なひとのところに行くのか?」
マゴット
「転売ヤーが買い占めしなくなるから、お店で買えるようになるんじゃない?」
悪魔
「ならんな、買占めをしているのは転売ヤーだけではなく、不安に駆られて家にマスクを溜め込んでいる人間だ」
マゴット
「まぁ、そうだけど、転売ヤーがいなくなれば・・・」
悪魔
「しかも転売ヤーの買った分は、少なくとも必要な人の元に届く、たとえ対価が高額だったとしても、だ。対価が一箱2万円だとしても、2万円払っても欲しい人の元にマスクは届く」
マゴット
「その高額転売が問題なんだろう、もうけ過ぎだよ」
悪魔
「転売ヤーに買われたマスクは市場に出てくるが。一般人に買い溜めされたマスクは市場に出てこない、つまりコロナウイルスで必要されている間、何の役にも立たず棚の上でストックされるのだ」
マゴット
「確かに・・・そうだけど」
悪魔
「マスクが日本国内で売りさばけないとなれば、転売ヤーはどうするか?中国に売るか、韓国に売るか・・・そして買い溜めした人間は・・・」
マゴット
「買い溜めした人間は・・・」
悪魔
「そして、買い溜めした人間は後で愚かにも笑うのだ『あのコロナ騒動の時に私、マスクを10箱も買い溜めしちゃったのよ、使い切るのに何年掛かるのかしらね、ははは』なんてな、自分がしたことの意味もわからずにな」
マゴット
「・・・」
悪魔
「おまえら正義ずらした連中が、転売ヤーを叩くから、多くの人が手持ちで余っているマスクを売るにしても躊躇する、その結果、一部の面の皮の厚い奴だけが、大きく儲けたのだ」
マゴット
「俺たちが、転売ヤーを叩くから、転売ヤーが大儲けできたってこと?」
悪魔
「その通りだ」
マゴット
「そんな・・・でも、転売が禁止されたからもう、大丈夫だね」
悪魔
「まったく愚かだな、転売禁止でマスクを必要な人間が金を出しても手に入れられなくなった、金で解決できる問題を、金で解決できない問題にしてしまったのだ」
マゴット
「でも、今度は国がマスクを買い取って必要な人のところに届けることにした見たいだから、大丈夫だね」
悪魔
「それこそが最悪中の最悪だな」
マゴット
「なんで・・・」
悪魔
「日本政府はマスクが必要な人間を把握してるのか?」
マゴット
「国民全員に平等に配ればいい、実際、北海道では各家庭に郵便で配っているらしいから・・・」
悪魔
「なるほど、花粉症の人間にも、タクシー運転手にも、一切家を出ない引きこもりにも、同じ枚数配ると・・・それでうまくいくなら、ソビエト連邦は今でも大国として存在していただろうな」
マゴット
「・・・」
悪魔
「日本人は国がなんとかしてくれるという思いが強すぎるな、国がマスクを買い集めても必要な人の元には届かない、実際、国はマスクを大量にストックしていながら、放出するつもりは無いようだ、それでさらにマスクを買い集めるなら、買い溜め人間と変わらん」
マゴット
「じゃあ、悪魔はどうすればいいと思っているの?」
悪魔
「市場を利用しろということだ、転売ヤーを叩くのではなく、手持ちのストックを必要な人に売ろうという流れに世論を持っていくのだ、多くの人がマスクを売れば、一箱2万なんて金額にはならないだろう、悪魔としてはこんなことは言いたくないのだが、"神の見えざる手"を利用しろということだ」
マゴット
「でも、そんな風にはならないような」
悪魔
「転売を解禁し、国でも、地方自治体でも、ネットで、店頭で、一箱2千円や3千円でマスクを売るのだ」
マゴット
「定価より高いのはちょっと」
悪魔
「定価で売り続ける限り、朝から薬局巡りをできる人間しか、マスクを買えない、仕事や子育てで薬局に並べない、本当にマスクが必要な現役世代の人間はマスクを買えない、一箱2千円、3千円なら、転売ヤーや無駄な買い溜めする人間は買わない、仕事帰りでも薬局でマスクが買えるかも知れない」
マゴット
「定価より高いのはちょっと」
悪魔
「国がネットでマスクを大量に売り始めれば、マスクを売ってもいいという流れを作れる、そしてマスクの価格は下がり、必要な人の元に届き始める」
マゴット
「人の不安に便乗するような商売は・・・」
悪魔
「保険会社」
マゴット
「え?」
悪魔
「保険会社なんて、まさに人の不安に付け込む商売だ」
マゴット
「そうだけど・・・言い方の問題なんじゃ」
悪魔
「だから保険会社のCMなんて、良いイメージを植え付けようと必死だろ?、あれは実は人の不安に付け込んで儲けているのを・・・」
マゴット
「うわぁ、そろそろ帰ってくれ、悪魔め、悪霊退散!!」
悪魔
「ぐわぁーーーーー」