『インサイドボックス 究極の創造的思考法』書評・目次・感想・評価

 

98点
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 今まで良いとされてきたブレインストーミングに相対する思考法がインサイドボックスである。
 突拍子もないパーティーのようなブレインストーミングに対して、地味である事は否定できないが、1人でもできる上、創造性は制限の中でこそ花開くと言う科学的根拠も揃っており、きっと読めば身に付けたいと誰しも思うテクニックが紹介されている。

【『インサイドボックス 究極の創造的思考法』目次と読書メモ】

序章 創造性は誰もが習得できる技能だ
 イノベーションを生み出す「創造性」には、枠からはみ出た発想「アウトサイドボックス」が必要と言われる。だが本書の考え方は逆だ。創造性は自分のよく知る世界の「ヒナ形」から生まれるのだ!
 
 ビートルズの楽曲も、アガサ・クリスティーの推理小説もヒナ形から誕生した。
 ヒナ型から生まれたとしても創造性が奪われていると言うこともない。
 
イノベーターが用いている5つのヒナ形
・引き算
・分割
・掛け算
・一石二鳥
・関数
 
1章 イノベーションは制約の中にこそ潜んでいる
「枠外」思考の代表例と言われる「背面跳び」は、一見それまでの技術と真逆だが、実は開発者の得意な技術の中から発想されていた。自分の内側の制約の中「インサイドボックス」が創造性を生む
 
紹介書籍「創造的認知ー実験で探るクリエイティブな発想のメカニズム」

 

創造的認知―実験で探るクリエイティブな発想のメカニズム

創造的認知―実験で探るクリエイティブな発想のメカニズム

 

 

 肝に銘じるべきなのは、パニックにならないと言うこと。
 人はストレスにさらされているときは、創造的にものを考えるのは難しいからだ。
 次に、目の前の問題に対する解決策を聞いた覚えがないか、通常の論理や常識で問題を解決できないかを考える。
 それでも解決策が見つからなければ、いよいよ内側をを見るー自動車の内側を、枠の内側を、あなた自身の内側を。外に目を向けるのはよそう。
 ブレインストーミングのように片っ端から大量のアイデアをひねり出そうとしたり、
 連想思考試みたり、マインドマップを描いているすることをお勧めしない。
 この類のアプローチを行うと、思考が問題からどんどん遠ざかってしまう。ページ53
 
ブレインストーミングを行ったグループが、同じ人数の人たちがそれぞれ1人で考えたグループより大きな成果をあげると言う事は無い。
ブレインストーミングを行ったグループは、個人単位で考えてグループに比べて生み出すアイデアの数が少ない
・生み出されたアイディアの質や創造性は、ブレインストーミングを行ったグループの方が低い。
・人数が多ければ多いほど好ましいと言う常識に反し、ブレインストーミングをに最適な人数は4人である。
 
ブレインストーミングが結果を出せない理由
1騒がしい場に身を置いていると集中してものを考えにくい。
2アイディアの発見に貢献しようとせずただ乗りを決め込む参加者が出る。
3最大の原因はおそらく批判されることへの恐怖。批判や評価を行わないと言う建前にはなっていても。
 
名言
制約は、創造性と相容れないどころか、創造性を発揮しやすくする作用がある。制約を全て取り払うのは、想像思考の可能性を壊すのと同じことだ。行き当たりばったりの入れ方では、たとえ面白いアイディア思いついたとしても、それは風変わりで珍しいだけのものに終わる。常識を覆すようなものは生み出せない。(マーガレット・ボーデン)
 
定性的
質的な
量的な
 
第二章 引き算のテクニック
世界中のイノベーションは5つのヒナ形に分類できてしまう。インサイドボックス思考法が駆使する5つのテクニック、最初は「引き算」だ。汚れを落とす成分を引き算した千歳が起こした革命とは?
 
名言
豊かになるための近道は、欲望をいくらか取り除くことである。(ペトラルカ14世紀イタリアの詩人、学者、人文主義者)
 
引き算テクニックを進め方
 
1.製品やサービスの内部の構成要素を洗い出す
2.不可欠の要素を1つ選び、水流音取り覗くとどうなるかを考えてみる。部分的にもしくは完全に。
3.取り除いた結果どうなるかを想像してみる
4.取り除いた結果どのようなメリットが生まれるかを考えてみる
 
注意点
単に好ましくない要素を取り除いただけで終わらないようにする。
・あえて欠かせない要素を取り除く
・削除した要素の代替え物を慌てて決めない
・認知的不協和には屈しない
・単なる簡略化に陥らない
 
第3章 分割のテクニック
選択肢を制約することが、創造的解決策を生む。2番目のテクニックは「分割」だ。要素を切り分けて組み合わせ直すと、新たな可能性が見えてくる。自社が冷蔵庫分割すると何が起こったか?
 
1.内部構成要素を洗い出す
2.機能的分割、物理的分割、機能維持した縮小化を試す
3.分割を行った結果どうなるかを想像する。
4.その結果生まれたサービスに価値があるかどうかを検討する
 
注意点
・要素を空間と時間の両面で並べる
構成要素に分解すること自体がほぼ分割になるということを理解する。
・うまくいかない場合は対象との距離感を検討する
 
第4章 掛け算のテクニック
「枠の中」の様子をとにかく何倍かに増量すると思いもよらぬものが生まれる。「掛け算」のテクニックの応用範囲が広い。超高層ビルの建築法、髭剃り、便器、試験問題にまでこれで変革が起こった
 
1.構成要素を洗い出す
 
^_^ これは毎回同じだな
 
2.1つの要素を選んでコピーする。コピーすれば適当に決めて良い。ただしコピーしたものは必ず若干の修正を加える。
 
3.要素が増えた結果どのような状況が生まれるか考える
 
4.その結果生まれたサービスや製品価値があるかどうか考える。
 
5.実現可能か考える。
 
掛け算が成功した例
遠近両用メガネ、両面テープ、3段切替電球、住宅ローン
 
注意事項
・新しい要素を増やすだけでよしとしない。
・コピーした要素を必ず変更する
・単に特性をコピーするだけで終わらせない
・掛け算する場合は複数のコピーを作ることを目指す
 
第5章 一石二鳥のテクニック
1つの特徴や部品に、それまで別々だった昨日担わせる。いわば「一石二鳥」のテクニックはシンプルゆえに強力だ。このテクニックで顧客が社員研修の講師になり、市民が科学調査スタッフになった。
 
1.構成要素を洗い出す

2.
a.外部の要素に新しい役割を与える
 
b.内部の要素に新しい役割を与える
 
c.内部の要素に外部の要素が担ってきた役割を担わする
 
3.一石二鳥にした結果どういう状況が生まれるか想像する
 
4.その結果のサービスを評価する
 
5.アイディアが実現可能か検討する
 
注意すべきこと
・相性の良さそうな要素と課題ばかりを組み合わせない
・当たり前の要素を見落とさない
・複数の機能を束ねる事と一石二鳥混同しない(アーミーナイフは一石二鳥ではない)
・一石二鳥のテクニックの3つの方法全て試す
 
第6章 関数のテクニック
ここまで学んでくれば、より高度な「関数」のテクニックも使いこなせるだろう。一見無関係の2つの変数を連動させて、一方が変わればもう一方も変わるようにすることでメリットを生み出すのだ。
 
関数のテクニックの進め方
 
1.変数をリストアップする。
2.表を作り縦と横に変数を割り振る。横は完了できない変数(気温など)、縦は自分が関与できる変数(製品の色など)。
3.市場の状況について表に記入する。当初は0、該当する場所に製品がすでにある場合は1。
4.どのような関数を生み出せる可能性があるかに基づいて、表に記入する。
 
注意点
・要素と変数を混同しない
・時間を惜しまず適切な表を作成する
・ 1つのマス目について複数の関数を検討する(Aが強まるとBも強まるに限らずAが強まるとBが弱まるなどのパターンも検討する)
自分でコントロールできない変数同士の間に関数を見出そうとしない。(天気と時間など)
 
第7章 矛盾を見出せ
複数のニーズがぶつかる「矛盾」状態では、人はどうにか妥協しようとする。だが妥協しないことが創造的解決の鉄則だ。例えば交渉の場で妥協なしに矛盾を創造的に打破するテクニックを紹介しよう。
 
矛盾が発見されたら、むしろ歓迎すべき。矛盾に見えるものはほとんど偽物の矛盾。
 
安易に妥協するな。妥協では不満が残る。
 
お互いにオレンジを欲しがっていても、自分は実に相手は皮かもしれない。
 
第8章 人間の思考パターンを活用して変革を起こせ
起業家たちは皆イノベーションは素晴らしい、と口にするが、実際にはなかなか変革を起こせない。だがインサイドボックス思考法は、小学生でも使いこなして創造性を発揮できる究極のメゾットだ。
 
紹介書籍「アイディアの力」
 
1.目新しいアイデアに注意を払う
2.ランダムに対象を選ぶ
3.ランダムにテクニックを選ぶ
 
エピローグー子供たちを発明家にしよう ドリューの経験