見えていないお金以外の様々な貧しさ
ふつうの人が考える貧しさといえば、お金がないこと、ですよね。
でも、ぼくは世のなかには様々な貧しさがあるとおもうのです。そして、そのお金以外の貧しさもお金がないのと同じぐらい、時にはそれ以上に人を苦しめます。
例えば人間関係の貧しさ、親とうまくいっていない、親と話す時間がない、逆に子供とうまくいっていない、子供と話す時間が無い。
会社での人間関係がうまくいっていない。会社に行ってもつらくて仕方がない。
パートナーと上手くいっていない。妻と、夫と話す時間がない。会話がない。
他にも、何日も人と話していない。話を聞いてくれる友人もいない、など。年金生活者やひきこもりの人にはそんな人もたくさんいるのではないでしょうか。
人は基本的には集団で暮らす生き物ですから、じつはこの人間関係の貧しさは人を一番傷つけるタイプの貧しさと言えると思います。
イギリスでは「孤独」を解決すべき課題として「孤独担当大臣」を新設しました。問題を国家損失としてお金に換算しているのはどうかと思いますが。
この人間関係の貧しさはお金を持っているだけでは逃れられないタイプの貧しさです。お金を持っていても孤独や大切な人との人間関係に苦しんでいる人はたくさんいます。
他にも貧困はあります。それは知性の貧困です。わからないこと。そしてもっと恐ろしいのは自分がわかっていないということすらわからないでいるということです。
先日、名の知れた芸能人やインフルエンサーと呼ばれる人たちが「血液クレンジング」をブログ上で勧めたとして批判されました。
彼らは「血液クレンジング」に医学的根拠がないことも知らなかったし、自分が効いたような気がしたのが「プラシーボ効果」であることも知らなかった。
インフルエンサーの一人は家族みんなに勧めたとも言っていました。自分が無知であることを知らなかったので、自分の大切な人まで無意味な似非(えせ)医療行為を受けさせてしまったのです。
彼らは売れている芸能人であり、ネット上で大きな影響力を持つインフルエンサーでお金に関して恐らくたくさん持っているでしょうし、稼いでいたでしょう。
しかし、知に関してはあまりに貧しかった。そのせいで自分のフォロワーはもちろん家族まで効果のない似非(えせ)医療行為で危険にさらしてしまったのです。
こう考えると貧しさはお金に関することだけではありません。でも世の中はお金に換算することが一番わかりやすいので、お金の話ばかりされています。
多くの人が、週5日で8時間以上、通勤時間や残業、仕事に行く準備も入れるともっとたくさんの時間をお金の貧しさから逃れるために使っています。
しかし、見回してみるとお金以外の貧しさはたくさんあるのです。
ぼくらはもっとお金以外の貧しさに気づいて、がむしゃらに働くばかりではなく、親に会ったり、子供の話を聞いたり、パートナーとデートをしたり、友人と遊んだり、本を読んだり、勉強をしたりするべきではないかと思うのです。
ぼくぐらいの年代になると、老後と言えばお金の心配ばかりしている人が多いですが、よい老後を迎えるためにはお金だけじゃなく、パートナーとの絆を深めたり、友達を作ったり、体を鍛えたりするのも、とても大事だとぼくは思うのです。